なんてことない非日常 -26ページ目

なんてことない非日常

スキビ非公認二次創作サイトです。
駄文ばかりの辺境館ですが、広いお心で読んでいただける方歓迎しております。

†Marriage end blue   6





 「ここは、俺たちの新居」



ムスッとした表情で、そう説明しながらクオンは赤く腫れた頬に氷をくるんだタオルを当てた。


その痛々しい姿に、内心良心が痛んだキョーコだったがわざとらしく鼻を鳴らしてそっぽを向いた。



「あ、あなたが急に抱きついてくるから悪いんじゃない!?」



腕組みをして、リビングのソファーに座ると直ぐ横にクオンがドカリと腰を下ろした。



「ああ、男に免疫がないお子ちゃまには挨拶程度のハグでも刺激が強かったみたいだな?悪い悪い」



まるでそんなこと思っていない棒読みで謝られ、あげく頭を二・三回なでなでされるだけというお子様扱いにキョーコもカチンときた。



「子供扱いしないで!」



「高校生だろ?まだ子供だ・・・・それとも・・・オトナ扱いして欲しい?」



ただの負けず嫌いの感情だけで突っかかったキョーコを見抜いて、クオンが少し艶めいた色を纏った顔を近づけるとクリンとした目で凝視された。


しかし、見る見る顔は赤くなり一気に部屋の隅っこに飛んでいってしまった。



「けっけけけ結構です!!!!」



物凄い反応に、クオンが大笑いするとキョーコは真っ赤な顔を膨らませた。



「だましたわね・・・・・?」



少しばかりドスの効いた声のキョーコに、クオンは可笑しそうに口の端を上げた。



「うん、本当に君って面白い反応するよね?」



「っ!!」



「ちなみにさっきまで君が寝ていたベッドは俺の」



「!?」



「あ・・・違うか・・・・俺たちの・・かな?」



「!!??」



クオンが何かを言うたびに、キョーコ顔色が赤くなったり青くなったり変化するためクオンは笑いを堪えることなど直ぐにできなくなった。



「ぶっは!!カメレオンだ」



「・・・・・は?」



そんなキョーコに爆笑してそう言ったクオンの言葉に、キョーコが青筋を立てていることなど気づかずにクオンは笑い続けた。



「ククククッ・・・そのうち壁と同化するんじゃ・・・」



『パシッ』



そこまで言いかけたクオンの頬に乾いた音がぶつかった。


それはまたもや、キョーコの手で叩かれた音だった。

痛みはさほどないが、その音にクオンはしばし呆然とした。



「あなたなんて・・・大っ嫌い」



ジワリと涙を浮かべた瞳で睨まれ、クオンは部屋を出て行くキョーコを咄嗟に捕まえた。



「離して!!」



「君は俺の奥さんだよ?実家には戻れないし、高校生の君が他にいける所なんてないよ?」



「それでもここには・・・あなたの側にはいたくない!」


キョーコがそう叫んだ途端、するっとクオンの手が離れた。

その力の抜けた感触に、思わずキョーコは顔を上げ驚いた。

クオンが酷く傷ついた顔をしていたからだ。



(な・・・んでそんな顔・・・)



「・・・それでもここにいなきゃいけないんだから・・・あっちの客室を好きに使ったらいい」



それだけ言うと、クオンはキョーコに背を向けさっさと部屋を出て行ってしまった。



「え?・・・っちょ・・・!?」



先ほどの表情といい、起きたばかりのキョーコを抱きしめてきた態度と今の冷たい声とすべてがチグハグな気がして本当のクオンがキョーコが思っているような人間なのかわからなくなり慌てて追いかけた。

