森羅万象から学ぶ人生羅針盤「真の賢人だからバカができる」
漫才師の西川きよし師匠が若いころ、お子様が通う学校の学園祭を訪問した際、そこの生徒が他の生徒に「あんたはアホだから、卒業しても吉本(興業)ぐらいしか行けないだろう。アホだからお笑いしか出来ないんだ」という言葉を耳にしました。
それに対してきよし師匠は、「賢いからアホのふりができるんだ。本当にアホだったら人を笑わすことなんかできない」と注意したといいます。言われてみればその通りです。仕事でお笑いをやる以上、レベルの高い笑いのクオリティを維持する頭脳があってこそ、プロとしてお金がもらえるのです。
つまり真の賢人だからこそ愚かな人を演じることができるわけです。これに関して、以前俳優の山城新伍さんの「現代において、狂気を演じるのは理性である」という言葉をご案内しています。つまり、愚か者に見える演技ができるのは賢い証拠なのです。
さらにこれまで数回にわたってご案内してきた「狐七化け、狸は八化け(きつねななばけ、たぬきはやばけ)」という言葉は、狐は7つのものに化け、狸は8つのものに化けられるから、狸のほうが化ける能力が高いという意味ではないのです。
いかにも利口そうに見える狐よりも、ちょっと間抜けな感じがする狸の姿に油断してしまい、その隙をついて化かしてくるので、狸のほうが狐よりも一枚上手(うわて)に見られるだけなのです。
それでも世の中には、自分を賢いように思わせたい人が多いようです。しかし直接話をすると、文字通り化けの皮が剝がれる人がたくさんいます。自分から進んでバカになれる人ほど賢いと強く認識してください。