なんてことない非日常 -11ページ目

なんてことない非日常

スキビ非公認二次創作サイトです。
駄文ばかりの辺境館ですが、広いお心で読んでいただける方歓迎しております。

昨夜は何の予告もなく、≪カメラと~≫の2をアップしましてすみません。


皆様、お変わりなどございませんでしょうか?

近頃の気象に振り回されておりますユンまんまです。


リアルでのバタバタですっかり離れていましたが、ようやく戻ってこれそうな気配になり来週より本格復帰をしたいな~とご挨拶させてもらいに来ました。




・・・と、言ってもすっかり書き手から離れていたので以前にも増してのスローペースにガタガタな話になるかもしれませんがよろしければお付き合いくださいませ!



さて、今後の予定ですが・・・決まっていません(涙)←おいこら


本日と明日、とりあえず≪カメラと~≫の続きをアップさせてもらいます。

少し加筆などしておりますが、基本のお話は変わっていませんので以前見たことのある方はどこらへんに書き直しがされているか見比べてみるのもいいかもしれません♪



できれば、ルートや彼女についてやマリッジをつつがなく進めたいと考えていますが・・すでに別の話を書く欲求もムクムクしておりますので

『ああ~!!その話じゃないのに!!』と思われるかもしれませんが、どうか生あたたく暴走するユンまんまを眺めてくださいませ・・。



それでは、暑い日が続きますが皆様どうか体調など崩されませんように。

楽しい夏にいたしましょう!


暑中見舞いもどきの復活宣言でした!




カメラと彼女と自転車と   2





 「よし!!いい天気だな!?」



ファインダー越しを自らの両手で作り、その中を覗き込んで黒崎は上機嫌で振り返った。

しかしそこには、抜けるような青空とは対照的に黒く澱んだ空気を纏うキョーコの姿があった。



「・・・・・・・・・しけた面だな~・・・なんだ?また役が掴めていないのか?」



「・・・いえ・・・そういうわけでは・・・・・」



どよよ~~ん・・と、さらに落ち込むキョーコに黒崎は大きくため息をついた。



「今から自転車爆走させるヤツが、そんな調子だと困るんだが?」



「うぐ・・・すみません・・・まったくもってすみません・・・」



ネガティブワールドへ突入しているキョーコには、何を言っても仕方がないと黒崎は台本を筒状に丸め無言で後ろ首をポンポンと叩いた。


すると、少し離れた所で女性たちの黄色い声が上がった。



「おっ、王子様登場か?」



声のする方に二人が顔を向けると、マネージャーの社と共に人当たりのいい笑顔を見せながら、野次馬で集まった女性たちやスタッフに挨拶をしてこちらに向かってくる蓮の姿が映った。



「遅くなりました」



「いや?時間5分前だ・・・じゃあ、軽くテストするか・・・お~い!スタンバイしろ~」



俯いて固まるキョーコを置いて、黒崎はその場を離れてスタッフたちに指示を出しに行く。

それと入れ替わるように蓮が、少し遠慮がちにキョーコの側に寄った。



「・・・おはよう・・最上さん・・・このあいだは・・・」



言葉を選びながら口を開いた蓮に、キョーコはギクリと肩を震わせるとササッと距離を取った。



「いっ・・いえっ・・・・先日はお邪魔いたしまして申し訳ありませんでした!・・・わ、私は・・私もこの作品をいい物にしたいと思いますので、敦賀さんもお気になさらずに・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・そ・・う・・・」



そう会話を終了した二人の間には、微妙な空気が流れた。

それを背後で感じ、会話を何気なく盗み聞きした黒崎はちらりと二人を振り返った。



(・・・・はあ~~ん・・・)



目を伏せ、耳まで赤くなりながらも少しだけ苦しそうな表情のキョーコとそれをそれ以上に苦しそうな顔で見つめる蓮。

二人の表情を見た後、黒崎は正面に顔を戻し忙しそうに働くスタッフたちを目で追いながら小さくため息をついた。



「・・・・さて・・・どうしたもんかな?」



黒崎は一抹の不安を抱えながらも、今この二人に割って入るのは得策ではないと感じ尻ポケットに突っ込んでいる携帯を取り出した。



「・・・・・あ、もしもし・・黒崎です・・・ええ・・はい・・・・ちょっとお尋ねしたいことが・・・・・・・」




*************




携帯を済ませた黒崎は、気分も新たに準備の整った現場を確認した後メガホンを取った。



「じゃあ、京子!準備はいいか?!」



黒崎の声は、遠く離れたキョーコの耳にも届いたのかコクリと深く頷くのが見えた。

それと同時に黒崎は、メガホンを振るった。



「ヨーーーイ・・・スターット!!!」



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



少女は通常の女子高生が使うような自転車ではなく、軽そうな細いフレームに細いが大きな車輪のついたものを押しながら自宅の門扉を出た所で幼馴染の男性も同じように門を出てくる姿が目に映った。

