手元に戻ってきたものの、ずっと遠巻きに見ていたスマートフォン。
クリスマスイブだから……てわけじゃないけど、ようやく意を決して電源を入れた。
正直、もしかしたら何も残ってないんじゃないかって
データが全て消されて、中身は空っぽってことも有り得るんじゃないかって
そう思っていた。
でも、彼女は……結子は、
俺のスマートフォンを本当にただ隠し持っていたにすぎなかった。
アドレス帳には見覚えのあるような無いような名前がズラリと並び、履歴もそのまま残っていた。
その履歴のトップにあった名前。
日付からして、俺が入院した時だろう。
何度も何度もこのスマートフォンに電話をしてきた相手は
「雅紀……」
紛れもなくアイツだった。
しかも、それだけじゃない。
一方的な着信かと思いきや、入院する前は俺の方からアイツに連絡をとっていて
「マジかよ」
やっぱり俺はあの男と……
「いやいやいや、ちょっと待て」
別に付き合ってなくても電話ぐらいするだろ?
するよな?するする!
何も珍しいことじゃない。
でも、このあと俺は、否定しようにも否定出来ない事実を突きつけられるのだった。
つづく