「はいぃぃぃ???」
櫻井部長が女の人と会ってたですって!?
「しーーーーっ!!」
工藤さん、声が大き過ぎますよ。
昼休みの女子トイレ。
あゆみちゃんから投下された爆弾発言に、私の声が思わずひっくり返り、塗り直していた口紅が大きくはみ出ちゃうところだった。
「それって、部長が浮気してたってこと?」
「そうは言いませんけど、でも……」
私達の知らない女性と二人きりで会っていたのは確かです。
「もしかして、妹さんじゃないの?」
確か櫻井部長って、弟さんのほかに妹さんもいたわよね?
「それは違うと思います」
きっぱり否定するあゆみちゃん。
「だって、相手の人はとってもキレイな大人の女性って感じだったし……」
顔だって、部長とは全然似てなかったですよ。
「……なら、友達とか?」
「それも可能性としてはZEROじゃないですけど」
ただの友達が「翔」「まなみ」なんて呼び合うんでしょうか?
「それに、なんて言うのかなぁ。
二人が作り出す空気感?ていうんですか」
それが友達とかただの知り合いとか、そんなんじゃなくて
「もっと濃密で、もっと濃いような……」
濃密より濃いなら、ドロドロって感じもするけど
「あのねぇ、あゆみちゃん」
あなた、何か大事なこと忘れてな~い?
「櫻井部長には雅紀さんていう
その辺の女共より綺麗で素敵な恋人がいるのよ!」
部長が雅紀さんを溺愛してるの、あゆみちゃんだって知ってるでしょ!
「それなのに、他所の女と密会の果て浮気だなんて」
ないわ~
絶対ないわ~
「工藤さん、私」
浮気だなんてひと言も言ってませんよ!
つづく