自分で作ったソロジャーナル
「とある魔導士の研修日記」です。
大長編になってしまった、ビエントの話。
これで、本当にラストです。
読みたい人だけ読んでください![]()
主人公:ビエント(17)
7日目。夜。
夕食のあと。
ビエントは一人で研修所の裏庭に出た。
昼間のことを思い返していた。
いろんな魔法を組み合わせる。
それが自分の得意なことなのかもしれない。
そう考えると、なんだか少し嬉しかった。
でも――
「……何と何を?」
答えはまだ出ない。
そのとき、背後から声がした。
「ビエント?」
振り返る。
カイだった。
「また一人で考えてる?」
「うん」
「何を?」
「進路のこと」
カイは隣に座った。
「もう決めた?」
「まだ」
「そっか」
それだけ言って、カイも黙った。
しばらく二人で夜空を眺めた。
「……でも」
ビエントが言った。
「今日、ちょっとわかったことがある」
「なに?」
「僕、魔法を一つだけ極めるより、いろんなものを組み合わせるほうが好きなのかもしれない」
カイは笑った。
「じゃあ、それでいいんじゃない?」
「うん」
二人は研修所へ戻った。
廊下の壁には、これまでの研修生が残した記録が並んでいる。
その中に、古い魔法陣の写真があった。
ビエントは足を止めた。
「……これ」
昼間見たものと同じだった。
しばらく眺めてから、ビエントは小さく笑った。
「またいつか、ここに来ようかな」
そう言って、部屋へ戻った。
最終日。朝。
ビエントは目を覚まし、窓の外を見た。
空には雲が広がっていた。
「……今日は見えないな」
昨日まで見えていた山も、自分の未来も、雲の向こうだった。
朝食を食べに行くと、何人かの研修生がもう集まっていた。
「おはよう」
「おはよう」
いつものように挨拶をする。
でも、今日で最後だ。
そう思うと、少しだけ不思議な感じがした。
食事を終えて実習室へ行くと、先生が待っていた。
「ビエント」
「はい」
先生は小さな袋を渡してくれた。
「研修修了の記念だ」
「ありがとうございます」
中には、小さな金属片が入っていた。
金属片には、研修所の紋章が刻まれている。
「これは……?」
「修了証のしるしだ。持っていていい」
ビエントは手のひらに乗せた。
昨日まで使っていた二人用の指輪とは違う。
借りていた指輪を入れ違いに返却した。
でも、この紋章入りは自分のものだ。
「……ありがとうございます」
先生は少し笑った。
「君に一つ、伝えておこうと思っていた」
ビエントは顔を上げた。
「今回の研修で、君が一番よくできていたのは、魔法そのものではない」
「え?」
「人の魔法を見て、自分の魔法とどう重ねればいいか考えていたことだ」
ビエントは黙って聞いていた。
「一人で完成させることにこだわらなかっただろう?」
リオ。
セナ。
ミナ。
カイ。
先生。
いろんな人の顔が浮かんだ。
「……そうですね」
「それは、これから先も君の強みになると思う」
ビエントは修了のしるしを握った。
外を見る。
まだ雲は晴れていない。
これから先、自分がどんな魔導士になるのか。
どこで働くのか。
何を専門にするのか。
それは、まだわからない。
でも――
「先生」
「ん?」
「僕、いろんな魔法を組み合わせる仕事をしてみたいです」
先生は頷いた。
「そうか」
「……でも、まだ具体的にはわかりません」
「それでいい」
先生は笑った。
「わからないものを、これから探せばいい」
その言葉を聞いて、ビエントも笑った。
窓の外では、雲の切れ間から少しだけ光が差していた。
数年後。(最終パラメータによる結果)
ビエントは、超一級の白魔導士になった。
複数の魔法や道具を組み合わせて、今まで難しかったことを可能にする。「組み合わせの魔導士」と呼ばれる。
(例: 治癒魔法+植物魔法 、 防御魔法+建築魔法 など)
聞き上手で、困っている人が来れば話を聞くし、魔法の専門が違っても、
「じゃあ、これとこれを組み合わせてみようか」
と一緒に考える。
だから、患者や依頼人だけでなく、他の魔導士からも頼られる。
「これくらいいいですよ」
「困ってるなら、材料費だけでいいですよ」
などと言うので、あまり儲からない。
たまに財布を開いて、「あれ?少ない」と、つぶやく。
けれど、あまり気にしないのは、「ありがとう」って言われるのが何よりもうれしいから。
そして、かつての研修仲間と飲む約束が入ると、喜んで飛んでいくのだった。
・・・おしまい。
ここまで読んでくれて、圧倒的感謝です![]()
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