「ありがとう」
フロントに連絡を入れ、届けてもらったのは今日の朝食。
食の細い雅紀でも食べれるように、具沢山の中華粥や1口サイズのサンドイッチ。
少しずつ、色んな料理が楽しめるように
カットフルーツやデザートも用意してもらった。
雅紀の寝顔を見ているうちに、いつの間にか俺まで眠ってしまっていたらしい。
この仕事について、客に指名され何もしないで過ごした夜は
多分……初めてのことだった。
俺が目覚めた時も、雅紀は穏やかな寝息を立てていて
このまま目が覚めるまで、ゆっくり寝かせてやりたい気もしたけど
永遠には続かない時間。
俺はホストで
雅紀は客で
そんな二人は、日付が変わるまでの「恋人同士」で
あの頃ずっと夢見ていた関係が、まさかこんなカタチで叶うなんて
「皮肉なもんだよな」
銀色のワゴンを押しながら、ノックもせずに部屋に入ると
雅紀は、どこか落ち着かない表情でベッドに腰掛けていて
「なんだ、もう起きたのか」
ワゴンを止め、声をかけた俺に
「翔ちゃん!」
弾けるような笑顔を見せた。
つづく
*・゚・*:.。.*.。.:
おはようございます
このお話の前に
ひとつお話をアップしています。
櫻葉じゃないお話は
需要……ないかな(。 >艸<)