「ちょっと平ちゃん、あんた、しゃ(それは)なにしておるがぁ、キュウリにビールを飲ませておるがじゃないがぁ」と。
 ご近所中に聞こえるくらいの、大声で朝から声をかけるご婦人がいる。言わずと知れた、ボクにストカ―行為を働く、同級生のE子である。この人は、以前からボクのブログの登場頻度の多いキャラクターでクマ公に次いでいる。別名を冬瓜おばさんという。
 今年もしっかり冬瓜を植えました。4株ほど川べりの耕作放棄地に捨て植えしてあります。E子と違って、この瓜は草の陰に隠れて成長し、夏の終わりにしっかりと大きな実を提供してくれるはずである。

kashi-heigoの随筆風ブログ-液肥


 E子をびっくりさせたビールとは、ボクが畑の作物に与えている液肥のことである。この液肥は、野草・果物・海藻・穀類などを細かく刻んで漬けこむ。同量の砂糖を入れ、あとは酵母の力を借りて、発酵させると http://goo.gl/4SavV  に書いた。ペットボトル(1.5L)に自動給水の器具(100円ショップで購入)をとりつけて、トマトやキュウリの植わっている畝に、一株に1本ずつ挿してある。通常3、4日で空っぽになる。例の酵素と肥料の混ざった特製ドリンクである。これをやると面白いように夏野菜が育つ。このところ、毎日、30センチもあるキュウリが15、6本も採れる。まもなくトマト、茄子、ピーマン、オクラ、西瓜、南瓜にもセットしようかと思う。


「E子、わ(汝)ご主人にも、暑い日の晩酌に、ビールぐらいサービスしてやらんといかんよ。ご隠居だとばかりに、麦茶ばかりじゃ、精が出んぞ」
すると、それには答えず、
「あんたよ、ビールばかり煽っているから、そい(そんな)デカイ腹ながや。このインゲン、少し貰っていい。」


kashi-heigoの随筆風ブログ-エプロンのインゲン豆


 OKもしないうちに、E子のやつエプロンに畑のインゲンを採って入れ始めた。もうエンドウやソラマメも終わったが、インゲンはこれからである。この豆など、20本も植えたから、毎日バケツ一杯になる。そういえば、この間3尺ささげも植えた。これも、背が高く柳か滝のように、垂れさがって3尺ほどのサヤに小豆のような実をつける。おおいに楽しみである。


 次に、E子の目が違う畝の別の豆の方へと移った、

 「この豆って何なが。大きいね。」

 ボクは答えて、
「あのな、わ(汝)よ、童話の『ジャックと豆の木』を知っておろうが。あの豆よ。二階まで届くよ。サヤなんか1、2尺になるよ。鉈(なた)豆と言うがや。この豆は元気印よ、蔓が伸び、生育旺盛やぞ、赤穂浪士達は討ち入り前に食べたがやと。縁起の良い豆で、商売繁盛・勝利の女神やと、花が絶え間なく咲くから子孫繁栄の縁起物よ。しかし、E子あんたこれ以上、元気になったら、ご主人は明日にもあの世じゃ」
と、
「だら(馬鹿)よ、言わせておけば、好い気になって。はやく毒喰らって、忌んでしまえ、ほんにハンカクサイ」
 怒って帰ってしまった。悪いことを言った、インゲンだけは、しっかり持ち帰えりやがった。


kashi-heigoの随筆風ブログ-鉈豆


 実を言うとこの豆、ネットで栽培者から分けてもらったものである。昔から、血行促進や免疫力の向上などに薬効がるとされている。他の野菜の病害虫の防止用として周囲に植える好い案配だと知った。巨大なサヤである。こんな北陸の空でも、大空に向かって育ってくれれば、少しは希望が持てるやもしれぬ。葉も大きく、背も高く成長するから、日除け用に緑のカーテンとしてもおもしろい。暑い夏、緑の葉と綺麗な花、そしてブラブラ揺れる大きな豆が楽しみである。今年の夏の糠漬けに、若いサヤを食してみよう。エンドウ豆のようにお醤油や鰹節をまぶして、ビールのつまみにもなる。この豆には、特製ドリンクは不要であろう。なんとと言っても薬効の備わった豆だから。


 ボクの作った酵素ジュースの効き目は、果たしてどうであろうか。畑のこれからの野菜の収穫の量が、液肥の威力を教えてくれよう。 大いに楽しみである。