初期の海が沸騰していたことは確実で、化学反応のエネルギーに欠くことはなかったでしょう。ところが海水が74℃を下回った時、初めて太陽エネルギーを活用する必要に迫られ、何億年もの生命もどきの状態から卒業でき、生命はある日突然生まれたのではないのかもしれません。
光合成の副産物である酸素は遺伝子にとっても有害なので、二重螺旋構造で遺伝子をガードする必要が生まれ、初めてRNAとDNAに分離したのかもしれません。人間の祖先はアメーバに近いらしく、酸素で呼吸する細菌を体内に取り込んだことで、真核生物という環境に左右されにくい安定性を獲得したようです。
海水温が更に低下すると真核生物は、熱効率を良くするために多細胞生物に変化し、今日の多彩な生物相を形成しています。地球外生命体というと人間のような姿を想像しがちですが、地球でさえ30億年も単細胞のままだったのです。