・・・が。



「きゃあああああ?!!」



クオンが入っていった扉を勢いよく開いて中に飛び込んだキョーコは絶叫した。



「・・・なんだ?風呂・・一緒に入りたいのか?」



既に上半身は露わになった状態で、薄く笑うクオンにキョーコは真っ赤な顔のままブンブンと頭を振った。



「そっ!?はっ・・・・ハレンチ!!!」



「・・・・・・・は?」



ダダダダダ!!っと脱衣所を飛び出していったキョーコが叫んだ言葉に、クオンはただただ呆然とするしかなかった。


部屋の中をかけて客室を見つけたキョーコは、一気にベッドに潜りこんで叫んだ。

悲鳴はベッドに吸い込まれて、くぐもった声が漏れただけだったがバタバタと暴れている音は消されることはなかった。



「おーい・・ベッド、壊すなよ?」



「!!」



「あ・・でも、壊したら俺のベッドで寝ればいいか?」



「!!!!」



キョーコは暴れるのをやめた。



「クスクス・・・朝食・・・のつもりだったけど、もう昼近いし・・ブランチもする?」



「ブランチ・・・」



もそもそとベッドから出て来てお腹を鳴らし始めたキョーコを見つけたクオンは、無表情で固まった。



「・・・・・・・・・・シャワー・・ぐらい浴びたら?」



「あ・・・・そっか・・・」



気を失って一晩経っていたことを思い出し、しばし沈黙した後また違う叫び声を上げた。



「今日から三学期!!!」



「うん?」



「今日、始業式!!学校!!昼までなのに!!」



濡れた頭を拭きながら、ミネラルウォーターを飲んでいたクオンはバタバタし始めたキョーコに濡れたタオルを投げた。



「落ち着いて・・・今日はもう間に合わないだろ?」



「・・・・きゅうう・・・モー子さん・・千織ちゃん・・・・ショーちゃん・・・・」


ベソベソ泣きながらバスルームに消えたキョーコの背中に、クオンは小さなため息をついて携帯電話を取り出した。



「・・・・あ・・・もしもし・・叔父さん?・・・そう、学校・・・今日からだったよね?・・・・いや・・・うん・・・まあ・・・ちょっと・・・」



それからしばらく話して通話を終了すると、クローゼットに向かいガタガタと着替えを取り出しはじめた。



「あ・・・れ?・・・出かけるの?」



キョーコがお風呂を済ませると、既にクオンはラフなポロシャツにダメージ加工のあるジーンズを着ていた。



「宝田家に行く、早く用意して」



「え?!」



「30分後に君の友人が訪ねてくるらしいから」



「ええ!?わ、わかった!!急ぐ!!」



先ほどまでの沈んだ表情とは打って変わって、喜び勇んで客室に飛び込んでいったキョーコにクオンはクスリと微笑んだ。



「モー子さんと千織ちゃんが来てくれるなんて!」



クオンの運転する車の中でもはしゃいでいたキョーコに、クオンは何気なく尋ねた。



「もう一人来るんじゃないの?」



「え?」



「さっき言ってただろ?『ショーちゃん』って」



「え!?あっ・・・・えっと・・・・」



急に狼狽えだしたキョーコにクオンは首を傾げた。

しかし、キョーコがそれ以上言えないうちに宝田家に到着してしまい話はうやむやになった。



「ちょっと!アンタが休むなんて、何があったの!?」



「まあまあ、キョーコさんもたまには風邪ぐらいひきますよね?いくらおバカさんでも」



「・・・・二人とも・・いらっしゃい・・」



相変わらずな様子に、キョーコは顔をひきつらせながら先ほど飛び込んだ玄関で二人を出迎えた。

その様子をクオンは、マリアに応接室に案内される道すがらに確認した。


髪の長い少女が、キョーコの言う『モー子さん』。

もう一人、笑顔で毒吐く少女が『千織ちゃん』だということはわかった。



(・・・『ショーちゃん』は学校だけで会う友達かな?)



出された紅茶を啜りながらそうぼんやりと思っていると、にぎやかな女の子たちの声がしてきた。

いつの間にかマリアもいなくなっている。



「かしましいな・・・」



「はい、皆さんキョーコお嬢様ととても仲がいいですしマリアお嬢様も可愛がってくださっています」



だからあっという間に応接室を出て行ったのか、と納得したクオンの元にローリィがやってきた。



「すまんだったな・・・キョーコのために」



「いえ・・・俺こそ、彼女がこんなに学校が好きだとは思わなくて・・・」



「ああ・・まあ、あの子は友人たちに会うのがとても楽しみだからな・・・ただ、あの子が宝田家と関わりがあるということを知っているのはあの子たちと不破の息子だけだ」



「そうなんですね・・・」



(なるほど・・だから学校だけでしか会えない友人もいるのか・・・)



