《なんだか続いてしまってすみません(泣)SS見てはいけない とSS見られたら・・・ のラストです。・・・たぶん。
そして、やっぱりこうなりました。(爆)では、はりきってどうぞ!!》
SS見せられない
あの日以来、ただでさえ眠れなかった日々に拍車がかかった。
蓮はカインスタイルで今夜も繭になり、雪花が片づけをしている間にさっさとうたた寝に入ろうとしていた。
だが・・・【カチャ・・パタン・・・ゴゾゴゾ・・・パサ・・・】
雪花が立てる音が薄い壁を通してもはっきりと伝わってくるようで、身の内に溜まる熱が日に日に抑えきれなくなっていくのをあの日、細い腕を掴んだ手を眺めながら感じ、大きなため息を繭の中でついた。
【ザアー・・・キュッキュッ・・・・】
シャワーが止まる音がすると、ドライヤーの音を確かめて蓮は今度こそ繭になろうと一層丸まった。
しばらくすると、キョーコの趣味とは無縁のナイティに身を包んだ。(かろうじて隠した?)雪花がサニタリィールームから出てきた。
(・・・・今夜も繭ね・・・)
いつもの姿に安心感を覚えながら、ホテル備え付けの冷蔵庫を開けて水を飲もうとした。
(あ・・・・兄さんの分がもう無い・・・・・しょうがないか・・・)
雪花は自分の飲みかけの水を一口飲み、冷蔵庫に戻すと着替え始めた。
その音は蓮の耳にも届いていて、そっと繭の中から様子を伺った。
普段着を着た雪花が財布を持って部屋を出ようとしたため、蓮は慌ててカインになり声をかけた。
「どこへ行くんだ?・・・・こんな時間に・・・」
「!!びっくりした・・・起きてたの?」
カインの声に雪花は慌てて振り向いた。
「兄さんのお水がもうなくなりそうだったから・・・買いに行こうかと・・・」
シーツを被ったままのっそっとベッドを降りて、出口に向かおうとする雪花の腕を掴んだ。
「・・・・俺の・・・見えないところにいくな・・・・」
「・・・・だから・・・すぐ帰ってくるから・・・」
掴まれた腕が熱くて雪花の中のキョーコは痛いほどに鼓動を打つ胸を空いている方の手で思わず庇ってしまった。
「・・・・ダメだ・・・・行くな・・」
蓮であれば、こんな真夜中に女の子一人、しかも雪花は露出の高い服を着ているため外に出るのは危険だと言えるのに・・・カインであるじれったさから雪花をただ自分のベッドに投げやって食い止めるしか出来なかった。
キョーコはカインのぬくもりが残るベッドに放られ、思考が止まった。
いくら部屋の中は空調が効いているとはいえ、露出の高い服は風呂上りの肌から熱を奪っていた。そこに柔らかなぬくもりが触れて、連日の寝不足が急速に体の動きを遅くした。
「・・・・セツ?」
一気に瞼が重くなったキョーコにカインが声をかけたため、キョーコは意識を慌てて取り戻し雪花になった。
「・・・わかった・・・朝買ってくるから・・・だから・・・もう、どいて?」
なんとかカインを押し退けると雪花はそのままベッドにごそごそと入った。
それを見届けたカインもごそごそと大人しくベッドに転がり繭を作った。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
暗くなった部屋でキョーコは以前のような失態が無かったことに安堵のため息を吐きつつ、何度目かの寝返りを打つ。
さっきは急に眠りが襲ってきたのに今はまったく眠くならない。
それどころか心臓が早鐘を打ち続け、蓮につかまれた腕がいつまでも疼いているようだった。
「・・・・・っつはあ・・・・」
また寝返りを打って、壁に頭をくっつけるとひんやりとした感触に少しだけ落ち着いた。
(・・・あ・・・・少し・・寝れそう・・・)
まだ重くはならない瞼を軽く閉じたとき、背中に低い声が投げかけられた。
「眠れないのか?」
「!!?・・・・起きて・・・たの?」
慌てて振り返ると、真剣な眼差し雪花に向けるカインの姿があった。
(・・・・・・え~と・・・・繭から・・・出る気はないのね・・・)
丸まって、顔だけ出しているカインに上体を起しただけの雪花は固まったが、変に動かれるよりはいいかとそのままにさせて頷いた。
「じゃあ・・・・一緒に寝るか?」
「・・・・え?・・・」
カインの申し出にキョーコの頭の中に同時に繭になる二人を想像して思考を止める事にした。
雪花が固まっていると、カインはベッドを軋ませて降り、包まっていたシーツを大きく広げた。
