kashi-heigoの随筆風ブログ-茗荷


 八月七日のブログに、「ひっそりと秋を告げるか花つぼみ、君みずや木陰の下に」と書いた。お盆前で夏真っ盛りで、秋の到来など及びもつかなかった。意識したわけではなかったが、その日は、暦の上ではたしかに立秋であった。<花つぼみ>は、茗荷だったのだが、今は、もう彼岸を過ぎて庭の木陰のあちこちに、遠慮なく顔を出している。季節は、日一日と確かな足取りで移り変わってゆく。

 田舎に住むと季節の区分が、はっきりしていて面白い。中学校などで、陰暦と太陽暦の違いなど教えられたが、ぴんと来なかった。最近、短歌だ俳句だと少しかじってみようかと調べてみると、この季節区分が、気温、気象や農事などにからんで、二十四節にも分けられている。ちなみに、秋分は九月二十三日頃、寒露は十月十日頃、霜降は十月二十二日頃とある。この二十四節は、気候の変化による衣の備え、農作業の手はずなど暦が前もって示してくれる。まさに、生活カレンダーである。

kashi-heigoの随筆風ブログ-みょうが


 茗荷は香菜である。サラリーマン時代、香菜などの薬味の、料理における効用などあまり注意を払わなかった。日本にも多くの種類の香菜があり、料理の彩りを添えるばかりか、必要不可欠なものと知った。茗荷は、香りに独特のさわやかさと土の香りがする。清涼な感じすらする。そうめんや冷ややっこ豆腐に、この茗荷は必須アイテムである。

 この茗荷の甘酢漬けが好きである。この甘酢は、ラッキョウ漬の残った汁で大丈夫。できれば、赤唐辛子などを入れると、辛味があって至高の食材である。器に盛ったときの色合いが、なんとも表現できない。朱色・薔薇色・紅緋色と、ともかく艶っぽい色相である。その色合いをひき立たせるにも少し、白か青の器がいいかも知れない。

kashi-heigoの随筆風ブログ-茗荷一個

庭でたっぷり採れたとネットで叫んだら、教える人がいて、「今年は、茗荷は猛暑で不作だと聞きましたが・・・ 今、スーパーで3個入り150円もしますよ」と。僕など昔から、茗荷を買って食するとは、思いも及ばなかったが、都会人には、仕方のないことだろう。また、料理法について、説く人もいた「茗荷の花を天ぷらにすると美味~」と。

田舎に移り住んだ僕は、少しまめに肥しなどやり、手入れも念入りにしようと思う。

    どこぞ行く 緋色の衣 身にまとい 少し気になる 憂いある影
                                               2011.9.28


kashi-heigoの随筆風ブログ-茗荷の収穫