なんとなく気になった名前を、クオンはそのまま追い払おうとしたのだが次のローリィの言葉にそれを躊躇した。



「あの子とは幼馴染でな・・・・しかし、あまり女癖は良くなくてキョーコにあまり関わるなとい言っても『ショーちゃん・ショーちゃん』と懐いてしまっているんだ・・・」



クオンのこめかみがその一言でピクリと動いた。



「『ショー・・・ちゃん?』」



「ああ、不破 松太郎君で・・ここから少し先の老舗旅館の一人息子だ」



それを聞いた途端、クオンは突然立ち上がり盛り上がっているのか一際騒がしい部屋へとズンズン歩いて行った。

扉の前まで来ると、軽くノックをした。

すると、先ほどまでとは別人のように明るく弾んだキョーコの声がして扉が開かれた。



「やあ、楽しそうだね?」



「!!?」



扉を開けた先に、満面の磨きがかかったような笑顔をしたクオンが立っていたためキョーコは咄嗟に扉を閉めた。

本能がそうしなければならないと叫んでいたからだ。

しかし、キョーコが扉を閉めてしまうよりも早くクオンの手が扉をがっしりと掴んで完全に閉まるのを阻止した。



「どうしたの?キョーコちゃん・・・旦那さんを紹介しなくていいの?せっかくの親友に秘密を作ることになっちゃうよ?」



ニコニコと笑うクオンに、恐怖を感じながらキョーコはブンブンと頭を振った。



「君はこんな結婚無効だと思っているかもしれないけれど、戸籍上はもう夫婦なんだから嘘は良くないよ?」



扉を挟んで何か慌てているキョーコに、モー子こと琴南 奏江は眉根を寄せながらキョーコを呼んだ。



「ちょっと・・何してるの?」



その奏江の声にキョーコが肩を震わせると、手から力が抜けあっさりとクオンに扉を開けられてしまった。

そして急に現れたクオンに、その場にいた全員が驚きで目を見張った。


クオンの姿にただただ目を見張っている奏江と千織の視界の端に、真っ青になっているキョーコがクオンの服の裾を掴んでいた。



「・・・・キョーコ?誰?この人・・・」



奏江に説明を求められて、キョーコが口を開くよりも早くクオンがにっこりと笑顔で答えてしまった。

・・そう、答えてしまった・・・



「初めまして、クオン・ヒズリです・・彼女・・キョーコの夫です」




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§ルートX   60





 「あれ?京子さん・・こんな時間にどこに行くんですか?」



部屋についているシャワーを使っていた百瀬が、頭を拭きながら今まさに部屋を出ていこうとしていたキョーコを見つけそう声をかけるとキョーコは肩を大きくびくつかせた。



「えっ・・・と・・・その・・・」



百瀬は焦っているキョーコの手に、携帯が握りしめられているのを見つけクスリと微笑んだ。



「なんて聞くのはヤボですね?でも、夜は冷えますから・・・これ、羽織っていってください」



「あ、ありがとう!百瀬さん」



ホテルで用意されている茶羽織を渡され、それに袖を通したキョーコは再度百瀬に礼を言うとイソイソと部屋を出て行った。



「いいな・・・京子さん・・・」



顔を赤くして、それでも嬉しそうに部屋を出て行ったキョーコの姿を羨ましく思った百瀬は部屋にある電話を使った。



「あ、大原さんですか?まだ、二次会盛り上がってます?」



百瀬がそんな電話をかけている頃、キョーコは泊まっている階のフリースペースにやってきていた。

自販機や、ソファーがいくつか並ぶそこで携帯の画面を開いて操作する。

コール音が鳴る間、辺りに知り合いが通らないかキョロキョロしながら隅っこを陣取った。



『もしもし』



「もしもしっ・・キョーコです!」



『クスクス・・・うん、大丈夫だった?』



「うん、でもやっぱり気を使わせちゃった・・・」



『そっか・・・今度、俺からも謝っておくよ』



百瀬がシャワー室にいる間、蓮から電話がかかってきたのだが部屋で話すと百瀬に迷惑がかかるからと一度切りこの場所まで来てかけ直したのだ。



『・・・そこは・・・廊下?』



「うん・・といっても・・・泊まっている階のエレベーターホール脇・・・で、自販機とかがあるから好きに使っていいところみたい」



『そっか・・・・その・・・あれから・・・・・・大丈夫だった?』



「え?」



『…その…貴島・・君・・・とか・・・』



「うん、大丈夫!貴島さん、コーンが狼狽えるところが見たかったんだって・・・電話なのにね?」



『何をしているんだ・・彼は・・・』



そう頭を抱える蓮の声に、キョーコがクスクスと笑った。

しかし、貴島がそれだけの腹積もりでないことを知っている蓮はすかさずキョーコに注意した。



『キョーコちゃん・・笑っているけど、他に何もなかっただろうね?』



「えっ!?」



その蓮の言葉に、ショータローやレイノのことを思い出して思わずキョーコの声は上ずった。



『・・・・・・・・なにか・・・あった?』



鋭い蓮の声に、キョーコは慌てて首を振った。



「ううん・・・ただ、スッタフさんたちって・・酔うと・・すごいんだね?」



『・・・ああ・・・まあ・・・たまにそれでストレスを解消しているみたいだし・・・もしかして、絡まれたりした?』



「ううん、貴島さんが絡まれてたけど」



『・・・・そう・・・うん・・それも含めてそっちに行ったら貴島君に挨拶しておくよ』



何とか誤魔化せた様子に、キョーコは携帯を自分から少し離して小さく息をついた。