目の前にバスローブからちらりと見える均整の取れた肌と白の世界が広がり瞬く間に雪花はカインの腕の中に納まった。
温かい肌の香りがキョーコの鼻に届くとふっと全身の力が抜け、カインに押し倒されるがままベッドに転がった。
(・・・どうしよう・・・離れ・・なきゃ・・・いけないのに・・・)
思うように動かない手を動かし、雪花はカインのバスローブを弱弱しくにぎった。
「つ・・るが・・・さん・・・・・・」
「・・・・・今・・・その名を呼んだら戻れなくなる・・・・・」
「!!」
苦しそうに眉をしかめる連の表情に眠りかけた脳が活性化したキョーコは慌てて両手を口で覆った。
「・・・・・もう・・・手遅れみたいだ・・・」
カインの仮面が剥がれ蓮の瞳が熱くキョーコを見つめると、キョーコの柔らかい頬に唇が押し当てられた。
「!・・・手遅れっ?・・・・んっ!?」
蓮の行動に驚き、完全にキョーコに戻ったその身体をしっかりと腕に巻きつけ、蓮は唇を奪うように重ねた。
「っっ・・・・んっ・・・ふぁ・・・・んんん」
その口付けはキョーコが今まで体験したことない甘く、激しく息継ぎも忘れるものだった。
「!!最上さん!?」
くにゃ・・・となったキョーコに気がついた蓮が慌ててキョーコを起すと何とか息を吹き返しぜえぜえと呼吸しながら蓮の腕の中に囲われた。
「ごめん!・・・つい・・・」
「っつ・・・あの・・・敦賀さん・・・に・・戻ってますよ?」
「うん・・・・君は最上さんに戻ってるよね?」
何とか呼吸も整ったキョーコが蓮の胸を押し返し顔を上げると、目に痛い極上の神々スマイルの蓮と目があった。
「あ・・あの・・・」
「言っておくけど、今のは演技が入ったキスじゃないから・・」
「!?・・・あ・・・や?・・・でも?・・・・」
「・・・・順番が逆になってしまったけど・・・・俺は演技抜きで・・・君とキスしたかったんだ」
その言葉にキョーコは呆気に取られていると、蓮に目の前で手を振られた。
「聞いてる?最上さん・・・」
「は・・はい!!・・・・・は・・・・・・・・えっっ!?!むむむ~~~~!!!」
キョーコの叫び声を蓮は大きな手のひらで塞ぎ、ホテル内に響き渡るのを防いだ。
「うん・・・びっくりさせてごめん・・・でも・・・本気なんだ」
「・・・・・・・・」
嘘の無い視線にキョーコは急に大人しくなって俯くと、キャミソールの紐だけがかかる肩から雪花の髪がさらさらと落ちた。
それを蓮はそっと肩の向こう側へと救い流すとキョーコの冷えた肩を掴んだ。
「・・・・敦賀・・・さ・・ん・・・私・・・」
「うん・・・」
混乱が収まるのを待つように蓮は静かに返事した。
「・・・・恋は・・・二度としないって・・・思ったんです・・・誰にも心を奪われないって・・・・」
「・・・・・・・・」
かみ締めるように言葉を紡ぐキョーコに蓮は真剣に耳を傾けた。
「・・・・でも・・・すこしづつ・・・それが敦賀さんに揺るがされて・・・・この想いが何なのか・・・私にもわからなくて・・・・だから・・・・!!?」
敦賀さんの気持ちに応えられませんと返そうと思ったキョーコを蓮はきつく抱きしめた。
「・・・それは・・・少しでも俺に心を向けてるって・・・思っていいのかな?」
キョーコは肩に直接響く蓮の声に戸惑い考えた末、身体を熱くしながらもコクンと小さく頷いた。
「ありがとう・・・・それが聞けただけで嬉しいよ」
「!!」
今にも泣き出しそうな、それでいて嬉しそうな蓮の『破顔』にキョーコは心の奥が熱くなり、最後の鍵が溶けるようになくなった気がした。
「・・・・・・あんまり・・・そういう顔しないでくれる?」
「へ?」
全く無意識のキョーコが潤む目と頬を染めた表情で首を傾げると、蓮は困ったように少し笑って見せた。
「(誰にも見せられなくて)・・・・今すぐ・・どうにかしちゃいそうだから」
「!?」
ざっっと一気に離れたキョーコに少し寂しそうにしながらも優しく微笑む蓮にキョーコは熱くなる頬を両手で押さえた。
(これ以上のいい返事を期待して、叶ってしまったら社長との約束を反古しそうだし・・・・この緩んでしまった顔はカインでは彼女以外には見せられないし・・・な)
憎いジレンマに蓮がさいなまされている傍でキョーコも熱が引かない頬を押さえながら、
最後の鍵がなくなってしまった箱の扉が開き、その中に残っていたものが『愛』だと知るのはもう少し先の事だった。
end
《こんなものでどうでしょう!?わあん・・・長く続けた割にはこんなもんですみません!!》