小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

今回の章は、百輪物語の登場人物たちの

前世の話になります。

 

 

 
【今回の登場人物たち】
Cの国
C 国王        クリス
K Cの妹 →A国へ   カーラ
D Cの側近      デイビッド
J Dの部下      ジャック
B 踊り子 →A国へ  バーバラ
 
Aの国
A 国王        アーク
K Aの一人目の妻   カーラ
B Aの二人目の妻   バーバラ
E Aの第一王子    エデン
F Aの第二王子    フランク
G Aの第三王子    ジョージ

 

では、どうぞ。↓

 

見えない因縁(2)

 

 

側近のDは、
妹Kの死を悲しんでいる王のCを慰めようと、
国一番の踊り子Bを招き入れました。
 
Bは美貌に恵まれ、ダンスも上手でした。
Cはダンスには拍手しましたが、Bに興味は湧きません。
 
ところが、Dの部下のJがBに一目ぼれし、
またBもJを好きになりました。
 
CとDはJをからかいつつも、二人を祝福しました。
 
 
隣国の王Aは最愛の妻Kが死んでしまったために、
暇を持て余し、
また好戦的な気持ちが湧いてきました。
 
「いよいよCの国を襲って領土を奪うかな。まてよ、
 たしかダンサーで美人がいるらしいな」
 
Aは、腕の確かな兵士数人を呼びつけ、
Bをさらってくるよう命令しました。
 
 
愛するBを拉致されたJは、王のCに奪回を宣言しました。
「わかった。だが気をつけるんだぞ」と背中を押すC。
 
Jは単身でAの城に忍び込み、Bの部屋を探しました。
間違えてAの息子Eの部屋に入ってしまった時、
Eは静かに泣いていました。
 
「坊や、どうして泣いているんだい?」
 
「強くなりたいんだけど、鍛練がうまくいかなくて。
 くやしくて・・・」
 
「・・・男は泣いて強くなるんだ。大丈夫だよ」
 
まだ涙で顔をぐしゃぐしゃにしている幼いEの頭を、
Jが頭を強くなでました。
 
そのぬくもりはいつまでも残り、
Eは前を向く勇気を得ました。
 
「おじさん、僕の友だちになってくれる?」
「いいよ。でもね、おじさんじゃなくて、お兄さんだよ」
 
JはEと年は離れていますが、友だちの指切りしました。
 
「ねえ、ところで、Bがどこにいるか知ってる?
 Bは僕のお嫁さんなんだ」
「ああ、それなら・・・」
 
Eは、Aに後妻として紹介されたBの部屋を教えました。
Jははじけるような笑顔を見せ、
Eに礼を言うと去っていきました。
 
「こんな素敵な友だちができるなんて・・・」
と、幼いEは胸を弾ませました。
 
JはBのかくまわれている部屋に忍び込みました。
「B、助けに来たよ。一緒に逃げよう」
「ああ、J。うれしいわ」
 
2人で城を脱出しようとしますが、
運悪く衛兵に見つかって捕まり、
嘲笑っているAの前に突き出されました。
 
「Cの差し金か?」
「違う。王の命令ではない。
 ただ私の嫁を返して欲しいだけだ」
「Bはワシのものだ。お前は処刑する」
 
踊り子のBは真っ青になり、Aに懇願しました。
「やめて。あなたの妻になるから、Jを殺さないで」
 
「お前が妻になるのは当然だ。Jが死ぬのもな」
 
「B。君が生きていてくれれば、それでいい」
Jは、かすかな笑みを浮かべました。
 
 
翌日、Aの国の中央広場に黒山の人だかりができ、
処刑の刻が訪れます。
無数の民衆が見守る中、隣国の兵士Jは炎に包まれました。
 
喜んで見ているAの傍らで
衛兵に取り押さえられているBは
声にならない叫びをあげ、
喉が詰まるほどに嗚咽しました。
 
頬を伝う涙は止めどなく、視界を白く霞ませます。
 

「ああ、J。

 ・・・来世で必ず会いましょう。

 今度は、きっと・・・あなたの妻になります」

 

 

 

(続く)