「っじゃあ・・・明日、会えるの楽しみにしてるね?・・」



『・・・うん・・・・キョーコちゃん』



「え!?な、なに?!」



『愛してる』



「なっ!!・・・////そ・・そういうのは・・・・」



『ほら、キョーコちゃんも言って?』



「ええ!!?」



『ひどいな・・・最愛の恋人との電話なのに・・・・・』


蓮の少し寂しげな声に惑わされて、キョーコは喉を詰まらせながら困惑した。


「ぐっ・・・・ぁ・・あい・・・し・・っ~~・・・好き!・・・だからっ・・ね!?こ、これで勘弁してください!!」



『あはは、しょうがない・・・じゃあ、言って欲しかった言葉はベッドの中で聞けるのを楽しみにしてようかな?』



「!!?~~~っっ・・・お、おやすみなさいっ!!!!」



恥ずかしさに耐えきれなくなり、キョーコは勢いよく電話を切った。

ブツ!っと切れた通話に、蓮が笑いをかみ殺しながら振り返ると社が口に入れかけていたパスタを垂らしながら半目になっている姿が映り少しやり過ぎたかと反省したのだった。



「もう!もう!!コーンっ・・・ばか・・」



真っ赤になって、通話が終了した携帯に文句を言って振り返ると心底嫌そうな表情で立ち尽くしているショータローがいた。



「な、何してるのよ?!こんなところでっ」



「・・それはこっちのセリフだ・・・なんだ・・今のゲロ甘な言葉は・・・」



「いっ・・いいでしょ!?恋人同士の会話よ!」



恥ずかしさを誤魔化すため、強気で先ほどの蓮の言葉を拝借して返すとショータローはさらに眉間を険しくさせた。

「はっ・・どうせ、お前の独りよがりだろ?」



「そんなことないもん!コーンはもっとっ!・・・も・・もっと・・//////]



頭から湯気を上らせて、口をハクハクさせるキョーコに首を傾げながらショータローは前を横切りアルコール用の自販機の前に立った。

そしてコインを入れて缶ビールを購入し始めた。



「ちょっ・・お酒」



「俺はもう、20歳なんだよっ」



「あ…誕生日・・・・」



すでにショータローの誕生日が過ぎていることに、キョーコはようやく気付いて押し黙った。

今までなら特大のバースディ・ケーキを作ってお祝いしたりしていたが、今年は関係が変わったりそれどころではない事態が起こったりとすっかり失念していた。



(まあ・・・もう、関係ないんだけど・・・・)



キョーコが俯いていると、購入したばかりの缶ビールで頭を小突かれた。



「いた!?」



「今年はお前からなんももらってねえから、ビール買え」



「はあ!?嫌よ!もう何の関係もないアンタになんで誕生日をお祝いしてやらないといけないのよ!?」



「ケチくせーな、本当にそういうところ変わんね~な?仮にもゴージャスターの彼女なんじゃないのかよ」



「なんでコーンと付き合ってるからって、アンタにそんなことする義理が生まれるのよ?!」



毛を逆立てて喚くキョーコを見下ろしながら、ショータローは憮然とした表情になった。



「つーか、この間から思ってたけど・・その『コーン』ってなんだ?」



「・・・え?」



意外な指摘に思わずキョーコは固まった。



「もしかして、奴のあだ名か?なんだ?コーンって・・・ププッ・・・」



「いっ・・いいでしょう!?昔からこうやって呼んでるんだから!」



笑われたことで、思わず反論するキョーコの言葉にショータローのこめかみがピクリと動いた。



「…昔から?・・・おい、まさかアイツと以前から会ってたのか?」



「そ・・・れはっ・・・・・・」



キョーコは詰め寄ってくるショータローに、蓮のことを話していいのか迷っているとショータローを呼ぶ声が聞こえてきた。



「尚?・・・・・あ、キョーコちゃんと一緒だったの?」



やってきたのは祥子だった。


キョーコは天の助けとばかりに、ショータローから飛びいた。



「もう!なかなか戻ってこないから心配したのよ?」



「・・・ガキじゃねえし・・ビールぐらい一人で買える」



「でも・・・・買い過ぎてないか心配だったの!・・・って・・・一本だけ?・・」



ショータローの手の中にある缶ビールを見て、驚きの声を上げた。



「いつもより随分少ないわね…」



「こいつが邪魔して買えなかったんだよ」



「アンタが勝手に絡んできたんでしょ?!」



ぎゃあぎゃあと言い合うキョーコと、ショータローを見て祥子はクスリと笑った。



「やっぱりキョーコちゃんね?さっきまで尚ったら・・・」



「祥子さん!・・部屋に戻る!」



急に二人に背を向け歩き出したショータローに、面食らった祥子は慌てた。



「え!?ちょっと尚!?・・ごめんなさいね?キョーコちゃん・・尚、ちょっと・・色々あって・・・」



「だからって・・甘やかし過ぎです!今日も現場に来られて迷惑で・・」



「そうね・・・ごめんなさいね?・・きっと尚が甘えられるのは、本当のところ貴女だけなのかもしれないわ・・」


不意に言われた言葉に引っかかりながらも、キョーコは不快そうに眉間に皺を寄せた。


「それは、私にとって非常に迷惑な話です」



キョーコのあまりにも淡白な回答に、祥子は苦笑するしかなかった。



「祥子さん、行くよ!」



「あっ!・・・じゃあね?キョーコちゃん」



「はい・・・」



祥子の背を見送っていると、振り返っていたショータローと目があった。



(早く・部屋・帰れ)



口パクでそう言われて、キョーコはムスッとした。



(わ・か・っ・て・る・わ・よ!)


