ラブストーリーには、2人が乗り越えなければいけない試練やハードルがあります。


それは親の反対だったり、片方が海外へ赴任するとか、あるいは強力なライバルがいたり。


それらは2人の努力次第で、解決することが可能です。故郷を捨てて駆け落ちしてもいいし、会社を辞めるとか、ライバルに負けを認めさせれば、無事にハッピーエンド。


しかし相手が死んだ場合、少なくとも努力だけではどうにもなりません。


死は死。


生者と死者では、住む世界が本当の意味で違います。


『永遠の昨日』は、乗り越えられないハードルを抱えた2人の高校生のラブストーリー。


事故で死んだはずの浩一が生きている。あり得ない状況の中で、おそらくは長くは続かない、2人の時間が綴られていきます。


原作は少し前のBL小説ですが、私はこのドラマを見て、小学生の頃、夢中で読んだティーン向けの少女小説を思い出しました。


あの当時、恋人が不治の病とか、死別エンドの少女小説がわりとあったんですよね。結構過酷な展開のものもあって、よく子どもがあんなしんどい話を読んでたな、と今にして思うものの、そのときは深く考えずに素直にそういうものとして受け取って読んでいた気がします。


周りの友達もそんな感じで、案外、子どもってそういう耐性をちゃんと持っていて、大人になってからのほうが、バッドエンドにダメージを受けたりして。


満が「楽しくなければ笑えない」的なことを言うのも、こういうお嬢さんヒロインいたわ!と懐かしくなりました。


山ほど書かれて量産された、黄金期の少女小説の匂いに、まさかトゥンクで出会えるとは。


制服が学ランとセーラー服というだけで、込み上げてくる郷愁。ブレザーでは出せない雰囲気ってありますよね。


高天ではスタイルの良さと華やかさで目立っていた小宮くん。早くも次のBLドラマの主役で、駆け上がってきてる感あります。


かすんだような柔らかい映像。相手を探す視線の動き。綺麗だけど中性的ではない、浩一と満の若々しい美しさ。


懐かしい物語を懐かしく撮っている。そんな奇をてらわない率直なつくりが、なんだかほっとします。


『新米姉妹のふたりごはん』以来、気になっている大友花恋ちゃんが出てるのも嬉しい。清潔感のあるミステリアスな黒髪美少女感が、可愛いんですよね。


たとえハッピーエンドではなくても、かつて読んだ少女小説は不思議と後味は悪くありませんでした。悲しくて切ないけど、心に温かいものが残る終わり方。


浩一と満に残された時間。限りある命と閃光のような恋が、たどり着く先を見届けたいです。



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