心を止めて見聞けば
伊勢神宮の遷宮と日本・世界の出来事
2021年8月の米のアフガニスタン撤退、タリバンの実効支配による混乱のニュースを見ていて、昔から伊勢神宮の遷宮にまつわる言い伝えをふと思い出しました。
以下は、東村篤 四日市大学経済学部教授のご意見を参考にしてまとめたものです。
伊勢では、昔から東に神様がおられる時代は平和で心豊かな「精神の時代」(米座:和御魂優位)、
西に神様がおられる時代は波乱、激動、物質欲が強い「経済の時代」(金座:荒御魂優位)
と「遷宮は時代の転換点となることが多い」と言い伝えられてきたそうです。
日本人は、古来、”火と水は対立しないもの”という考え方に基づいており“自然のなかの人間” の精神思想です。
[表:伊勢神宮の遷宮と日本・世界の出来事]
幕末からの歴史(表)を紐解くと、1849年~1869年(嘉永2年~ 明治2年)は「西」にあり黒船の来航や戌辰戦争がありました。
1869 年(明治2年)の遷宮で「東」に遷ると、文明開化で近代化への発展期となりました。
1889年~1909年(明治22年~明治42年)は「西」に遷りこの間、日清・日露の戦争の時代でした。
1909年~ 1929年(明治42年~昭和4年)は「東」に遷御、大正ロマンを謳歌する時代となりましたが、1929年(昭和4年)の遷宮で「西」に遷り、激動の第一次世界大戦に突入しました。
敗戦後の混乱で 1949年(昭和24年)が4年延期され 1953年(昭和28年)に遷宮、
1953年~1973年(昭和28年~昭和48年)までは「東」に遷座されて目覚ましい日本の高度経済成長期を齎しました。
1973年(昭和48年)の遷宮では「西」へ遷り、1983年(昭和58年)までの前半は石油ショック、1993年(平成5年)までの後半には、中東湾岸戦争やソ 連崩壊、ベルリンの壁崩壊で東西の冷戦構造は崩れ去りました。
この間、日本は異常なバブル景気を謳歌しましたがその反動へと突入しました。
1993年(平成5年)の遷宮では 「東」に遷御、その後はデフレ不況が長引き“失われた20年”も未だ出口なき時代にあります。
グローバル化の波で中国、インド、ブラジルをはじめとした新興国が台頭し、これら新興国の高度経済成長に先進国をはじめ世界の国々が支えられる構図となっています。
2011年は、東日本大震災、新興国の民主化、EU圏の信用不安で先行きに不確実性さが増してきました。
さて、2013 年(平成25年)の「西」への遷御では、どうなるのでしょうか?
過去の例 から見れば、「西」つまり「金座」は激動、破壊と創造、変化の時代ということになります。
2016年の米国トランプ大統領の就任、17年の中国南シナ海の力による支配、一帯一路構想の推進。ISの台頭とテロの多発。
2018年には地球温暖化による異常気象が各地で目立つようになり、この状況は今も続いています。
元号が令和に変わった今も、2020年には新型コロナウイルスによるパンデミックの発生といった具合です。
情報通信技術の飛躍的な発展、5G、DX、AIといった世界を大きく変える技術も普及してきましたが、2013年以降の「西」すなわち「金座」の時代は、総じて創造と破壊の破壊が先行している感が否めない気がします。
この「金座」の時代は、2033年(令和15年)まであと12年続いていきます。
後半の10年が創造と破壊の創造に傾いてくれると良いのですが、果たしてどうなることやら。先のことはわかりません、ネ。