これまた口パクで返すと、んべえっと舌を出されてキョーコは頭に血を上らせた。



「ぬあ~っ!ムカツク!!・・・・・頭冷やそう・・・」



先ほどから顔から火が出そうなほど恥ずかしくなったり、怒髪天しそうなほど頭にきたりで変な汗ばかりかいたキョーコは自販機でお茶を購入した。

ガコンとペットボトルが落ちてくる音と共に、キョーコは屈んで受け取り口に手を差し入れた時だった。



(!?)



ぞくっとした感触が、急に背に走りキョーコは飲み物を取るのも忘れて振り返った。

しかし、そこには何もなく気のせいかと小さくため息をした瞬間真横から耳元に息を吹きかけられた。



「!!?」



「よう・・・俺の赤ずきん」



「!?レイノっ」



勢いよく振り返った先には、不敵に笑うレイノがいてキョーコは驚愕の表情になった。



「な・・なんで・・・」



「同じホテル内だ・・探すのなんて至極簡単だ」



さも当たり前というようにそう言い募るレイノに、キョーコは頭の中で否定した。



(そんなわけないじゃないっ!?このホテルこの周辺の中で最も大きくて、本館・別館だけじゃなくて離れだってあるのよ?!)



しかもドラマのメンツは今を時めく人気俳優・女優が揃っているため部屋もバラバラでスタッフでさえ誰がどこら辺にいるのか薄らとしかわからないのにも関わらず、完全に部外者のレイノが知りえるなんて不可能だった。



(でも・・・コイツは目の前にいる・・・・)



キョーコの頭の中で警報が鳴った気がした。


このままここにいてはいけない、と。


次の瞬間、キョーコはレイノから逃げるべく走り出していた。




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≪こちらは、現在開かれているsunnyさんの夏祭り企画に参加作品ということで捧げさせていただきます!

夏祭り企画


そしてこちらは、残暑お見舞いの品とさせていただきます。


今年もおかしな夏・・・・・激しい天候の変化には体調など十分お気をつけてくださいね。


ユンまんまでした。≫






§祭り酔い





 ゆらゆら揺れる素足。

少し汗ばんだ胸元は、さらに熱い温もりを薄い布きれを隔てて感じ取り緊張の鼓動を早くする。



「大丈夫?最上さん」



「っ!は、はいぃっ!!」



ここが日本で、薄暗い屋台通りを歩いているからというわけではなく。

彼が一際身長が高いから皆に見られているということだけではなく。

日本が誇る名俳優だからというわけではなく。

日本一抱かれたい俳優ナンバーワンの美形だからだけではなく。


彼の存在そのものが、神の寵児なのに・・・・・。



(私なんぞのためにっ・・・・お・・・・お・・・おっ・・・おんぶ・・・)



彼女、最上 キョーコは密かに想いを寄せている事務所の先輩俳優である敦賀 蓮の背中におんぶされて祭りで賑わう屋台街を移動していた。


原因は、下駄の鼻緒が切れてしまったこと。





そもそも忙しいはずの蓮が、なぜだかちゃんと社長の指示通り浴衣を着てLME事務所からほど近い花火大会がある祭り会場に現れたこと自体キョーコには驚愕だった。



「時間ができたから」



そう言って、目を見開いていたキョーコににっこりと微笑んだ蓮の横で社が浴衣をガタガタに着崩しながら死相を浮かべていたのが見え首を傾げずにはいられなかたっが直ぐにキョーコは思い至った。



(そうか!敦賀さんお祭り好きなんだわ!?)



たまに外見とは予想外の趣味や、行動をする蓮だから多少イメージと違うことをしても本人は意に介さないことがあるのをキョーコは理解していた。

心の中でそう納得すると、キョーコはそれ以上その話には触れないでおこうと社長の号令で半ば強引に集まったメンバーで祭りを楽しむことにした。


そもそもの発端であるマリアは、奏江たちを尻目にキョーコにべったりで愛らしい浴衣をキョーコに着つけてもらったのだとこれまた大のお気に入りの蓮の傍でくるりと回って披露したりお店の物をねだったりしていた。


