小説を連載しています。
「百輪女子高DAYS(デイズ)」シリーズです。
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(通し番号は、2章の「勧誘」から1を振っていきます)
(前作「百輪村物語」のパラレルワールドです。
登場人物の性別が逆転し、年齢も若くなっています。
前作を読まなくても大丈夫です。)
なんのこっちゃ?の方はこちらから→ 告知
「女子高」のまとめはこちら → 百輪女子高DAYS 目次
「村」のまとめはこちら → 百輪村物語 目次
登場人物名は、アルファベット表記です。
A(3-5 スケバンのボス) 悪久亜 アクアB(2-3担任・家庭科担当) 芭蕉先生 バブルC(2-3 生徒会副会長) 千枝 クララD(2-3 転校生) 大奈 ディアナE(2-3クラス委員・生徒会書記)栄子 エーデルF(1-1 DIY部・部長) 文子 フェリスG(1-4 DIY部・副部長) 月夏 ゲイナH(百輪女子高の教頭) 広瀬先生 ヒラリーJ(3-4 生徒会会長) 純子 ジャニスK(草切男子校2年) 加流 カールL(百輪女子高の校長) 蘭堂先生 リンドンM(1-2 ダズンのヘッド) 正美 マーシアダズン=1年の不良グループ名O(草切男子校3年) 織音 オリオンP(2-3) 風由子 プリシアρ(Kの母親 美容師) 六花 ローズ
では、どうぞ。↓
見えない方向(3)
半月後、進路指導の先生が連絡してくれた
女子プロレスの事務所のひとつが、
見学を許してくれたので、
JとAは百輪女子高のジャージを着て、
その事務所を訪れました。
「現役の高校生が、入所目的で見学に来るのは初めてだよ」
と、事務所の人は少し笑いながらも、
練習用のジムに案内してくれました。
そこには、練習着に身を包んだ女子プロの方々が
練習をしていました。
Jはテレビで見たことのある選手を見つけ、
目を輝かせました。
一方のAは、
その鍛え上げられた体つきを見て、思わず息をのみます。
J「こんにちは。百輪女子高のJです。
入所を視野に、見学に参りました。
よろしくお願いします」
Jは事前にEから教わったとおりに、
よどみなくあいさつをしました。
Aはその横で、
「同じくAです。お願いします」と頭を下げました。
選手の方々は、
2人に「よろしく~」と明るく声をかけると、
一緒に準備運動をしたり、基礎の動きを見せてくれました。
また、今日担当してくれたインストラクターは、
「色んな寝技があるんだよ~」と、
チョーク・スリーパーや腕挫十字固め、三角締めなど、
次々と技を見せてくれました。
Jはふだんから弟たちに軽く技をかけて遊んでいたので、
するりするりと言われた通りになんなくこなしましたが、
Aにとっては初めての技ばかりでまごつきました。
けれど、Aはだんだんと、「寝技って面白い・・・」と
目がギラギラとしだし、
インストラクターが「終了です」と声掛けしても、
Jに「もっとやらせて」と技をかけまくりました。
Jは、「痛てて。わははは」
と、Aに技をかけられながらも、楽しくて笑いました。
最後は、プロの選手による疑似試合を見せてもらい、
JとAは「すごっ」「迫力が違う・・・」
と感嘆の声を上げました。
見学の時間はあっという間に終わりました。
ジムのインストラクターは、二人に
「君たちは、ふたりとも筋がいいね。
ふだんから運動してるの?」
と尋ねました。
JもAも、街の不良といつもケンカしているとは言えず、
「いえ、特には・・・」とお茶を濁しました。
「まあ、興味があるなら、また見学に来てね。
いつでも待ってるから。
焦らなくていいから、よく考えてみて」
と言ってくれたので、JとAは
「わかりました。
今日は本当にありがとうございました」
と、頭を下げてプロレスのジムを後にしました。
ふたりは、帰りの電車で立ったまま、
一緒に揺られながら話をしました。
J「面白かったねえ。どう?」
A「いい運動になったわ。
でも、プロレスなんてさ。
家族がなんて言うかわかんないわよ」
J「だよね。
ま、これだけじゃ、決められないよね。
でもさ、いい経験になったよね」
A「確かにね。・・・誘ってくれて、ありがと」
照れるAに、Jはにっこり笑いました。
J「なんかさ、やりたいなってことがあったら、教えてよ。
他のスポーツジムの見学とかさ。また一緒に行こうよ」
A「え、私と?」
J「もち。EやCが誘いに乗ってくれるとは思えないし」
A「ふうん。・・・ま、いいけどさ」
Aは、Jの垣根の無さに驚きつつ、
ふと顔を窓ガラスに向けると、
映った自分の顔がすこし緩んでいました。
車内放送が、静かに次の駅名を知らせました。
(「見えない方向」終)