小説を連載しています。
「百輪女子高DAYS(デイズ)」シリーズです。
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(通し番号は、2章の「勧誘」から1を振っていきます)
(前作「百輪村物語」のパラレルワールドです。
登場人物の性別が逆転し、年齢も若くなっています。
前作を読まなくても大丈夫です。)
なんのこっちゃ?の方はこちらから→ 告知
「女子高」のまとめはこちら → 百輪女子高DAYS 目次
「村」のまとめはこちら → 百輪村物語 目次
登場人物名は、アルファベット表記です。
A(3-5 スケバンのボス) 悪久亜 アクアB(2-3担任・家庭科担当) 芭蕉先生 バブルC(2-3 生徒会副会長) 千枝 クララD(2-3 転校生) 大奈 ディアナE(2-3クラス委員・生徒会書記)栄子 エーデルF(1-1 DIY部・部長) 文子 フェリスG(1-4 DIY部・副部長) 月夏 ゲイナH(百輪女子高の教頭) 広瀬先生 ヒラリーJ(3-4 生徒会会長) 純子 ジャニスK(草切男子校2年) 加流 カールL(百輪女子高の校長) 蘭堂先生 リンドンM(1-2 ダズンのヘッド) 正美 マーシアダズン=1年の不良グループ名O(草切男子校3年) 織音 オリオンP(2-3) 風由子 プリシアρ(Kの母親 美容師) 六花 ローズ
では、どうぞ。↓
見えない開拓(2)
それからというもの、
進路指導の先生が電話をかけ見学の約束を取り付けると、
ふたりは週末、そこへ出向くようになりました。
ある日は、
漁師さんと一緒に舟に乗って魚を釣ったり、
宅配便の仕事を手伝って家々を回ったり、
水族館の水槽を掃除する仕事にいそしんだり。
そして学校に戻ってくると、
フォーマットの用紙に感想を書きました。
J「ちょっと体力がいる仕事だったよね」
A「海が好きな人には最高。
ただ、船酔いする人には無理かも」
などと相談しながら。
今回、ふたりが向かったのは、県内の動物園でした。
小さい規模ですが、
近隣の幼稚園や小学生たちが
遠足で利用するなじみ深い場所です。
JもAも昔来たことがあり、
「なつかしいなあ」とニコニコしました。
園長先生やスタッフに出迎えられ、
借りた作業着に着替えると、
動物たちのエサである野菜や果物をカットしたり、
園内の通路や、動物たちの寝床の清掃をしました。
Jが水の入ったバケツを持って移動しようとしたときに、
足元のフンを踏んでしまい、つるりとすべりました。
そこをすかさずAが腕を取り、
Jは尻もちをつかずに済みました。
J「ああ、A、サンキュー」
A「気をつけなさいよ、ったく」
スタッフはそんな二人を見て
「仲がいいねえ」と笑いました。
作業の合間の休憩時に、Jはスタッフに話しかけました。
J「動物たちがのんびりしてるから、
仕事も楽だと思ってました」
「動物たちが主役で、僕らは裏方のようなものだ。
掃除やえさの準備はもちろんだけど、
健康管理にも気を配るし、
ショーやイベントの準備もやるんだよ」
Jはあとで感想が書けるよう、メモをしました。
Aもまた質問しました。
「この仕事のやりがいって、なんですか?」
「スタッフによって違うと思うけど、自分は
動物の魅力を伝えて、
お客さんに笑顔になってもらうことが
喜びの一つかな」
Aはなるほど、と頷き、
他にも思いつくまま、質問しました。
あとになって、JとAが二人きりになった時に、
A「あんた、ちゃんとメモして偉いわね」
J「いや、Aこそ、あんなにたくさんよく質問が浮かぶね」
と、褒め合いました。
休憩が終わって、また別の場所を掃除しているときに、
Jがデッキブラシを動かしながら、
独り言のように言いました。
J「なんかさあ・・・」
A「なによ」
J「学校じゃ教わらないこと、いっぱいあるよね」
A「・・・当たり前でしょ、そんなの」
J「私、学校の勉強って嫌いでさ。
ずっと座ってて眠くてさ。
でも、こうやって体を動かしてるの、
最高に気持ちいい」
A「あんた、服にフンがついちゃってるわよ。
それでも?」
J「テストで零点がつくより、よっぽど良いよ」
Aはふっと小さく笑いました。
A「あんたは、体を動かす仕事が向いてるってわけね」
J「そうかも~。Aは?」
A「仕事そのものは何でもいいのかもしれない。
けど、やりがいは欲しい。
あと、今あんたがいてくれて、
結構ありがたいっていうか。
ひとりでやるより、誰かがいるとやる気出る」
J「へー。だから、ボスやってたの?」
A「確かに。一匹狼じゃ、つまらないな」
その後、二人は話をやめ、黙々と作業を続けました。
(続く)