9月11日総選挙が終わりました。結果はご存じのとおり。自民党単独で297議席、公明党との連立政権としては327議席。衆議院全議席480の過半数を自民単独で、公明を加えると3分の2以上を突破しました。しかも投票率は67%強、何か恐ろしいことになってきました。
衆議院の3分の2以上という議決数はどんな意味を持つのか、改めて日本国憲法を前文を含め第一条から第百三条まで通読してみました。3分の2以上の議決を要する条文は、第五十五条、第五十七条、第五十八条の2、第五十九条の2,第九十六条と5条あります。
ちょっと退屈を承知で列挙してみると
〔議員の資格争訟〕
第五十五条 両議員は各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の資格を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔会議の公開の原則〕
第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは秘密会を開くことができる。
〔役員の選任及び議員の内部規律〕
第五十八条の2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
〔法律案の議決〕
第五十九条の2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
〔憲法改正の手続き〕
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
先の4条は出席議員、憲法改正は総議員と言う違いは有りますが、三分の二という数字の重みがひしひしと感じられて来ます。96条「憲法改正の発議」は言うまでもなく、59条の2は事実上の一院制になります。57条は秘密会の開催が可能となり、55条と58条の2では議員の除名が可能となります。
「郵政民営化」というおよそ総選挙の争点とはなりにくいテーマで、「二大政党」などという幻想に振り回されているうちに、日本がとんでもない方向に走り出す危険を感じています。私は憲法は改正すべきだと考えていましたし、消費税などの増税もこれからの日本を考えるときやむを得ないかな、とも思っていました。しかし、理由はともあれ参議院で否決された法案を衆議院を解散してでも、通そうとする手法は二院制の否定であり、現行憲法の無視でもあります。このような手法で憲法問題や増税が議題に乗り、形だけの多数決で政治が進めば、まさに民主主義が崩壊し、いつか見た悪夢を見ることになりかねません。
野中広務さんが議員を辞めるときにこのままの状況では大政翼賛会と変わらなくなる、と言ったことが現実味を帯びてきました。今後の自民党と小泉政権の行方には厳しい眼をむけ続けることが私たち国民の責務です。
※大政翼賛会 昭和15年日支事変さなかに近衛文麿首相のもと組織された官製国民統制組織。各政党は解党してこれに参加。翌昭和16年、真珠湾攻撃、大東亜戦争へ。