彼は、愛用のカメラが納まっている大きなバックを背負いながら少女の方に笑顔でやってきた。



『おはよう、今日は試合?』



『うん!兄ちゃんも撮りに来るの?』



少女は器用に体で自転車を支えながら、両手でカメラを構えるポーズをとった。

それに彼は柔らかな笑顔で頷く。



『期待してるぞ』



『任せて!』



笑う彼女は、いつものように太陽のキラメキを反射するような笑顔を見せた。

けれど、その笑顔の横でピースサインをする手が微かに震えていた。


それを見た彼は、口元に拳を持ってきて小さく口の端を上げると彼女の頭をポンポンと撫でた。



『!?』



『いつもの調子でいいよ』



その柔らかな言葉に、柔らかな表情に少女は目を見開いた後少し顔を赤らめながらも『当然!』と返して自転車に跨った。


それでも少女は緊張していた。

大会の舞台袖。

他の競技者が、きっちりと自分のメイクをこなしていく。

沸きあがる歓声。

会場の熱気。


全てが彼女の小さな肩に重くのしかかる。


その時、彼の微笑みと共に『いつもの調子でいいよ』と言われた声が蘇る。

彼女は愛用のデオドラントを首元に一気に振りかけた。


アイスクールで火照った肌をクールダウンして、キラキラと輝くパウダーがサラサラ感と肌を綺麗に見せる輝きを同時に彼女に与えた。


彼女はコールされて一気に飛び出した。


いつも通り。

いや、いつも以上のメイクに観客は今までにないほどの盛り上がりを見せる。

その観客たちの中に、プロ使用の大きな一眼レフを構えた彼が彼女のメイクを逃すまいとシャッターを切っていた。


結果、彼女は最高得点で名前を呼ばれた。


一番高い壇上から、彼を見つけた彼女はカメラを構えた彼に満面の笑顔を向けた。

今度は震えていないピースサインで。


その笑顔に、彼は心の内が熱くなるのを感じファインダー越しではなく自分の目で彼女の笑顔が見たくなったのだった。



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



「いいんじゃね?」



映像をチェックした黒崎の言葉に、スタッフたちから歓声が上がりキョーコも蓮もそしてエキストラたちも安心した笑顔を見せた。



「本日の撮影オールアップです!お疲れ様でした~!!」



助監督のその言葉に、皆がそれぞれ帰るための準備を始めた。

当然キョーコも蓮も、いろんな所から声をかけながらも退出しようと流れていく。


しかし黒崎は慌てて二人を呼び止めた。



「おおい!お二人さん、ちょっと待ってくんねーか?!」



「あ・・・はい」



「なんですか?」



二人同時に止まり、黒崎に振り返った。



「ちょっと提案があるんだが・・・」



非常に楽しそうな笑みを見せる黒崎がこの先何を考えているのか知らない二人は、疑問符を頭に貼り付けながらお互い顔を見合わせて首をかしげたのだった。




3へ







≪皆様お久しぶりです。まだまだ書く時間が取れずに悶々としておりますが・・・以前、企画ものがあり書かせていただいたお話を(たぶん)こちらではあげていないと思いましたので少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、しばらくお付き合いくださいませ。ユンまんまでした。≫







カメラと彼女と自転車と   1





 ―アナタの魅力を引き出す、KOOSAシリーズ―



そう記された表題でまとめられた書類の束を、それぞれ受け取ったキョーコと蓮は目の前にいる黒崎 潮監督と交互で眺めた。



(・・・相変わらず・・派手な格好・・・)



(彼が最上さんが初めて出たCMの監督さんか・・・)



