漂う。
流れに身を任せる。
自分の意志など二の次にして
ただただクラゲのごとく
ぷかぷか浮きながら動く戦略が
めまぐるしくスピードの速い
現代社会の中で
生きる方法としては最適解かもしれない。
かつての時代なら
自らゴール地点を決め
それに向かって走っていくのが
最適な方法論だったはずだ。
目標を立て、計画を立て、
数値に細分化して
進捗具合を確認していくやり方だ。
目標設定さえ間違っていなければ
がんばれば誰でも
望み通りの人生が約束された。
しかし今はそうではない。
テクノロジーや常識や
生活習慣や価値観が
瞬く間に変容していく時代。
目標を決めることが
リスクになりかねない時代だ。
流動性を担保し
臨機応変にいかようにでも
軌道修正していける
フットワークの軽さが求められている。
でも。
漂い続けることは
心理的な負担は大きい
どこにも拠点がなく
どこにも心の拠り所と
なるようなところがないのは
人間にとってこれほど
不安なものはない。
これまで心の拠り所になっていた
国家とか地域とか会社とか
家族とかがぐにょぐにょになってきて
それどころか自由や機動性を奪う
足枷にすらなってしまうのなら
「錨」をあげて大海に浮遊する
クラゲにならざるを得ない。
だからといって
今までのつながりとは違う
コミュニティやネット上の弱いつながりが
心の拠り所になるかも疑問で
まさに今、ある種の「無政府状態」
になっている。
しかも日本は幸か不幸か
宗教という拠り所も希薄なため
不安定なまま漂い続けなければならない。
こうした自由からの逃走は
かつての時代は見られて
たとえばなんらかの新興宗教とか
国粋主義的な団体なり政党なりに
拠り所を求める動きもあったが
これだけスマホやネットといった
個人メディアで分断された時代において
代替対象ですらしらけて
色あせて見えるのだ。
そんな全漂流時代の最中に
何を心の拠り所とすればいいのか。
何を錨にして
どこに自分の居場所を作るのか。
はたまた錨を下ろすことが
リスクだからこそ
どこにも下ろさず
漂い続けることがよいのか。
世界がさらに今
ぐにょぐにょに変容しつつあり
ますます人は心の拠り所が
わからなくなってきている。
どんなに流されても
特定の居場所がなくても
自分軸を持ちながら
他力で流されていきながら
浮遊し続けることができるのか。
そうそれはもう
好きなことしかないんだよ。
ああだこうだと煙に巻いた
うんちくや考え方や価値観など
えらそうに見えるけどダサいだけ
ただただ好きなことに
熱中できることがある人間こそが
漂いながらも自分軸を持って
生きていける唯一の存在で
ますますこれからは
そうした時代になっていくのだろう。
だからやっていることを
自己検証してうんちくを
語っているような人間は
高尚に見えるけど
まるでダメだということだ。
理屈じゃないんだよ。
戦略じゃないんだよ。
考えている時点で負けなんだよ。
自己評価している時点負けなんだよ。
誰かに承認欲求を求めている時点で
イカサマなんだよ。
もう理屈じゃない。
ただただ好きなことをする。
ただそれだけ。
他人と比べるどころか
自分と比べることすらしない。
夢中になって熱中して
疲れ果てて寝る。
そこにいいも悪いもなく
クオリティがうんたらかんたらもなく
技術とかレベルかどうとかもない。
そんなことを考えている時点で
どこにもない錨を探しているに過ぎない。
漂うって感覚もなく
流されているって感覚もなく
気づいたら流されて
無人島で一人だったけど
めっちゃ楽しかったぜ
といったような感覚。
それが今後の時代の
最適な生き方となるのではないか。
自由からの逃走をやめ
数値目標主義から脱却し
利益主義的思考回路もやめる。
流されながら
自分軸を持ち
幸せに暮らす生き方が
今変わろうとしている。
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