テストは週明けの月曜日まで。
ここ数日は少し遅くまでテスト勉強をしていたけど(毎日コツコツ勉強していれば、テストだからって慌ることもないんだろうけど)
今日は金曜日。
苦手な英語は明日やろう。
わからない所は翔さんに教えてもらおう。
だから今夜は早く寝よう。
まだ翔さんは帰って来ないけど、オレは早めにベッドに入った。
いつもなら、余程のことでもない限り(震度1・2程度の地震じゃ絶対起きないけど)夜中に目を覚ますことなんてないけど
その日はやけに寝苦しくて、喉が渇いて目が覚めた。
暗闇の中スマホを見れば、日付けはとうに変わり、もうすぐ1時になろうとしていた。
ベッドから出て、そっと部屋のドアを開けると
「あれ……?」
玄関には電気がついていて、人の声も聞こえてきた。
「……ったく、こんなんなるまで
どこで飲んでたんだよ」
「うるさい!
どこで飲もうと俺の勝手だろう!」
「しーっ!あんま大きな声出さないでよ。
雅紀が起きるだろ」
突然自分の名前が出てドキッとした。
どうやら翔さんは今帰って来たらしい。
それも、お酒を飲んで、酔っ払った状態で
「大丈夫……かなぁ?」
今まで一緒に暮らしていて、こんなこと一度もなかった。
廊下に出たものの1階に下りるのは憚られ、だからといって部屋に戻ることも出来ず、思わずその場にしゃがみ込むと
「ど……して……」
「えっ?」
「どうして姉さんは死んだんだ?
どうして姉さんは俺の前からいなくなった?」
「翔くん……」
「それもこれも、全部アイツのせいだ。
アイツのせいで姉さんは……」
「アイツにさえ出会わなければ
雅紀さえ生まれてこなければ
そしたら姉さんは……」
「翔くんっ!!」
遮るというよりは、まるで怒鳴りつけるような潤さんの声。
オレは急いで立ち上がり、部屋に戻って布団をかぶった。
つづく