“形成外科医がスペシャリストになれない理由”


眼形成外科医から見た形成外科医についてここ最近書いてきました
いろいろ議論を呼ぶ内容であるのは百も承知です
でも日本人的な奥ゆかしさって、今後の日本に必要なのかな?って思うんですよね


話題のドラマ「不適切にもほどがある」にも表れているように、言わなきゃいけないことを言わない雰囲気が現代の日本には強すぎるんです
 

僕は言わなきゃいけないことは言う、というキャラを貫き通し、皆さんに世の中の真実について知ってもらいたいと思います
 

それが世の中のため、日本のためになると信じているからです

さて、おそらく今回の記事が形成外科医について書く最後の投稿になると思います(そもそも興味ないのです)


僕はもともと眼科医として医師人生をスタートしました
 

そこから眼形成という眼科と形成外科の境界領域を突き詰めていく訳ですが、だからこそ形成外科の世界も垣間見ることが出来たのですね


そのうえで形成外科医の業界にはいろいろと矛盾があるということに気付きました
 

今回のタイトルが、まさにそれです

以前、眼科医は精緻なところを求めるが、形成外科医は精緻なところを突き詰められないという欠点があると書きました
今回は形成外科医にスペシャリストがほとんど存在しない理由を説明します

形成外科というのは頭のてっぺんの黒子から足の指先の巻き爪まで治療する診療科です
手術に特化しているので、全身のいろいろな疾患をすべて引き受けることが矜持です
 

一見するとすごいことのように思いますが、真実は真逆です
 

「器用貧乏」と言う言葉がありますが、これがまさに形成外科医を表すのです
すべて「出来ます」と言う、しかし何一つ専門家としてのレベルで手術をすることは出来ません
これは形成外科医個人個人の問題というより、形成外科業界の構造的欠陥から来るものなのです

眼科医というのは苦手分野に手を出そうとしません
大抵の眼科医は白内障をしますが、斜視手術はしません
斜視の患者さんが来たら斜視の専門家に送ります
緑内障手術をしない眼科医は緑内障手術が得意な眼科医に患者を送るのです

僕は甲状腺眼症の患者さんの眼窩減圧術をしますが、斜視があれば自分でやらずに熱海の後関先生に送ります
ですから専門家はより先鋭化し、専門技術を突き詰めることが出来ます
専門家になればその分野で非常に突出したところまで到達できる、これが眼科医の世界です

一方で形成外科医はどうでしょうか
形成外科医は頭のてっぺんから足の指先まで治療する何でも屋
3回手術をやったら「その手術出来ます!」と言っちゃってよい分野です
全ての形成外科医が、全ての分野の手術を行うことを求められるのです
その結果何が起きるか



眼科医と逆のことが起きるのです
全ての形成外科医が、全ての手術を行う
だから形成外科医はお互いに紹介しません
その結果、専門家が生まれません
全員が全員、目の前の患者さんをやってしまう
そうなると誰しもが専門家=スペシャリストにならないのです
眼科医である僕から見ると、業界の構造的欠陥にしか見えないのですが、誰にも症例が集中しないので、誰もが素人のまま
すべての手術に関して、眼科医からしたら素人レベルまでしか到達できない

もちろん聖隷の師匠である嘉鳥先生みたいに精緻を極められる人も稀にはいる
でもこれは例外中の例外です
業界的に専門家=スペシャリストが生まれない構造になっているのです

 


例えて言うなら、お米の栽培がすごく得意な人がいるとして


自分の土地をすべてお米の栽培に使うのが眼科医
 

土地を時間と言い換えてもいいです
 

得意なことに100%全力を注ぐのが一番タイムパフォーマンスが良いのが分かると思います
 

眼科医とは逆で、お米の栽培が得意だったとしても他の農作物も作らないといけないのが形成外科医
 

自分の土地の10%をお米の栽培に、あとの90%はとうもろこし、じゃがいも、ネギ、ナス、ニンジンなんかを作るのに充てるのが形成外科医です
 

タイムパフォーマンスが悪いのが分かると思います
 

自分の土地を100%得意分野に向ける方が道理が良いのは誰しも頷けることだと思います


眼科医からしたら形成外科医も専門家でしょ?って思うと思うのです
僕は眼科医ですから、その気持ちは分かります
でも違うんです
業界的に、構造的欠陥を抱えている、専門家集団ではない、むしろ眼科医の基準からしたらどの手術も素人レベルであるということを理解して頂けたらと思います

僕は嘉鳥先生の元で修業をしたので、形成外科医の切開法合の技術ってすごいんだな、と思いながら眼形成外科医のキャリアをスタートさせました
切開や縫合へのこだわりって凄いなあと思っていたのです
しかし当院で研修した4名の形成外科医は切開も縫合もど素人レベル
技術レベルが低くて唖然としました
本当にびっくりするんです
切開や縫合がダメだったら何を矜持として仕事をしているんだろうって思いました

器用貧乏と言いましたが、器用ですらないのかもしれない、それが僕が見てきた形成外科の現実です


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2023年 手術実績 11,491件 (2023年1-12月)
うち眼瞼下垂手術 6,241件

現 涙道涙液学会 理事
元 群馬大学 非常勤講師(2014-20)
元 帝京大学 非常勤講師(2017-19)
元 アジア太平洋眼形成学会 理事(2010-18)

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2019年11月10日のバセドウ病眼症講演会の内容はこちら
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東京MXで紹介されました
https://youtu.be/eE2yMVMhW0U

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