kashi-heigoの随筆風ブログ-ツバメ


 最近、こんな田舎でもツバメの姿を見るのが珍しくなった。昔は、どこの家にも春の訪れとともに、ツバメがやってきたものである。ツバメは、虫を捕る益鳥として、大事にされた。家の玄関の軒下に巣をいくつも作り、初夏を演出したものである。いつも玄関の戸などが開いていて、出入り自由だった。だいいちカギをかけるなどという習慣がなかった。
 ツバメが減ってきた背景には、水田にエサとなる虫が少なくなったことがある。日本家屋だって、なかなか軒下を貸してくれなくなった。せっかく巣作りしても、あの天敵のカラスがどこからやってくるか分からない。


kashi-heigoの随筆風ブログ-若いツバメ


 世の中、世知辛いと言えば、金持ちマダムが、若いツバメを囲うとか飼うという話も寡聞にして聞かない。
「あら、こちらイケメンじゃない。今宵はあたし、あなたのママになってあげる、なんでも欲しいもの買ってあげるわ。飲んでいいのよ、水色でピンク色でもお好きなカクテルをどうぞ」なんて、いう図は、洋の東西を問わずあるが、今や日本では、<若いツバメ>という言葉は死語である。映画で観ることはある。たとえば、
コレットの小説『シェリ』を映画化した『わたしの可愛い人 シェリ』(原題: Cheri)は、2009年のイギリス・フランス・ドイツ合作の映画作品であるが、なかなか出色だった。


kashi-heigoの随筆風ブログ-山盛りツンバクロ


 ただボクの住む田舎は、今や新鮮な<ツンバクロ>が、ザルに大盛で10匹も入って200円である。<ツンバクロ>とは、ツバクロがなまった、トビウオのことである。つい先日も、東京から、ボクのブログを読んで、何としても新鮮な魚を食べたいと、急襲してきた友がいた。土曜日の朝、10時に電話が来て、これから訪ねると言うのである。


 日頃から、旨いものを食べている御仁である。何を食べさせようかと迷った。刺身は旨いが、ブリなど今が旬の時期ではない。そこで、思いついたのが、安くて美味しいトビウオの刺身である。
 旬は初夏から夏である。小骨のある魚だが、塩焼き・味噌焼きも、フライにしてもうまいが、新鮮なら、三枚に開いて、小骨を取って、半身ずつ刺身で食べる。脂肪分が少なく淡白な味で、実に美味なのである。

「これは、なんという魚だい、こんな旨い小魚の刺身食べるの、生まれて初めてよ。」と。
 皿に盛った他の刺身より、こちらの方が、はるかに客の舌を満足させた。

kashi-heigoの随筆風ブログ-飛び魚

 カツオ、サンマなどと同様、季節回遊をする魚で、春先から夏にかけて日本付近まで北上してきて産卵し、秋に南下する。日本で漁獲量が多いとされ、ハマトビウオ、ホソトビウオ、ツクシトビウオ、トビウオなど種類も多いとある。
竹輪などに使われたりするのだが、新鮮ならやはり刺身がいちばんである。また卵はトビッコと呼ばれ、珍味や寿司ネタになる。ボクは、今日も一盛り200円足らずのトビウオをたっぷり買いこんで、これを開いて、塩をふり天日干しにして、干物を作る。
 ツバメの姿は、今や空に見ないが、一方、空を飛ぶツバクロならば、海で沖に出れば、昔と同じように会える。