ボクは、これで情報機器に関わって、けっこう長い年月になる。なんといっても、昭和40年前後にハードが、電線でつなぎ合わさったのが、電子計算機だと知って以来である。大学で、そうしたコンピュータに恐る恐る触ったが、その後、ずーっとコンピュータの近くにいた。機械語やアセンブラーなる言語で、算盤と対比しながら、計算処理のロジックも覚えた。その後も、ソフトの土台であるOSのロジックを学んだりしたものだ。ミニ・コンピュータのOSをコンピュータの中に入れるのにローダというプログラムがあるのだが、当時これなど16進法で、ボタンを押しながら、直接入力するということもやった。殊更、昔の小難しいことを先に書いたのは、なにも自慢するわけではない。40年も昔から、コンピュータに携わっていると言いたいのだ。だから親類縁者も、「パソコンでわからないことは、みんな、平吾小父さんに聞きなさい」と一目も二目置いている。全くの素人から見れば、そうも思えるし、だいいち、本人もそれなりに、分かっているつもりでいた。今回は、その話である。
先日パソコンのインターネットから、ロハだとして、あるソフトを入手したのだ。ところがこれがあちこちで悪戯をするせいか、ときどきパソコンが、フリーズして動かなくなってしまう。
先日も、深夜よからぬサイトに入ったばかりに、不要なお土産まで貰って、大往生した。お土産とは、出歯亀の覗き賃のことである。何べんパソコンを起動し直しても、料金の請求が来るのである。これなど、落ち着いて対処したから好いようなものの、慌てるくらいまでは、好しとしても、家人などに知られでもしたら、赤っ恥を掻くところだった。読者諸兄も間違っても、怪しげな場所には、立ち入ってはいけません。君子危うきに近寄らずというではありませんか。ご婦人がたは、料理のレシピを見ている限り、問題ありません。
昨夜も、パソコンの動きが悪い。パソコンの不要なゴミなどあるに違いないと、メモリー掃除を川の江ざらいに見立てて、掃き清めようとネットからソフトを手に入れた。無料かと思ったら、数千円である。散々この間から苦労したことを思い出して、そのベンダーから買った。マイクロソフトの協力パートナーだというから、信用したのである。すると、毎年同月に自動的にチャージするとか、もっと便利なのを買わせようと深みに連れこもうとする。まるで強欲バーの客引きと同じである。これは、胡散臭いとネットで調べたら、なんと悪徳ソフトベンダーだった。
ネットで今一度チェックした。そのベンダーから入手したソフトのすべてを削除せよとある。その言に従って、削除したまでは好かったのだが、削除してはならぬものまで、破棄してしまったらしい。パソコンが動かなくなってしまった。セーフティ・モードかなんかで、修復を図るのだが、徒に時間ばかり食ってしまう。とても元に戻せなくなった。だいいち、まるまる一日も時間を無駄にしたのである。OSを入れ替えるにしても、山とあるデータのバックアップを取らなければならない。泣き面に蜂である。
昔の会社の後輩が、外資のソフト会社にいる、その彼に相談しようと電話をした。すると面白い話をしてくれた。彼には、パソコンに目のない中学・高校の息子がいるそうな。深夜になるとゴソゴソやっている。彼は前からそれに気付いて息子が教育上問題となるサイトに、アクセスできないように、ソフトで制限を掛けているらしい。息子たちもなかなかなもので、友達からその柵を乗り越える手立てを聞いてきて、こっそりやっていると嘆いていた。彼も、破られないように新たな策を講じる、イタチごっこだと。
ボクは、前から親類縁者にパソコンを、なかんづく、インターネットを勧めているのだが、もし従兄弟の子弟が不心得を起して、けしからんサイトに潜り込みはしないかと心配である。この陥穽というか落とし穴に、足を入れると非難がボクに及ぶことになる。出歯亀の代金やパソコン修理の請求書を、ボクに回してこられても困るのである。 2012.03.25