このドラマ、ずっと『世にも奇妙な物語』の気配がすると思ってました。


何だっけな、こういう雰囲気の話があったような…と記憶を巡らせた末に思い出しました。


今市子『僕は旅をする』

 

 

有名な作品なのでご存知の方も多いかも。


『砂の上の楽園』に収録されている短編で、稲垣吾郎主演で『世にも奇妙な物語』として映像化されました。


今市子の数ある短編の中でも、これは名作だと思います。旅行に出かけて電車にひかれた弟は、バラバラ遺体になったはずなのに、なぜかそのまま旅を続けていた。姉は弟を探す旅に出る、というストーリー。


美しく、切なくてとても悲しい。けれども優しさに満ちたホラーです。人間は思い残したことがあると死ぬことができない。強い想いだけが残像のようにこの世に漂っている。ラストシーンのインパクトと美しさは、いまだに心に強く残っています。


『永遠の昨日』の浩一もそうですよね。大好きなみっちゃんと並んで楽しく登校中に、トラックにはねられたのでは、はい、そうですかとは簡単に死ねない。


オカルト少女の鏡屋さんとのやり取りとか、わりと全体的にコミカルなのに、死体とみっちゃんのラブストーリーかと思うと、じわじわと切なさが襲ってきてメンタル削られるんですけど、どうしたらいいんですかね。萌えたいし、萌えてるんだけど、最終的に切なさが上回るこの感じ。だってすでに死んでるからさ…。


元々オカルトとBL or ブロマンスは相性が良いです。世界2大オカルト兄弟ブロマンス『NIGHT HEAD』『SUPERNATURAL』があるし、最近だと『さんかく窓の外側は夜』とか。


世界中の腐女子を狂わせたマッツ・ミケルセンの『ハンニバル』(私も存分に狂った)は、サイコスリラーであると同時に、レクター博士に愛されるウィルの共感の能力はほとんど超能力でした。しかもあの能力、FBIに重宝されているわりには、事件解決に全然役立っていないのがちょっと面白くて、ウィル不憫。


オカルト→耽美→BL(ブロマンス)


というイメージの流れで繋がっていくからなのか。人は得体の知れない恐怖と対峙するとき、そこに濃密な関係性が生まれやすいのかもしれません。死者や魔物に精を流し込んで…みたいなのも、わりと昔からの定番ネタですし。


話題の4話のラブシーンは、耳たぶを噛んでいるとこが、やりすぎないくらいの、でもしっかりとエロくて良かったです。噛んでるっていうより、口に含んで舐めているのが、日本のBLらしからぬネチっこさで新鮮。


受け役の井上くんのほうが体格がしっかりしてるので、ちゃんと男×男のラブシーンに見えます。当たり前なようでいて、これ大事ですよね。


私は鏡屋さん役の大友花恋の可愛さにも、癒されてます。黒髪ぱっつんボブの神秘的美少女っぷりがえぐい。テレビで可愛いなと思う子、大抵Seventeenモデルなのスゴい。どんだけ美少女発掘するんだSeventeen。


死体とのラブストーリーをやったなら、この後のBLドラマ、なんでもやれるんじゃないでしょうか。壁こじのアイドル×同人作家の組み合わせとか、今までになかったパターンが少しずつ増えてきていて嬉しいです。


今市子のBLは表現がライトだし、ドラマ化しやすそうな作品がたくさんあるので、いつか映像化して欲しい。



永遠の昨日1話の記事はこちら下差し