蔵干について
蔵干というのは、その考え方も出し方も本質を理解するのは
かなり難しいものです。
推命学の中でも蔵干の出し方は流派によってみな違い、特に
初学者を困惑させる場合が多々あります。
十二支の中にも隠された十干があるという考え方が蔵干です。
これは十干が天空の太陽であり、十二支が大地に該当するという
発想から来ています。大地は太陽の恵みを受けて、はじめて
万物を育成する作用を発揮します。
これから十二支の中にも十干が内蔵されているという「蔵干」の
考え方が出てきました。
通常十二支は二つから三つの蔵干を有していてそれぞれ余気、中気、正気といった呼び方をします。
各地支の蔵干を出すには、生まれた月の節入りから生まれた日までの日数を数えます。
十二支の蔵干は節入り日からの日数で移り変わっていきます。
これを月律蔵干分野といいます。
言葉だけだと理解しにくいので、表をみながら説明します。
例えばの事例として令和2年の6月17日12時生まれとした場合に、
一番近い節入り日は6月5日13時58分で、この日より約11日と22時間
経過したことになります。
6月の支は午ですから蔵干表を確認すると10日までは余気の丙、20日1時間までは中気の己、それ以降は正気の丁となっていますからこの人の月支の蔵干は己となるわけです。
月律分野蔵干表を見てください。
四正といわれる十二支の子、卯、午、酉はそれぞれ五行や方角、時刻の中心を成します。
子は五行は水で、蔵干は壬と癸が含まれます。
卯は五行は木で、蔵干は甲と乙が含まれます。
酉は五行は金で、蔵干は庚と辛が含まれます。
ちょっと異なるのが午で、五行は火ですが、余気は丙、正気は丁
ですが、中気に火生土とすすむ相生の己を含んでいます。
丑は、余気は癸、中気は辛、正気は己です。
この余気の癸は前の月の支の子の癸を引き継いでいるわけです。
すなわち節入りから日が浅い生まれの場合は、前の月の正気に律されていると考えたわけです。
同様に、辰の余気は卯の正気の乙、未の余気は前月の午の正気の己、戌の余気は前の月の酉の正気の辛になります。
このように秩序だてて整理していくと複雑な構成の月律蔵干も理解
しやすくなると思います。
こうして蔵干を出しましたら、各柱の天干と同様に生日天干から通変星を導き出すことができるようになります。
話が少し戻ります。各地支の蔵干の出し方は流派によって異なることは上述した通りです。
これはどの蔵干を採用するかによって日干から見た通変星も変わってきますので、非常に悩ましいことです。
流派によっては、年支はその月の深さで蔵干をとり、日支は正気から
蔵干を導きだす方法もあります。
月柱と日柱しか蔵干を導かない流派、また四柱のそれぞれの十二支から、全ての蔵干を導き出すものなど様々です。
そこで筆者が各四柱推命を研究し、自身の神機推命を確立するにあたり、一番理にかないその人の運命や性格を正しく反映していると結論ずけた蔵干の導き方を示します。(これは秘伝の一つです)
この方法としては、統計的に蔵干の算出方法を確認したのです。。
各界の著名人物を中心に約8000名の命式を読み解く実占例を集計しました。
それらをいくつかの蔵干の出し方で比較検討を行ったわけです。
その人に一番相応しい蔵干の導き方は、年、月、日とも変わらず、
節入り日からの日数を計算し、月律蔵干表から蔵干を算出する方法でした。
例外として、特に月支の蔵干において、正気を採用する場合もあります。正気から導かれた蔵干、通変星の方がその人の人生を的確に表している事例が存在しています。しかし、そういうケースは百例に一、二例と少なく、大半は月律蔵干表から導いた蔵干、通変星でその人の人生、運勢をより的確に判断することが可能でした。
くどいようですが、推命法は判じ物ではありません。命式を機械的に出して「はい、あなたの運命はこうです」といえるものではありません。
極力対面で命式を読み解く本人とお話をしたり、メールや手紙でやり取りをしながら、命式に現れている通変星などの象徴の中で、その人の性格や運命に強い影響を与えている因子を探り出したり、本来活用されていない優れた素質や才能を発見し、その人の将来により良い助言を与えるものなのです。
このことを良く理解していただければ幸いです。
以上、蔵干の解説でした。
本日もブログを最後までお読みいただき、有難うございます。