小説を連載しています。

「百輪女子高DAYS(デイズ)」シリーズです。

 

 

(前作「百輪村物語」のパラレルワールドです。

 登場人物の性別が逆転し、年齢も若くなっています。

 前作を読まなくても大丈夫です。)

 

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「女子高」のまとめはこちら → 百輪女子高DAYS 目次 

「村」のまとめはこちら   → 百輪村物語 目次

 

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

☆主人公は、いちおうEですが、群像劇です。
(性別が変わったので、新たに名前をふりました)
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
(生徒は下の名前、教師は苗字。男は黄色
A(3-5 スケバンのボス)  悪久亜  アクア
B(2-3担任・家庭科担当)  芭蕉先生 バブル  
C(2-3 生徒会副会長)  千枝  クララ
D(2-3 転校生)     大奈  ディアナ
E(2-3クラス委員・生徒会書記)栄子 エーデル
F(1-1 DIY部・部長)   文子 フェリス
G(1-4 DIY部・副部長)  月夏  ゲイナ
H(百輪女子高の教頭)  広瀬先生 ヒラリー
J(3-4 生徒会会長)   純子  ジャニス
K(草切男子校2年)     加流  カール
L(百輪女子高の校長)  蘭堂先生 リンドン
M(1-2 ダズンのヘッド) 正美  マーシア
  ダズン=1年の不良グループ名
O(草切男子校3年)    織音  オリオン
P(2-3)         風由子 プリシア
 
ρ(Kの母親 美容師)   六花  ローズ

 

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない共鳴

 

 

 

  

 

「・・・それで、ふっと目が覚めたら、

 私の髪はギザギザに切り取られててねえ」

 

「あらあら~、あはははは」

 

 

ρは、自分の美容室を営む美容師です。

 

休日に居眠りしていた自分の髪を、

当時幼かった息子のKが

ハサミでジョキジョキ切った――

 

そのエピソードを、

ずっと”テッパンの笑い話”として客に披露していました。

 

なので、ρの店の常連は、全員が知っていました。

 

そんなKは、ずっと

「母と同じように美容師になりたい」

という夢を持っていて、

高校生になってからは

専門の大学か、専門学校に進みたいと考えていました。

 

さらに、少しでも早く技術を身につけたくて、母のρに

『無料でヘアカットモデルを募集したい』と相談しました。

 

ρは、Kに、自分の髪を試しに切らせてみて、

「うん。これなら、案外、大丈夫かも」

と確信し、自分の常連に

「無料で、息子のヘアカットモデルに

 なってもらえないだろうか、

 もちろん変だったら自分が手直しするから」

と、打診してみました。

 

しかし、過去にρがさんざんネタにした話のせいで、

常連たちは苦笑いしながら断るのでした。

 

「ごめんね、K・・・。お客さんは無理みたい。

 進学先で、カットの勉強してちょうだい」

「・・・うん。わかったよ」

 

そんなわけでKは、

草切男子校からの下校時に、

立ち寄った本屋で時々ヘアカットの雑誌を立ち読みしては、

「これはどうやって切るんだろうか」などと、

頭の中でシミュレーションを繰り返していました。

 

 

四月に入って間もない頃、

Kがいつものように立ち読みしていると、

「君って、髪フェチ?」と、

突然、横から声がしたので、Kは驚きました。

 

声のした方に頭を向けると、そこには

同じ制服を着た上級生が立っていました。

 

「いえ。ただの、髪型の研究です」

Kが正直に伝えると、上級生は

「研究?なんで?」

とさらに質問してきます。

 

「美容師を目指しているので・・・」と、

雑誌を棚に戻して立ち去ろうとしたところ、

「へえ、そうなんだ。もっと話が聞きたいなあ」

と、喫茶店に誘われました。

 

 

 

 

  2

 

見知らぬ上級生と喫茶店に入ったK。

 

向かい合って座ると、その上級生は、

さきほど買ったと思われる書店の紙袋から

海外女性ブランド雑誌を取り出して

パラパラとめくり、

「ねえ、このモデルの髪型、どう思う?」

と、開いた状態でKに見せてきました。

 

Kは指さされたモデルの写真をじっくりと見ました。

「・・・この人は、ロングよりも、

 短く刈り上げたほうが似合うかもしれません」

 

上級生は、嬉しそうに笑いました。

「おー。だよね」

 

「?」

 

「こんなひらひらした襟より、

 シャープなワンピが似合いそうだよね」

 

Kが「確かに・・・」と頷くと、

目の前の上級生はコーヒーをゆっくり飲みました。

 

