夏は終わって、季節は秋である。早場米のこの地方では、あちこち稲刈り後の稲株の真新しい白さが目立つ。ついこの間まで、黄金色した稲穂が、波を打っていたのだが。広い秋の田園に、刈り入れた稲を天日干しする稲架(はさ)など見当たらない。刈り取りと脱穀を同時にするコンバインの登場で、後は大型乾燥機にかけるだけだろう。昔は、稲刈り後には、イナゴやバッタが飛び跳ね、鳥が虫を求めて集ったが、今はコンバインの音だけで、人の影数も少ない。

秋の朝 田圃見ながら ウオーキング 稲架(はさ)鎌なくも 稲刈りシーズン




kashi-heigoの随筆風ブログ-稲田


 今朝も例によって、農道を海に向かって散歩に出た。暦で立秋と言うと暑い八月の真っ最中であるが、陰暦との違いだろうか。たとえば、秋の七草といえば桔梗・藤袴と習ったが、あれは夏の花である。確かに萩・ススキ・女郎花は秋の匂いがする。そんなことを考えながら、海辺まで来たところで、いつもの三人組の漁師K彦、大工のT男、農業のS子が何やら朝談義である。


 S子が、僕を見つけて話の輪に入れと手招きする。

「平吾さん、あのさ、このK彦がよー、『あと15年で人類は、おしまいや』とおっとろしい(恐ろしい)ことをいううが。ダラ(馬鹿)やなかろうかねーん」と。

K彦の話は、こうである。<自分たちが生まれたころの地球上の人口は20数億人だったが、今やその3倍の70億人である。寿命だって、つい40年前は50歳だったが、今や世界平均でも65歳で、高齢化が進み、人口も爆発しつつあると。>

地球上に8億人以上の人間が、飢餓に泣いておるがにーよ、メタボで頭を悩ましておるモンが、倍の16億人やと。平吾、(わ)も、ウオーキングしておるけど、太り過ぎながよ。S子、(わ)も、お腹出ておるわい。

S子が合いの手を入れる、

「メタボと人類の終わりとどいう関係があるがよ。ダラなことばかり、言うとってエー

飢餓に泣く 八億の人 片一方 メタボ嫌う 倍の人あり 

この地球 キャパには限度 あといくら 切符売り切れ 20億人 

 

K彦は、話を続ける、

「地球の生態系が大きく、崩れてきておるがヨー。だいたい、昔の地球の水・酸素・二酸化炭素って、過不足なくあった。それが石油を焚いて二酸化炭素よけい出して、バランス崩したがよ。化石燃料って、太古の昔に、二酸化炭素を栄養にして、育った草木や海のプランクトが蓄積したもんや。俺のやっている漁業だってよ、言ってみりゃ、野生の魚を略奪しておるが。S子、やって、この忙しいがに、ここで油売っているのも、旦那がその貴重な石油を焚いて、コンバインを動かしておるからやげえー

大工のT男も言う。

「そうやなー。俺の使う木材もたいてい洋材やもん。野生の森林の伐採。言ってみりゃ、地球から強奪したもんや。昔はよ、太い大きい木を切るときは、何人も何日もかかったもんも、今チェーンソーで、ものの1,2時間で出来るもんのー

地球の 生態系を 崩したら 魚も米も 口に入らざるなり 



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K彦は、話の佳境へとみんなを導く、

「S子の農業やって、俺の漁業だって、山川草木が命や。山が蘇れば、海も勢いづくがや。森林を伐採して耕地にし、ハゲ山か砂漠ばかりでは、米も麦もよう穫れんし、魚を獲れんようになる。人間を食わせるキャパが、地球にはもう限界や。だから、これ以上人口が増えて、90億人も100億人にもなったら、人類滅亡や。それまで、あと15年ほどやと、言うとるが」

S子は、

「平吾さん、このダラ(アホ)に、なんとか言うてやって。そうでないと今晩、わたし眠れんわ。あんたやったら、どうするがあー」

僕はひと呼吸をして間をおいて言った。

「日本は江戸時代から、人糞や人尿を下肥として活用し、世界に例を見ないエコな生活をしていたがや。だから、これから昔の生活スタイルに戻せばいい。今更、水洗トイレを止めて昔に戻れないだろう。せめて台所の生ごみを捨てずに、コンポストで堆肥にして、家庭菜園をやればいい。僕はこの夏、エアコンは止めた。ご飯は、玄米で半菜食主義でやっている」と。

ECOライフ 便利さ捨てて 節約し 生ゴミ活かし 菜園生活 



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2011.9.12