kashi-heigoの随筆風ブログ-餅つき


 正月元旦を、雪の富山から娘の住まう横浜に出てきて迎えている。昨夜は遅くまで賑やかだったから、家族はまだ寝ている。元旦の朝は、お雑煮と決まっている。どんなお雑煮がでるやら楽しみである。幼稚園児の孫は、お雑煮だと分かって食べたことなどないだろう。


 去年の春に、田舎に引っ込んでから、なんとか餅も自分でつこうと田舎の百姓家を探したが、臼・杵・せいろ・お釜・捏ね棒とすべてを揃えることができなかった。木臼には、草木が植わって雪の中にあったし、せいろは周りの棕櫚 (しゅろ)の縄が緩んでいた。釜と杵は見つかったが、ぜんぶ揃わなければ意味がない。揃ったところでも大釜を載せるカマドがない。そういえば、餅を自分の家でつくことをやめてから、30年ほどになるかもしれない。子供が小学生のころは、まだ冬には餅を田舎から送ってもらっていたような気がする。

kashi-heigoの随筆風ブログ-のしもち


 暮れのことだが、正月のおせち料理をどうしようかと話題になった。家内は、家族のおせちと一人住まいの義母のことを心配している。考えて見れば、昔の人は、商家ならずともみんな、年がら年中働き通しで、休みと言えばお盆と正月だけであった。せめて、正月三が日だけは、主婦にも食事の用意などせずにいいようにと、おせち料理を用意した。それが今や、洗濯機・電気掃除機・電気冷蔵庫に皿洗い機まである。どうしても食べたければ、冷凍食品を電子レンジでチンすれば、山海の珍味が魔法の杖のように出て来る。休みもとりたいときに自由にとれる。昔に比べれば極楽である。

kashi-heigoの随筆風ブログ-お雑煮


 そんなことを考えながら、いつまで経っても起きてこない、若者に代わって、僕が台所に立つことにした。お雑煮を作ろう。お雑煮も地方によっては、マチマチである。わが北陸では、大根・人参・ごぼう・コンニャクと鰤かハマチなどの魚を具にした醤油味で、だしは昆布でとった汁と餅を合わせてお椀に盛る。餅は、焼くのもあるが、お湯で煮たのを使う。


 もう半世紀も前のことだ、東京の親戚の家で始めて、関東風のお雑煮を食した。お雑煮は、鶏のもも肉をこま切れにして酒・しょうゆで煮て、白菜や白ネギを入れて具にしていた。餅は、しっかり焼いてあった。ところ変われば、やり方がずいぶん変わるものだと思ったが、僕も結婚してからは、どういうわけか東京のお雑煮だが・・・。

 娘の考えはと思って冷蔵庫を見たら、やはり東京風である。久しぶりに、故郷富山のお雑煮が食べたくなった。寝ている家内を起こして、北陸の魚入りのお雑煮を手伝わせよう。お雑煮は一年の無事を祈り、お正月に食べる伝統的な日本料理。元旦の朝は、この料理にこだわりたい。孫にも、しっかり教えてやらねばならない。                  2012.1.1