少子化対策と言っても、少子化の原因を正しく理解していなければ、税金の無駄遣いに終わるでしょう。植物は乾燥などで身の危険を察すると花を咲かせ、子孫を残そうとします。医療が進歩して身の危険が遠退いた人類が、子供を作る意欲を失うのは当然で、この平均寿命で人口が増え続けたら内輪揉めを招くだけなので、DNAが性欲にブレーキを掛けているのかもしれません。

 エアコンやシャワートイレの普及で無菌化された世の中になり、生身の人間を育てることに恐怖感があるのかもしれません。あるいは出産の方法がわからないとか、それ以前に子供の作り方がわからない可能性もあります。

 子供の作り方は割愛しますが、人類は二足歩行をするようになり、股関節の間隔が狭くなって、単独での出産が難しくなり、女性同士が共同で生活するようになり、社会の形成が始まったと考えられ、先史時代が母系社会であったことと一致し、子育ては社会全体で行うもので、家族を伝統的価値と考える人々は正確ではないのです。

 赤ちゃんはお腹の中では顔が正面ですが、骨盤は前後に短く左右に広いので、このままだと鼻が当たるので、頭を90度回転させる必要があります。ネコは頭が入れば通り抜けられますが、人間は肩が引っかかるので、更に90度回転させると肛門を正面に見ながら産まれるなり、お母さんの大腸菌を相続して人生に必要な全てが揃います(有袋類はお母さんの糞が離乳食!)。そのため帝王切開で産まれた子供はアレルギーの発症が高いとされ、DNAがそこまで計算しているのかは不明です。

 また腰椎には男女差があり、女性のくびれも乳児をヒップハンガーのように掛けて、新たな食糧を求めて部族で移動するためであると考えられています。次回は優秀な人間の育て方を考察してみたいと思います。

 

出典

 

直立二足歩行の人類史

(株)文藝春秋

2022年8月10日発行

税込2,860円