登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
Z(靴屋) 九頭雄 ザックスY(Zの妻) 八千代 ヤスミンA(ZとYの息子) 悪久太 アーク
C(村の守護霊) 千太郎 クリス老人・師匠(守護霊・Cの先生)
今回のお話は、Z目線の話です。
第49章と第50章の後日談ですが、
読み直さなくても、たぶん大丈夫だと思います。
一応、貼っておきますね↓
では、どうぞ。↓
見えない殻(2)
発光する力を持つ老人に、変な魂の話を持ち出され、
オレは苦笑いした。
「光をとり戻せとか、魂が光で出来てるとか。
なんだか、よくわからないですよ。
人間は普通、発光なんてしませんし。
あなたのように、私が光るわけ、ないじゃないですか。
この暗闇にいるのは、きっと何かの間違いです。
どうぞあなたがこの殻をぱかーんと割ってください。
神様なんでしょう?」
「神ではない。光を選んだ者のひとりじゃ。
まあ、ワシの話はどうだっていい。
自分で作った殻が不要なら、自分で壊しなさい。
ワシには壊せんのじゃ、ひとのものは」
「壊せなかったら・・・?」
「永遠にここにいることになるの。ではワシは帰る」
「永遠?!い、いやです。一人にしないでください」
老人は一度背を向けたのを元に戻し、言った。
「一度だけ、チャンスをやろう。殻の正体を知りなさい」
「お、お願いします」
老人は杖を高く振り上げた。
気がつくと、オレは、生前の村の中に立っていた。
だが、顔見知りに話しかけても返事をしてくれないし、
こっちの体をすり抜けていく。
幽霊になったんだな、とぼんやり考えた。
少し遠くに、自分と同じ幽霊が後ろ向きで立っている。
よく見たら、オレが殺した妻のYだった。
あいつが幽霊になってオレの前に現れ、
驚いたせいでこっちが心臓まひになったんだ。
くそ、あの女め。どうしてくれようか。
だが、どうだろう。生前はYは小ぎれいで儚げだったのに、
今の幽霊の後ろ姿は、まるでホラー映画の女のようだ。
ワンピースは水浸しで、水を滴らせているし、
髪を振り乱した状態で、両手がゆるく下がっている。
気持ち悪すぎる。傍に寄りたくない。
あんなのを見せられたら、誰だって心臓が止まるはずだ。
オレは村の樹の影に隠れ、Yから見えないようにした。
Yは、誰かとしゃべっているようだった。
Y以外は生身の人間たちで、簡素な祭壇の前にいる。
数珠を持った霊媒師みたいな女が、Yの語る話に頷いて、
他の人間たちに何かを説明している。通訳している風だ。
その霊媒師と話をしているうちに、Yの姿がだんだんと
生きていたころの質素な風貌に変わっていった。
ワンピースも乾き、髪も自然と整い、さらさらになる。
どういう仕組みなんだろうか?
(続く)

