母さんの言ってた通り、いつもより早く帰って来た父さんと
「お父さん、おかえりなさい。
あのね、こちら……」
いつもより何倍もニコニコしながら櫻井さんを紹介する姉ちゃんと
「そうだ、せっかくだから櫻井くんも
一緒に晩ご飯食べてったら?」
なんて、最初からそのつもりで、いつもより手の込んだ料理を作っていた母さんと
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
今テレビに映ってるアイドルより、よっぽどキラキラしている櫻井さんと。
周りに『好印象』を与える笑顔と豊富な話題。
「雅紀くんはどう思う?」
「オ……オレは……」
時々櫻井さんに話しを振られ、その度にドキドキしながら答えつつ
晩メシの時間はあっという間に過ぎていった。
そして……
「そう言えば雅紀、お前今度の成績……」
そら来た!!
家族会議だって言われていたけど、そんなの櫻井さんが帰ってからでも遅くはないのに
マジで今日は仏滅かも。
神妙な面持ちで居ずまいを直すと
「あの、そのことなんですけど
もし良ければ俺に雅紀くんの
家庭教師をさせてもらえませんか?」
「えっ?」
「櫻井くんが?」
「雅紀の家庭教師!?」
櫻井さんのその申し出に
父さんも母さんも、姉ちゃんさえも
目を丸くして驚いた。
つづく