傍から見れば、子連れカップルのように見えなくもない。


そんな状況をキョーコは微塵も気付かず、蓮は内心満足しながら花火の時間まで残り20分ほどとなった。

そこで社長自ら予約しておいた観覧席に移動することになったのだが、そんな時にキョーコの左の鼻緒が外れてしまったのだ。


心配する一同に、花火の時間に間に合わなくなると説得しすぐに直して追いつくと宣言したキョーコは笑顔でみんなを見送った。

休憩用のベンチに腰を下ろして、直そうとしたのだが最近の下駄は接着剤で止めているらしく手元に割けるような布もないためキョーコは途方に暮れた。



「お嬢さん、よかったら花火のところまでお連れしましょうか?」



そう声をかけてきたのは、先ほどみんなと一緒に観覧席に向かったはずの蓮だった。

その手にはキンキンに冷えたラムネが二本掴まれていた。



「まずは、ちょっと休憩」



そう言って、蓮はラムネを一本キョーコに渡すとすぐ隣に腰を下ろし自分の分のラムネに口をつけ始めた。

その姿を呆然と見ていたキョーコの視線に気づき、少し汗を滲ませている首筋を傾けながらキョーコの顔を覗き見た。



「もしかして・・これ、嫌いだった?」



自分のラムネの瓶を軽く振って、呆然としているキョーコにそう尋ねるとブンブンと勢いよくキョーコの頭が左右に振られた。



「いっいえっ!?好きです!というか・・お祭りで飲むラムネは最高です!!」



「よかった」



キョーコの力説に、蓮は柔らかい笑みをこぼしながら頷いた。

その瞬間、キョーコの心臓が強く絞り上げられた。



(っっっ!!天然タラシっ!!)



最初のころの、上っ面だけの笑みだったらこんな風にはならないのだが何も考えていない時に見せる柔らかくて優しい笑みがキョーコには苦手だった。

と、いうか恐怖だった。

うっかり・・自分の想いを口にしてしまいそうで・・・・。


だから悪態をつくしかないのだ。

誰にでも見せる甘々な笑顔だと。

自分は特別なんかじゃないんだと。



(じゃないと・・・勘違いして、口にして赤っ恥だけで済めば御の字だけど・・・)



何度も想像している。

自分の気持ちがばれてしまった時、今まで後輩として可愛がってくれていた蓮が離れていってしまうシーン・・・。

それがキョーコの脳裏によぎって、一気に汗が冷えてしまった。


俯いてチビチビ飲んでいたラムネが終わると、それを蓮が片づけてくれた。

これ以上一緒にいると花火を特等席で見れなくなってしまう。

蓮を先に行かせて、自分はここで花火が終わるまで待っておこうと決めた時蓮が戻ってきてキョーコの前で背を向けたまましゃがみ始めた。



「?・・・どうかしたんですか?」



蓮が何をしているのかわからず、そう尋ねると蓮は笑顔で振り返った。



「おんぶしていくよ、草履・・直りそうにないんだよね?」



そう言われてもキョーコの脳みそが、今の言葉を正しく理解するのに時間がかかった。



「最上さん?・・・・あ・・それともお姫様抱っこのほうが・・」



「おんぶでお願いします!!!」



蓮の提案に、青ざめてうっかりそう叫んでからキョーコは気づいた。



(・・・また・・・騙された・・・・)



蓮は言い出したことを覆すことはほとんどない。

それが例え、キョーコにとって羞恥の極みになるようなことでも。

最初の提案よりも嫌なことを上げられれば、キョーコが迷わず最初の提案を受け入れることを知っているから先ほどのような会話で過去何回も騙されてきた。



(・・・・本当に私って・・学習能力がない・・・・)



渋々乗った広い背中の上で、キョーコはため息を押し殺しながら反省していると周りからの視線に気づき始めた。

女性たちの刺さるような視線や羨望の眼差しに、自分の立場を改めて認識して顔から火が出そうだった。



(ううん!絶対、出てる!!)



