小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

今回の章は、百輪物語の登場人物たちの

前世の話になります。

 

 

 
【今回の登場人物たち】
Cの国
C 国王        クリス
K Cの妹 →A国へ   カーラ
D Cの側近      デイビッド
J Dの部下      ジャック
B 踊り子 →A国へ  バーバラ
 
Aの国
A 国王        アーク
K Aの一人目の妻   カーラ
B Aの二人目の妻   バーバラ
E Aの第一王子    エデン
F Aの第二王子    フランク
G Aの第三王子    ジョージ
高僧

 

では、どうぞ。↓

 

見えない因縁(3)

 

 

有能な部下Jの死に、CとDの胸は張り裂けそうでした。

 

城の庭に焚かれた火の前で、二人は沈黙のまま座り込み、

炎に照らされた拳を固く握りしめていました。

 

やがて、Cの目に焚き火の赤が映りこみ、

「Aの国に攻め入ろう」と声を荒げます。

 

しかし、Dが必死に押しとどめました。

「国が荒れます。ここは抑えてください」

「お前はそれでいいのか?Jが殺されたんだぞ?!」

「・・・どうか、どうか、矛を収めてください。

 それが、Jの望みでもあったはずです」

「・・・」

 
 
BはAの後妻となり、二人の子どもFとGを生みました。
しかし、Bはほとんど抱きもしませんでした。
愛する人を奪われた彼女の心は、子に向ける情けを失い、
彼女のまなざしは、いつも遠くにいるJを探していました。
 
いつもJの名をつぶやくため、Aは嫌気がさし、
Bに近づくのをやめてしまいました。
 
Eは、そんな継母のBには近寄りませんでしたが、
弟が出来たことを喜び、よく世話をし、
遊び相手にもなりました。
弟たちもまた優しい兄のEになつきました。
 
 
Jの処刑後も、Cは怒りを押し殺していました。
 

けれども、Aが外交上の密約に再三、

無理難題を押しつけてきたことで、

ついに堪忍袋の緒が切れました。

 

「もうどちらかの国が亡びるしかないようだ。

 もちろん、私が勝つ。D、ついてこい」

「かしこまりました」

 

Aの城には高僧が常駐しており、Aに進言しました。
「奪う者は奪われる。王よ、死相が現れておりますぞ」
Aは高僧の辛気臭い意見を無視しました。

 

 

二つの国の間で、長い戦争がはじまりました。

 

AとCは互いに戦力が五分五分で

なかなか勝負がつきません。

 

兜を脱いだAが、城に隠れる息子のEにそれを投げつけます。

「お前も参戦しろ!次期国王がへっぴり腰でどうする?!」

 

Eは涙をこらえながら、のろのろと兜を拾いました。

「どうして戦争が起こるのか・・・。

 どうして愛し合うことが出来ないのか・・・。

 やはり自分がもっと強くなくてはいけないのか・・・?

 けれど僕は、人を殺したくないんだ・・・。

 J、僕を守って・・・」

 

 

最終的にCの国は焦土と化し、Aの国も弱体化しました。

 

「王、まだ続けるのですか?もう国がボロボロですよ」

と、Dが思い余ってCに進言しますが、Cは

「いや、最後までやる。私の意地にかけても」

と、血走らせた目をDに向けます。

 

Dは自分の部下の兵隊たちをどんどん失っており、

もはや長い戦に対してうんざりしていました。

 

 

(続く)