「なんだ?まだわからない所でもあったか?」



それぞれの心の中など知らなくて当たり前なのだが、黒埼には察するという能力は持ち合わせていない。

キョーコの微妙な表情も、蓮の食い入るような目つきも真意を知ろうとしない黒崎は本題を早く話したそうだった。



「あの・・・・この、全5話って・・・どういうことですか?」



そんな黒崎に、キョーコがとりあえずの質問をすると大きなため息が返ってきた。



「なんだ・・京子、お前最近のCM見てないだろ?」



「え・・・・・いえっ!?・・あ・・・・す・・すみません・・・・」



黒崎の指摘にしょげるキョーコの横で、蓮のこめかみがピクリと動いていることなど知らずに黒崎はニヤニヤしながらゴツイ指輪がいくつかはまった手を伸ばした。



「そんなに忙しいのか?大女優様は?」



項垂れたキョーコの頭をわしゃわしゃと撫で回し、笑う黒崎にキョーコは乱れた髪を直しながらまた謝った。



「すみません・・・怠慢でした!!必ずや撮影開始までに残らず視聴いたします!!!」



「ぶっは!相変わらずまじめだな~~」



真剣に答えたキョーコに対して、笑い出した黒崎を見てようやくからかわれている事がわかったキョーコは頬を膨らませた。



「あの・・・先に進めてもらってかまいませんか?」



その後もなんだか高校生カップルか?!と、突込みが入りそうなやり取りをしていた黒崎とキョーコに対して蓮が痺れを切らしたようにそう声をかけた。



「おお、悪い悪い・・久しぶりにコイツと絡めると思うとワクワクしてよ~」



「すみません!敦賀さんもお忙しいのにっ・・でも、監督の作品に出られるなんて本当に久しぶりで私もとても楽しみで・・」



すると、また気があったことに黒崎からハイタッチを要求されたキョーコがそれに答えるという蓮からすれば悪循環が始まりそれを咳払いで収めた。



「・・・・・・あ~・・だからな?最近は、主な宣伝部分を放映してドラマ自体の内容は『続きはWebで♪』がパターンなんだよ・・俺としては短い時間の中でいかに表現できるか?!っていうのに拘っていたから、そういうのは断っていたんだがな?・・・お前の演技見てたら、全部描きたくなっちまって」



白く、並びのいい歯を輝かせ笑う黒崎の言葉にキョーコは頬を染めて嬉しそうに笑った。



「ありがとうございます!!」



「まあ、たまにダメダメな所もあるからな?その時はビシバシしごいてやるよ!」



「ひっ・・・お・・おてやわらかに・・・お願いします」



楽しそうに笑う黒崎に、キョーコは顔をひきつらせつつも台本を見ては目を輝かせている。

そんな二人の空気から蚊帳の外状態の蓮は、非常に面白くなかった。


懇意にしている監督など蓮にだっているし、そんな時はきっと今の状態の蓮の立場にキョーコがなってしまうことだろう。

だから、ただ蚊帳の外になっていることについてはなんとも思わない。


面白くないのは、黒崎とキョーコの距離感だ。



(・・・・・・やたら近くないか?)



恋愛感情が皆無なのは見て判る。

判るが、自分がしたいことを意図も簡単にされると腹が立つ。



(頭クシクシャだって・・からかって少しむくれた最上さんにするのだって・・俺がしたいのに)



