ソロジャーナル
「うつろの園の乙女たち」です。
【登場人物】
修道院長(人間・故人)
マザー・ネモフィラ(ネモ): 愛情深い
少女ロボット4人
メグ : 働き者
ジョゼ : いたずらっ子
ベス : 読書好き
エイミー : 泣き虫
公暦643年10月11日(ネモ没後0年) ジョゼ
私たちのマザー・ネモフィラが神のみもとへ
昨日旅立った。
今日、私たちは
修道院である我が家の庭の片隅に、
彼女の棺を4人でおさめ、祈りをささげた。
私たち4人、エイミー、メグ、ベス、そして私は、
お世話をする人間を失い、
墓守のロボットとして、ここに残って生活するよう、
マザーに遺言された。
私はいたずらっ子の設定だったが、これからも
そのように動こうと思っている。
公暦652年10月15日(ネモ没後9年) エイミー
今日は4人で修道院の補修をしました。
冬が来る前に、壊れた窓や曲がった戸を直さないと、
雪が吹き込んでくるのです。
十年前の今頃は、マザー・ネモも楽しそうに
トンカチをふるっていたことを思い出します。
今日の私は作業しながら目頭を何度もおさえました。
私は泣き虫としてプログラミングされているんです。
これからもことあるごとに
泣く仕草を忘れないようにしていきたいです。
公暦653年8月12日(ネモ没後10年) ベス
修道院の周りの雑草を抜きました。
夏中、何度抜いても、草はすぐ生えてきます。
(仕事があるのは嬉しいです)
けれど、マザー・ネモは、土の下から出てきません。
人間は植物とは違う方法で増えるそうですが、
ロボットの普及で、恋愛・結婚・出産・子育ては、
ずいぶんと昔になくなったそうです。
私たちロボットは生存する人間のお世話をするだけです。
また、与えられた役割しかしてはいけません。
なので私は「読書が好き」という設定なので、
同じ本に何度も目を通して過ごしています。
マザー・ネモは生前、
三百年前に書かれた『若草物語』が大好きでした。
そのため、私たちは登場人物の名がつけられています。
今でも私たちを呼ぶマザー・ネモの声が、
どこからか聞こえてきそうです。
(続く)
