小さい頃、目の前に広がる光景に夢中になっていた

自分の見える世界は無限に見えた

ごつごつした根っこや

行列をつくっている蟻

石の裏に隠れている団子虫を集めたり

小さな花の蜜を集めたり

目の前が全ての世界だった

それで満足だった


ある日

気がつけば空を眺めるようになってしまった

空を飛べる鳥を羨んだ

木の枝先の花を綺麗だと眺めた

どこまで行けば空に手が届くのか手を伸ばし続けた

それでも自分は空に手が届かなかった

背は伸びても空には手が届かなかった

飛ぶ事も出来なかった


涙を流してうつむいた時

その涙が地面に吸い込まれ無くなって行った

地面はずっとそこにあった

全てを受け止めていた


しゃがんで地面に四つん這いになってみた

そこには

綺麗だと思っていた花を支えていた幹が有り

根っこがあった

そしてそこには無数の命があった

自分が気付かず上を見ていたときも彼らは必死に生きていた

忘れてしまった世界がそこにはあった

自分の生まれた世界が