【東京マラソン2021レポ Startまで】
東京マラソンは、多くのランナーにとって一つの憧れの大会ではないでしょうか。
ダイエットのために、なんとなく走っていた10年前。
「せっかくだから、東京マラソンにエントリーしてみるか~」
と、深く考えずに抽選に申し込みました。
結果は、当然の落選。
しかも、5年連続。
倍率10倍以上という、人気レース。
私には縁が無いか…、とほぼ諦めていました。
そんな2019年、6度目にして、ついに念願かなって初当選。
東京マラソン2019は、氷雨が降り、凍えるような厳しいコンディションでした。
しかし、初めての東京マラソンは、まさに夢の舞台。
寒さなど感じるヒマも無く、ひたすら楽しい時間でありました。
そこから3年。
憧れの東京マラソンは、沈黙したままでした。
コロナの嵐が吹き荒れる中、なんと2度目の東京マラソンに当選。
しかし、例年の3月開催は10月に変更され、さらに2022年3月に延期。
日々の感染状況に一喜一憂しながら、悶々と過ごす。
本当に開催されるのか?
また1年後に延期か、いっそ中止になるのでは??
もやもやとした情景が、しかし、日を追うにしたがってはっきりしてくる。
そして、ついに3月6日、間違いなく東京マラソンが開催されたのです。
さて、そうなってくると、東京マラソンをどのように走るか?
前回の2019年は、完全にファンランでした。
1週間前の静岡マラソン2019で、念願のサブ3を達成できたし、
なにより憧れた東京マラソンを、あっという間に終えてしまうのは勿体ないとの考えから。
しかし、今回は状況が違う。
本来ならば、今シーズンの本命レースは別大でした。
それが規模縮小になり、次善レースと考えていた大阪マラソンまでも同様に。
多くのレースが中止になる中での、貴重な公認レース。
だが、参加人数の多い東京マラソン。
自分の思うように走れるのか?
さらに、今年は色々と規制も多い。
ここを逃せば、2021年度シーズンはほぼ終了。
記録更新に賭けるのは、また1年後?
そんな悠長には構えてられないし、四の五の言ってても始まらない。
急遽、東京マラソンを本命レースとして、全力で走ることに決定しました。
変更に次ぐ変更のため、セオリー通りの調整には程遠い。
別大3週前、東京からは8週前の30km走以来、ロング走はしていない。
2週前に、レースペースより若干速めの15km走。
1週前に、本番通りの装備で10kmペース走。
4日前に、2kmの刺激入れ。
その後は全く走らず。
そんな感じだったので、走力が維持出来ているのか、不安しか無かったです。
公認レースでサブ3をしたのは、もう3年前。
そのため、「今回は何が何でもサブ3復帰だ」と、いよいよ緊張感が増す。
前日は、なかなか寝付けませんでした。
当日は、早朝4時起き。
そこから軽く朝食を食べ、電車にて東京に向かう。
向かう途中で、モルテンドリンクでエネルギーチャージ。
新宿に着いたのは、7時前。
田舎者故、高いビルに囲まれると、方向感覚が全く無くなります。
事前にグーグルマップで、ゲートまでの道順を、しっかりと確認していました。
もっとも、所々に案内看板を持ったボランティアさんが立っていたので、心配はいりませんでした。
我々ランナーのため、本当にご苦労様です。
ゲート前に到着したのが、7時過ぎ。
その場で上着を脱ぎ、カバンに詰める。
ここで大問題となるのが、この着替えを入れたカバン。
今回の東京マラソンは、感染予防のため手荷物預けがありません。
「走る格好で来て、ゴール後はそのまま帰ってね」と言うお達しでした。
しかし、この寒空の下、ランパンランシャツで長時間電車に揺られ、そして帰っていくのは現実的ではない。
そこで今回だけ特別に、奥さんに同伴してもらいました。
観戦自粛の観点から、本来ならばこれもNGなのでしょうが。
何卒、大目に見てください…。
そんな訳で、荷物を奥さんに預け、最後に大福を食す。
エネルギー補充と共に、「福」を喰らうというゲン担ぎのような、訳の分からない毎度のルーティーンです。
奥さんと別れ、都庁へと進む。
ゲートでは「体調管理アプリ」の提示を求められました。
その後は、持ち物チェック。
東京マラソンはテロ防止のために、持ち込める荷物が特に厳しい。
ポーチに入れたジェルなどを提示して見せ、更に金属探知機を通過。
小心者ゆえ、挙動不審そのものでしたが、無事にゲートインできました。
通過後は都民広場の仮設トイレで用を済ませ、そのままスタートエリアへ向かう。
Aブロックのスタートエリアに着いたのは、7時30分ごろ。
ガチで記録を狙う今回は、スタート位置も重要です。
「とにかくスタートライン近くに」という思いから、スタート時刻まで1時間半以上前のスタンバイ。
そのおかげで、前から3列目ぐらいの位置を陣取れました。
Aブロックの前方数十mの間を空けて、準エリートの方々がちらほらと見える。
更にその前からスタートするであろう、キプチョゲを始めとするエリートランナーの姿は、当然まだ無い。
我々が待機している場所は、ちょうど都庁の渡り廊下の日陰になっていて、非常に寒い。
マラソンヒエラルキーの現実を、まさに実感する時間でありました。
待機している間、いつもはトレイルで使うTNFのレインジャケットを羽織り、グローブを着けて寒さを凌ぎました。
これらはスタート時、全てポーチに仕舞います。
今回の東京マラソンは、「自分のゴミは、自分で持ち帰る」というお約束。
普段ならば100均カッパで寒風を防いでいましたが、今回はそれが捨てられない。
なので、できるだけ軽量かつコンパクトに収納できるレインジャケットを選択した次第です。
それでも、寒いものは、寒い。
地べたに腰を下ろし、ひたすら時間が過ぎるのを待つ、苦行の時間。
すると、徐々に迫ってくるのが、尿意。
先刻トイレに行ったばかりですが、寒さも相まって、どんどん膀胱からの信号が強くなる。
しかし、せっかく前方をゲットできたし、トイレの行列に並んでいたら、スタート時刻に間に合うかどうか?
そんなことを悩んでいる間に、開会式が始まり、小池都知事からのお言葉が放送される。
やがてAブロックも前方に移動。
日陰から、太陽の下へ出る。
暑い。
天気予報では、前日よりは気温が低いとのこと。
しかし、前日に吹き荒れた、春一番の風はどうだろう?
それよりも、この尿意はどうしたものか??
ガーミンのGPSは、高層ビルのため赤くなったり緑になったり、不安定。
そうこうしている内に、30秒前を示すプラカードが掲示。
緊張感とも高揚感とも分からない感情が相まって、思考がぐちゃぐちゃになってくる。
落ち着け。
とにかく、今は目標達成のことだけを考えるのだ。
ただ、サブ3の為だけに。
同時に、走ることを楽しもうじゃないか。
ついに、我々マラソンランナーの時計が、再び動き出したのだから。
「On Youa Mark」
一瞬の静寂。
そして、東京マラソン2021スタートの号砲が、青空の元響き渡りました。