登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
発明家 (No name)D(大工) 大吾 デイビッドL(揚げ物屋) 蘭子 ルイーズ
E(村長&小学校教諭) 栄一 エデンK(理容師・Eの妻) 加恵 カーラR(EとKの息子) 陸 ライアン(ジュニア)
では、どうぞ。↓
見えない稼働(2)
村の発明家が作ったロボは、
みんなで順番に使うことになりました。
ある日、理容室のKの番が来ました。
Kはワクワクしながら「よろしくね。えい」と、
ロボのスタートボタンを押します。
指先からデータを入力したロボは、
普段のKと同じように接客をします。
椅子に座っていたお客さんの髪を、
右手に持ったハサミで
チョキチョキと切り始めました。
「えー、すごいわー。私のやり方通りね」
と、Kが感激していると、
ロボの左手からポロリと櫛が落ちました。
あわてんぼうのKの癖を
そのままロボが真似をしたのです。
「うん。・・・私のやり方通りね」
と、Kはちょっと複雑な気分になりました。
いつものKは、お客さんがいないとき、
理容室の奥にいる息子Rの世話をします。
なので、仕事が一段落したロボも
店から中に入っていき、
「ジュニア~、絵本を読もうか~」
と言いながら、1歳のRに近づきました。
積み木をしていたRはびっくりして
ロボから逃げ始めます。
ロボは「待って、ジュニア~、ママよ~」
と、Kの声音で追いかけるのですが、
Rは「わーん、ママじゃない~」
と大泣きしながらリビングを走ります。
Kはあわててロボの後ろから近づき、
すぐさまスイッチを切りました。
ロボは、ぴたりと直立不動になって止まりました。
KはRを抱っこしてなだめながら、
「真似されてもうまく行かないことってあるのね・・・」
と、ため息をつきました。
Kの所ではアクシデントめいたものがありましたが、
おおむねロボは村人たちに好評でした。
けれども、たった一人、
試そうとしない人物がいました。
それは、村長のEでした。
「私の仕事は、私がやりますから」
と、責任感のあるEは、頑なに拒みます。
Dは、そんなEの肩をポンと叩いて、
「なあ、E。
お前が一番この村で働いてるんだ。
一日くらい、仕事をロボに任せたって
罰は当たらないぞ?」
と優し気な目を向けるので、Eは諦めました。
「・・・しかたない。一回だけですよ」
(続く)