テーブルに置かれた大きな四角いお膳の真ん中に、北海道を代表する食べ物、タラバ蟹、じゃがバターとトウモロコシが置かれています。それを囲むように、右手前にホッキ貝、ホタテ、いか、ヒラメの刺身の4種盛り。それから反時計廻りに、うにといくらが二皿ずつ、殻付きのつぶ貝、牡丹エビと焼き鮭の大皿、帆立とキノコ鍋、もずくの酢の物、うにといくらにほぐし鮭がいっぱいのった親子他人丼、タラバの鉄砲汁にデザートの夕張メロンがついています。天龍寺からの参拝団に北溟禅寺の中山晴王住職がご用意頂いた、北の大地ならではの海鮮料理の昼食です。
天龍寺の佐々木容道管長老大師が晋山されて4年になります。今年は御親化(ごしんけ)の旅に出ておられます。御親化とは、新任の管長様が全国の末寺を訪ねて、住職や檀家の方々に親しく説教されることを言うそうです。今回は最北端の末寺、北溟禅寺へ行かれるということで、参拝団ができました。佐々木管長以下僧侶の方が9名、天龍寺一滴会会員15名、御用達会11名、計35名の大所帯です。
中山住職は若いころ、海外青年協力隊の隊員として活躍されていたそうです。たまたま、南方のある遺骨収集団に加わったとき、一僧侶の話から仏縁を得、縁あって平田精耕天龍寺前管長のもとで修行されたそうです。そのうち、故郷の稚内で一寺を建立したいという悲願を立てられました。紆余曲折はあったのでしょうが、平成2年に平田精耕老大師を開山に、本堂と庫裡二棟を、鯨の解体工場を改修して出来た新しいユニークなお寺です。簡素な石庭風の庭には鯨観音がまつられ、その背後には石組みの鯨(らしきもの)が鎮座しています。
さて、話が前後していますが、参拝団一行は、8月27日お昼前、全日空で稚内空港に降り立ち、北溟禅寺の本堂に入りました。先着しておられた藪内家若宗匠と藪内社中に「呈茶」を受け、京都の「末富」さん特製の「鯨観音羊羹」を頂いた後、法要が始まりました。鯨観音菩薩へのお献茶、般若心経の一同唱和に続いて、和尚さん方が「観音経世尊偈」、「大悲呪」をあげられている間に、一同焼香して法要終了。その後、設えを整え直し、佐々木管長の「御親化」がありました。話中、中山住職が天龍寺では佐々木管長の1年先輩であることなどのご紹介から、開山夢窓国師の「山水に得失無し」をひいて、一元論の興味深いお話を頂きました。その後が冒頭の直会(なおらい)のご馳走につながります。
この後、日本の最北端、宗谷岬ではるか樺太をのぞんだ後、稚内全日空ホテルへ。夕食前の時間を利用して、ホテルのパンフにあったノシャップ岬の夕日を見に行きました。さすが北の果てのサンセットは雄大でした。夕闇に煙る利尻富士を左手にしずしずと日本海に沈んでいきました。明日は旭川へのバス旅行、旭山動物園に行きます。
ご存知の方も多いとは思いますが、旭山動物園は動物のユニークな展示の仕方で評判を呼びました。狼の群の真ん中にある透明なドームに頭を出すと、目の前に狼の顔がでます。ペンギン池の下から透明なアクリル越しに見上げると、あたかも空を飛ぶ鳥のようにペンギンが水中を飛び回っています。2、3年前、初めて見たときは、なるほど、ペンギンは鳥なんだなあ、と妙に感心したことを思い出します。透明なアクリル柱のなかをアザラシが上下に泳ぎつつ、時々、円柱の中で停止して、こちらをじっと見つめられると、こっちがあっちから見物されているような気さえします。北極熊が餌を追って水中にダイブし、目の前で犬かきならぬ熊かきで泳ぐ姿も大迫力です。北海道とはとても思えぬ30度以上の暑さの中を、皆さん元気に見物されてました。途中で出会った管長さんのいかにもリラックスされたお顔が印象に残りました。明日は、特急スーパーカムイ12号で札幌行きです。
午前10時前、札幌駅につくと、既にホームにバスガイドさんが待っててくれました。札幌はバスの車内から、雪祭りの大通り公園、テレビ塔、時計台、大倉山シャンツェなどを遠目に見つつ小樽へ。小樽では1時間余りの散策。思い思いに運河沿いを歩き、ガラス細工のお買い物、名物ソフトクリームなどを楽しみました。そして、家内の従兄弟、杉の目さんの経営する、ジンギスカン「景勝園」へ。札樽国道沿いの高台、石狩湾をのぞむ景勝地にあります。特別に頼んでおいたせいか、特別に美味しいジンギスカンとえぞ鹿のヒレが用意してありました。その後、千歳空港へ、鯨観音参拝の旅は無事終了しました。