女将を呼べ! | 眠れない夜のための

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暇つぶしにでもなれば幸いです。

美味しんぼを語る上では、山岡さん、栗田さん、海原雄山等のあくの強い個性だけでなく、
脇を固める名わき役たちを見逃すわけにはいきません。

ということで、美味しんぼの脇役たちにもスポットを当ててみたいと思います。

その中で、今回はまず大原社主を取り上げてみましょう。
東西新聞のトップ。新聞界の重鎮。
巻が進むごとに、「飾り物の社主」などと陰口まで叩かれる、
おっちょこちょいキャラになってしまいましたが、
第1巻登場時には、押しも押されぬ大物ぶりを発揮していました。

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つのだじろうの「恐怖新聞」にでも使われそうな大原社主のタッチ。
その大原社主の「究極のメニュー」の一言の衝撃は、
居並ぶ社員たちに後光を感じさせるまでの威厳。

・・・・・・・。
なんだろな、この後光…。…なんていうか、言葉もないですね。


そんな、大原社主の大物ぶりが垣間見えたのが、第1巻の第7話『ダシの秘密」。
この回は、海原雄山の名言

「女将(おかみ)を呼べ!」

の初登場回としてあまりにも有名です。


この話は、海原雄山と大原社主の会食中、海原雄山の得意のコンボから幕を開けます。

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できの悪い吸い物を一口飲んでからの、

「ムオッ!」→「女将を呼べ!」

のコンボ。
これは、ゲーム「ストリートファイター」で言えば、龍の「中パンチ」→「キャンセル昇龍拳」
くらいの、海原雄山の基本戦略です。

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女将を待つ間にも、他の料理を「ガシャン!」
海原雄山の傍若無人はとどまることを知りません。

しかし、そんな時の大原社主のこの表情。
たいてい、こんな時は汗をだらだらとかきながらおろおろする人が描かれるものですが、
さすが大原社主。びっくりはしていますが、動じている様子はありません。

「うわ~、やっちゃってるよ~、この人痛いわ~」

くらいの感じの表情です。
そして、女将が出てくる時の表情が、またたまらなく大物。

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「女将!!私が誰だか知らぬはずはあるまいな!!」
と憤る雄山の前で、悠々と吸い物を飲む大原社主。
ここまで、雄山に無関心に振る舞える人も、そう多くはないはずです。

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この顔!
私はこの顔がたまらなく好きです。
プロフィール画像にしようかと一瞬考えてしまうほど好きです。
大物としかいいようがありませんよね。

その後、雄山は何度も作り直しを命じ、その料亭は無間地獄におちいりますが、
そこで一肌脱ぐのが、別室に控えていた山岡さん。
いきなり吸い物の味が良くなったので、褒めようと厨房に向かった雄山が見たのは、
因縁の息子、山岡さん。
手のひら返しで雄山はけなしにかかりますが、そこで大原社主の冷静な一言。

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その一言で、大原社主は理不尽すぎる美食倶楽部脱退となりますが、
大原社主の顔にはすがすがしさすら漂っているのです。

うーん、大物だ。