屋台を明るくする強い照明よりもきっと赤いに違いない!そうキョーコが悟りながらしっかりとした肩に掴まっていると、進行方向の夜空がぱっと明るくなった。



「あ・・・はじまっちゃった・・・」



花火の轟音も共に聞こえ、どんどん夜空を七色に染め上げていく。

その音と光につられるように、今までキョーコたちを見ていた者は夜空に視線を移したらしい。



「急ごうか?」



背中にいるキョーコに小さく振り返った蓮の顔が、予想以上に近くてキョーコはまた心臓が跳ね上がるのを抑えながら頭を振った。



「いえ・・・敦賀さんのペースで・・・あっ!重いならここで下ろしてもらっても・・・・」



「最上さんは軽いよ?」



「・・・それは・・・体型が貧弱ということですか?」



「え?いや・・そうは言ってないけど・・・・」



困ったようにまた歩き出す蓮の後ろ髪を見つめながら、キョーコは口の端がふよ・・・っと歪んでいくのが止められなかった。



「いいんです、言われ慣れてますから」



変に緊張してしまい、以前のように言い合うのが楽しく感じているキョーコは絶好の機会を逃さず口げんかを仕掛けた。



「・・だから・・本当にそんなこと思っていないって」



困ったような、怒ったような声。

実は少しわくわくしてしまう声だったりする。



「ちょっと間がありましたし」



「本当に思ってません」



「でもこんな鶏ガラみたいなのは、論外ですよね?」



口にしてからしまったと思った。

もし肯定されたら大きく凹むほど悲しい。

でも、否定されても悲しい。

蓮が女性に対して気分を害さないように、方便を使うことを知っているから。

否定された方がやるせなくて、自分のために気を使う行為をされるかと考えただけで自分を攻め込みたくなる。


そんなことを考えている間に、蓮は歩くのを止めてしまった。



(ああっ、どうしようっきっと困ってる!私のバカ~!!)



今すぐ自分の頭を殴りつけたい気分で、キョーコは謝罪しようと口を開いた。



「すみません!敦賀さん、今のは・・・」



そうキョーコがまくしたてたのと同時に、蓮が口を開いて何かを言った。

けれどちょうど花火の轟音で、半分以上その言葉は消失していた。

と、思った。


キョーコにとってはそんな言葉は想像上なかったから。



「・・・・・・・は?・・・・」



「だから・・・・俺は、君がいいの・・・・どんな体型がいいとか・・そういうのじゃなくて・・・最上さんが、いい・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」



キョーコは何度も瞬きをした。

今聞いた言葉も信じられないが、目の前にいる名俳優で、大先輩で、夜の帝王になれちゃう人で、怒ると魔王様になって、自分には無頓着で、芝居にはとことんこだわって、子供っぽい時もあるけれど自分が悪いと思ったら素直に謝れちゃう大人の人で、いつの間に・・・大好きになっていた人が、恥ずかしそうに顔を赤くしてちょっと怒ったように困ったように背中にいるキョーコを見つめている光景が夢の中のようだった。


まだ花火の轟音と、時折降り注ぐ光のシャワーは蓮の顔を真剣にも赤くにも青くにも映し出してからかっているのか本音なのかキョーコにはわからなかった。


けれど笑って流せる空気ではなかった。


そっと、キョーコはその場に下ろされた。

蓮が持ってくれていた下駄を履き直し、見下ろしてくる蓮を見上げた。



「・・・・・今日も・・・・社長に、最上さんがすっごく可愛い格好して夜の街に繰り出すと聞いて・・・いてもたってもいられなくてここに来たんだ・・・・・まあ・・・騙されるのは慣れてるけど・・・最上さんの浴衣姿・・・見たかったし・・・」



これは・・・誰だろう・・・・?


愛らしくていじましい表情で、そう言い募っては私を見る乙女なヒト・・・・。



「・・・最上さん?大丈夫?」



「・・・すみません・・・・酔ったみたいです・・・」



キョーコは少し眩暈を抑えるように額に手をやった。



「え!?お酒飲んだ?」



「いえ・・・きっと・・・このお祭りのせいです・・」



すると蓮は怪訝な顔をした。



「・・・・人酔いってこと?」



「いえ・・・きっと・・お祭りマジックです」



「・・・・え?」



キョーコは真剣な表情で顔を上げると、呆然とする蓮に詰め寄った。



「私も敦賀さんも、きっとこのお祭りを楽しみにしすぎて酔ってしまったんです!吊り橋効果同様、イベントで偶然近くにいた人に好意を寄せるという流れです!敦賀さんはこのお祭りの雰囲気に飲まれてしまったんです!!!」



蓮が呆然としている間に、キョーコはそう叫んで一人納得しようとしていた。

しかし、それは簡単に打ち砕かれた。



「・・・・へえ?・・・俺が簡単に流される男だと・・・最上さんは思っていたのか・・・」



(ひい!?な、なんで?!大魔王が降臨されかかって!!?)



にっこりと裏のある笑顔で凄む蓮に、キョーコは青ざめた。



「だ・・・だって・・・・敦賀さんがそのようなことを私に言うはずがないじゃないですかっ」



「どうして?」



「だって・・・」



憮然とした表情で腕組みをして、見下ろしてくる蓮がまるで筋モノのように感じながらもキョーコは必死に言い訳をした。



「だ、だってっ・・いつも敦賀さんの周りには素敵な人たちばかりですし・・ちょっと毛色の違うのが目についただけで・・こんなお祭りの非日常空間でこんな異常な状態だったから勘違いしちゃっただけで・・・・」