そんなことを悶々と頭の中で巡らせていた蓮は、まだ楽しそうに会話している二人の間に無理やり割って入った。


「それで・・俺と最上さんの役どころは・・・」



「ああ、敦賀君は京子の幼馴染のプロカメラマンで京子は高校生ながらモトクロスの女性選手っていう役だ」



「・・もと・・くろす?」



「知らないのか?自転車のアクロバット走行の競技だ」



「あの・・・なんで・・・そんな特殊な・・・」



あまりに一般的な女性像にはなりにくい上に、有名な選手を使うならともかく素人キョーコをわざわざ据えて設定しなければならないものでもないだろう。

そう、キョーコがいぶかしんでいると黒崎はにやりと笑った。



「京子は、自転車が得意だって聞いてな?以前、自転車で階段を駆け下りたことあるんだろ?しかも後ろに人を乗せて」



「「!!!??」」



黒崎の言葉に蓮とキョーコは思い当たる光景を思い出した。


それは以前、蓮のマネージャーである社が病気でダウンした時代マネとしてやってきたキョーコが遅刻しそうな蓮を後ろに乗せて街中を爆走したことがあった。



「今回のCMにもそのシーンを入れたいんだよ・・・まあ、後ろには乗せないで一人で爆走してもらうけど」



「・・・は・・・・はあ・・・・」



それなら大得意だし、普通の女子高生設定では難しい所だ・・・。

と、キョーコは一人納得をした。



「敦賀君には、顔のいいカメラマン役ね?」



「・・・・はあ・・」



わざわざ蓮に『顔のいい』なんて言葉を使う黒崎の真意を探ろうと蓮が目を細めると、黒崎はにい~っと笑った。



「顔が良すぎて、モデルになれそうなカメラマンが自分の腕を評価されないことを幼馴染の彼女に支えてもらうっていうのが今回のテーマかな?」



「・・・・KOOSAシリーズということは、いくつかの商品を盛り込んでいくんですよね?」



「ああ、第一回目はデオドラント剤・・これは地上波でも流す。その続きのデオシートバージョンは2週間後にまた地上波で流す。全容が見たいならKOOSAのWebで視聴するということになっている」



小さな嫉妬心を押し殺して、黒崎との打ち合わせを進めていく蓮にキョーコも居住まいを正してもらった書類に注意事項や要望を書き込んでいき今日の打ち合わせを終えた。

と、思った。


打ち合わせ場所から立ち去ろうとした黒崎は、礼儀正しく立ち上がって頭を下げている二人にクルリと振り返った。



「ああ、そうそう・・最終話にキスシーンあるからそのつもりで、お二人さん」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「はあああ!?」



頭を下げつつも手に持っていた書類をバサバサと落としながら、キョーコは絶叫していた。



「・・・・・・最上さん、落ち着いて?」



キョーコの落とした書類を拾い上げながらもあまりの動揺っぷりに、こっそりショックを受けているのを笑顔で隠して蓮はキョーコを宥めた。



「まあ、そう構えるな?最終話の原稿はまだ上がっていないから、出来上がり次第渡すわ・・んじゃ、来週からよろしく~」


まだ放心状態であるキョーコと、そのキョーコを宥める蓮を残し黒崎はスキップでも踏みそうな様子で部屋を出て行ってしまったのだった。



*************




「・・・・・あ~・・・最上さん?」



ガチイイ!!


蓮は運転席から隣にいるキョーコに声をかけただけなのだが、激しく固まるキョーコにどうしたらいいか戸惑っていた。



「・・・・・・・・・・・・えっと・・・・・」



岩状態にひびを入れつつ、ちょっとづつ振り向くキョーコに蓮は非常に気まずい顔をした。



「そんなに・・・今から緊張してたら・・心臓もたないよ?」



助手席に座るキョーコをなるべく刺激しないように声をかけ、けれど自分を意識してもらっていることに少なからず嬉しさを滲ませて更なる意識をしてもらおうと口を開いた。



「今回の役、最上さんにぴったりだし・・・その相手役に俺がなれてよかったって思っているんだ・・・・」



「え!?」



酷く驚いた返事に、蓮はクスリと笑った。



「いい、CMにしたいよね?」



「・・・・・はい・・・・それは・・・」



戸惑いながらも頷くキョーコを、前を見ながらも感じてハンドルを切った。



「最上さんとなら、すごくいいドラマになると思う・・・監督にあんなことを聞かされて緊張しちゃうのはわかる・・・けれど、君は君らしく役に入り込めばいいと思うし・・俺も役として相手するから・・・だから・・・今、こんな風に緊張されるとちょっと悲しいな?」



赤信号で止まると、蓮はキョーコの方を見ながらハンドルに頭を乗せて微笑んだ。

その笑顔にキョーコが内心、打ちのめされているとは知らずに小さく頷く姿に思わず手が伸びかけた。


パッパ~



「!っ・・・」



いつの間にか信号が変わっていて、後続車からクラクションを鳴らされると蓮は急いで車を発進させた。



(・・・敦賀さん・・・私を緊張させないように言ってくれただけ・・だよね・・・だけど・・・・)



まるで、役に入っていない素のキョーコには微塵も相手にできないと言われた様でキョーコはひっそりと落ち込んだ。



(・・・・ヘタレだな・・・・俺って・・・意識して欲しいのに、会話もできないほど固まられるのが耐えられないなんて・・・・)



こっそり落ち込んでいるキョーコの横で、蓮はさらに凹みながら車はキョーコの下宿先へと緩やかに向かっていったのだった。


そんな二人の心情を汲むこともなく、CM撮影の日はあっという間に来てしまったのだった。




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