今度こそ風間さんを見送ったオレは、車で待ってるカズさんの元へと戻った。
「遅くなってごめんなさい」
「全然、大丈夫だよ」
待ってる間、きっとゲームでもしていたんだろう。
カズさんは持っていたスマートフォンを助手席に放り投げ、エンジンをかけた。
「それにしても驚いたね」
まさか風間さんがまぁくんを訪ねて来るなんて。
「ね、まぁくん」
「............」
「まぁくん?」
どうした?
走り出した車の中、返事をしないオレを不審に思ったカズさんがミラー越しに問いかけた。
「まぁくん?」
「............に会ったって」
「えっ?」
「風間さん......」
ここに来る前に櫻井に会ったんだって。
「櫻井さんに?」
「櫻井、まだ地元にいたんだね」
実家にいるって、風間さんが言ってた。
「......そう」
「もう帰って来ないのかな」
オレのこと
「もう、どうでもよくなっちゃったのかな」
「まぁくん......」
オレのこと、思い出してもらえないのは悲しいけど
それでもオレは櫻井の傍にいたいし、櫻井に傍にいて欲しい。
「失くした記憶が戻らないなら
また1から始める方法だってあるのに」
どうして櫻井はオレの元に帰って来てくれないんだろう。
「櫻井......」
お前は今、何を考え、何をしているの?
つづく