小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
Z(靴屋)       九頭雄 ザックス
Y(Zの妻)       八千代 ヤスミン
A(ZとYの息子)    悪久太  アーク

C(村の守護霊)   千太郎  クリス
老人・師匠(守護霊・Cの先生)

 

 

今回のお話は、Z目線の話です。

 

第49章と第50章の後日談ですが、

読み直さなくても、たぶん大丈夫だと思います。

 

一応、貼っておきますね↓

 

 

 

 

 

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない殻(3)

 

 

ふっと気を抜くと、時間が飛ぶ。

 

オレは樹の陰でずっと覗いた状態だったが、

知らぬ間に、村に、Yの墓が出来たようだった。

 

生者たちが骨壺を埋め、墓標を立て、花を飾り、祈る。

きれいになった幽霊のYは嬉しそうな顔をして、

その墓石のそばに横たわると、胸に手を組んだ状態で

寝入ってしまった。まるで石像のように。

 

村人たちが共同墓地から去った後、

おそるおそる寝ているYの所に近づいてみた。

ホラー映画のように急に起きるなよ、と思いながら。

 

Yのそばに行ってみたが、目を覚ます気配はなかった。

そっと顔を覗き込んだ。軽い笑みで寝ているY。

呑気だな。蹴とばしてやろうか。

いや、今は起こすのはやめておこう。面倒だ。

墓石を見ると、Yの名は彫られていなかった。

 

その横の墓には、Aの名がある。オレの息子。

あいつ、死んだのか?いつ?オレはAを殺し損ねたはずだ。

 

Aの墓の隣が、オレの名前だった。オレの墓だ。

ふん。Aを真ん中にして、家族そろって並んでやがる。

 

家族なんてものは、見た目がこんな風にきれいなら

それでいいんだ。

オレは、世間の前で清廉潔白に生きて、

この墓石のように美しく死んだ。完璧なはずだ。

 

なのに、死後に黒いカプセルから出られなくなるなんて、

納得が出来ない。

そもそもYやAを殴っていたのは、オレに逆らうからだ。

あいつらが悪いのに、なんでオレがこんな目に

合わなきゃならない?

 

近くを見渡したが、Aの幽霊は見当たらなかった。

 

どこかに隠れてるのか?

締め上げて、今の状況を聞き出したいのに。

 

 

(続く)