「ふう~~ん?・・・勘違い・・・・ね?・・・・・・本当にそう思ってる?」



「へ?」



まだ怒りは解けていないようだが、先ほどよりも怒りのオーラが少ないことにキョーコは首を傾げた。



「あ・・・あの?」



そのままじっと見つめられると、さらに居心地が悪くなってきて蓮から少し後ずさった。

けれどそれは簡単に詰められた。

蓮が一歩キョーコに近づいて。


それを繰り返していくうちに気づけば、通りから少し離れた雑木林の中にたどり着いてしまっていた。



「つ・・敦賀さん?」



「・・・・はあ・・・・本当に君は無自覚で困る・・」



急に頭を抱えた蓮に、キョーコはピンときた。



「またからかったんですか?!」



「・・・・そういうところが、困るっていうんだよ」



「はあ?」



「君は可愛いよ」



「っ!?そっ?!からかってっ・・」



「君をからかって俺が何か得する?」



「・・・・元来いじめっ子だし・・・」



「・・・・君は俺に何か恨みでもあるのか?」



「・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・」



花火が終わったらしく、辺りが静寂を取り戻した。

蓮がまだ怒っていると感じ、キョーコが顔を上げられずにいると大きなため息が頭上でした。



「・・・わかった・・・100歩以上譲って、君の言う通り『祭り酔い』をしていたことにしよう」



「・・・は?」



「確かに、気持ちの整理もついてきて機会を狙っていた身としてはこんな非日常空間は絶好の機会だったとは思う」



「あ・・あの?敦賀さん?」



ジリリ・・・と近づいてくる蓮から逃れようと一歩下がったキョーコだったが、その背中に大きな木の幹が立ちはだかりそれ以上進めなくなった。

そんな状況で青ざめるキョーコに構うことなく、蓮は獲物を追い詰めた猛獣の如くその距離をじわじわと詰めていった。


そしてそれは木の幹に縫いとめられるように固まっているキョーコの顔の横に、手をついたことで終了した。

キョーコの心の中で捕獲完了の文字が浮かんだ。



「ここで君にキスをしても、君は俺が『酔っていた』ということで笑って流してくれるんだろ?」



「へ!?・・・・え?」



囲むように置かれた手に気を取られている内に言われた言葉に、キョーコはすぐに反応できなかった。

その間にもジワジワと二人の唇までの距離は近くなっていく。

心臓があり得ないほどの血液を体中に送っているせいで、鼻から息が荒く出てしまいそうになる。

けれど口を開くわけにもいかずに、蓮の顔がさらに近くなるとこんな鼻息をかけてしまうなんて言語道断と言わんばかりにキョーコは息を止めてしまった。


それがいけなかった。



「・・・・・・・・・・・・っ・・きゅ・・・・・」



「ん?」



「きゅううっ~~~~」



「え!!?最上さん!!?」



顔を真っ赤にして、酸欠になったキョーコは目を回して蓮の腕の中で意識を失ってしまった。



゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



(ああ・・・・ゆらゆら揺れる・・・金魚がいっぱい・・・・・)



温かな何かに掴まって、キョーコは赤く揺らめくモノを眺めて微笑んだ。



「・・・ちょっと・・・この子、敦賀さんの背中におぶわれたまま笑いながら寝てるわよ?」



奏江の言葉に、蓮ははじめ意外そうな顔をした後ふと口元を弛ませた。



「あっ、蓮・・・お前やっぱりキョーコちゃんに何かしただろ?!」



「・・・・・・・・・してませんよ?」



「なんだ・・その間は・・・」



まだ疑いの目を向けてくる社に、蓮はにっこりと笑顔を返すと社はそれ以上突っ込んでくることはなかった。

酸欠で意識を失ったキョーコをおぶった蓮と、花火を見終わった一同と合流した時『祭り酔い』だと説明したら社以外はなぜかあっさり納得した。


花火後で混んでいる道をゆっくりと歩きながら、蓮は背中を少し振り返った。


先ほどよりはずいぶん顔色もよくなって、気持ちよさそうに蓮の背中で眠っているキョーコにそっと囁いた。



「お祭りだけじゃなく・・俺に酔ってくれれば良かったのにな・・・」



小さなため息が、屋台の様々な匂いが漂う夜の空気の中に消えていく。



「・・君とずっと来たいと思ってたんだよ?・・・お祭り・・・・ね?キョーコちゃん」



そんな風に蓮がこぼしていた時、キョーコは夢を見ていた。

幼いころの姿のまま浴衣を着たキョーコと、コーンは金魚が宙を浮き泳ぐお祭りで楽しく過ごすという夢だった。



「・・・コ-ン・・・おまつり・・・たのしいね?」



むにゃむにゃとしながらも、笑みをこぼして呟いた言葉に蓮が一気に破顔してしまい社長と社に見つかって酷く恥ずかしい思いをしていることになんて夢の中のキョーコは知る由もなかった。


この後キョーコは一気に酔いを醒ますような起こされ方をするのだが、これはまた別の話しになるのだった。






end