「君が美容師なら、僕はスタイリストになりたいんだ」

 

「あ、なるほど。そうなんですか」

 

「話が合いそうな人、初めて見つけたよ。

 僕は、三年のO。君は?」

 

「二年のKです」

 

KとOは、雑誌を肴に長々とおしゃべりをしました。

Kは、自宅が母経営の美容室であることも話しました。

 

会計の際、Oは、「自分から誘ったから」と、

気前よく奢ってくれました。

 

O「僕の周りには、

 脱がすことしか考えてない人ばかりだったから、

 今日は新鮮だったよ」

 

K「僕も髪だけで、服のことまで考えてなかったから、

 勉強になりました。ありがとうございました」

 

O「もしよかったら、また話さない?」

 

K「いいですね。ぜひ」

 

喫茶店を出たところでOは、

小脇に挟んでいた雑誌をKに渡しました。

財布から、雑誌のレシートも出します。

 

O「これ、君にあげる。お店の経費にしていいよ」

 

K「そんな。

 Oさんが買ったばかりの雑誌じゃないですか」

 

O「いいんだ。

 今日見て、すぐ捨てるつもりだったんだし。

 

 『スタイリストになる』って宣言してから、

 親父が僕の服飾関係の資料を全部捨ててしまってね。

 

 こんなのを家に持ち込むと、うるさいんだよ。

 建築なんて興味ないのに、『後を継げ』ってね」

 

K「・・・大変なんですね。

 じゃあ、この雑誌、店に置きますから、

 いつでも見にいらしてください」

 

O「ありがとう。今度、お邪魔するよ」

 

 

 

 

  3

 

それからは、KとOは仲良くなり、

よく落ち合っては、

ファッションの話に花を咲かせました。

 

 

ある日、

店にOが遊びに来たときに、Kは意を決して、

「タダで髪を切らせて欲しい」と頼んでみました。

 

Oは、

「おっかないなあ。まあ、お手柔らかに頼むよ」

と、すぐに了承してくれました。

 

仕上げてもらった髪型にOは満足し、

それ以来、OはKに髪を切ってもらうことにしました。

 

K「本当はもっとヘアカットモデルさんが欲しいんだ」

と悩みを打ち明けると、Oは

「店にポスターを貼ったらどうだい?

 もしくは、路上で勧誘しちゃえば?」

と提案しました。

 

Kは、なるほど、と思い、

母親の了承を得て早速ポスターを貼りましたが、

住宅街の中にひっそりとある美容室だったので、

ヘアカットモデルになってくれる人は現れませんでした。

 

 

 

さらに数日が経った頃。

 

KとOが学校帰りに本屋に立ち寄ろうとしていたときに、

他校の不良グループが立ちふさがり、

二人にお金を無心してきました。

 

Oが「君たちには、びた一文出す気はない」と言い放つと、

不良たちは腹いせに二人に殴りかかろうとしました。

 

OとKが、自分の身をかばおうとした次の瞬間、

風のように現れた百輪女子高の一人が、

あっという間に不良の一人を気絶させました。

 

「街の風紀が乱れますので、

 このようなことはやめてください」

 

「はあ?なんだと、このアマ!」

 

仲間を倒された不良は激高しましたが、

はっと女生徒の顔を見て、

「こいつ、百輪の剃刀Eだ」

「やべえ」と、倒れた仲間を抱えて

そそくさと逃げていきました。

 

「お怪我はありませんか」

と静かに言うクールビューティな女生徒にKとOは驚き、

「ありがとう。助かったよ」

とお礼を言いました。

 

O「僕は草切高のO。こっちは、K。君は?」

 

E「百輪女子高のEといいます。

 もし、また襲われそうになったら、

 私の名を出せば、逃げると思います。では」

 

O「Eさん、待ってよ。お礼にお茶しない?奢るから」

 

E「いえ、結構です。まだパトロールがあるので」

 

K「じゃ、じゃあ、いつなら、ヒマになりますか?」

 

E「今の所、時間はありません。失礼します」

 

Eは頭を下げると、華麗に去っていきました。

 

O「・・・エレガントだなあ」

 

K「かっこいい人ですね」

 

二人は、Eに心を奪われてしまいました。

 

 

それからというもの、KとOの二人は、

毎朝、百輪女子高の校門前にしばし佇んでは、

Eの姿を探すのが日課となりました。

 

そのため、百輪女子高の女生徒たちは、

二人のイケメンな草切男子校生に色めき立ち、

キャーキャーと騒ぐようになりましたとさ。

 

 

 

 

(「見えない共鳴」終)