小説を連載しています。

「百輪女子高DAYS(デイズ)」シリーズです。

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(通し番号は、2章の「勧誘」から1を振っていきます)

 

 

(前作「百輪村物語」のパラレルワールドです。

 登場人物の性別が逆転し、年齢も若くなっています。

 前作を読まなくても大丈夫です。)

 

なんのこっちゃ?の方はこちらから→ 告知

             

「女子高」のまとめはこちら → 百輪女子高DAYS 目次 

「村」のまとめはこちら   → 百輪村物語 目次

 

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

☆主人公は、いちおうEですが、群像劇です。
(性別が変わったので、新たに名前をふりました)
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
(生徒は下の名前、教師は苗字。男は黄色
A(3-5 スケバンのボス)  悪久亜  アクア
B(2-3担任・家庭科担当)  芭蕉先生 バブル  
C(2-3 生徒会副会長)  千枝  クララ
D(2-3 転校生)     大奈  ディアナ
E(2-3クラス委員・生徒会書記)栄子 エーデル
F(1-1 DIY部・部長)   文子 フェリス
G(1-4 DIY部・副部長)  月夏  ゲイナ
H(百輪女子高の教頭)  広瀬先生 ヒラリー
J(3-4 生徒会会長)   純子  ジャニス
K(草切男子校2年)     加流  カール
L(百輪女子高の校長)  蘭堂先生 リンドン
M(1-2 ダズンのヘッド) 正美  マーシア
  ダズン=1年の不良グループ名
O(草切男子校3年)    織音  オリオン
P(2-3)         風由子 プリシア
 
ρ(Kの母親 美容師)   六花  ローズ

 

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない迷子(4)

 

 

目の前の鏡から目線をそらしているJに対し、

美容師の卵のKは、静かに提案しました。

 

K「・・・毛先、整えるだけにしましょうか?

 大きく切り過ぎて後悔するよりもいいと思いますよ」

 

J「・・・ええ、じゃあそれで」

 

Jは深々と息を吐くと、口をつぐみました。

 

Kがハサミを動かす音だけが、店内に響きます。

 

しばらくしてKが声をかけました。

 

K「・・・なんで受験なんてあるんでしょうね・・・

 好きなタイミングで、好きなことできたらいいのに」

J「ホント、それ」

 

K「僕は将来、美容師になりたいんですけど、

 Jさんは?」

J「ノープランよ。ぜんぜん思いつかない。

 あなたはいいわよね。そうやって道があるから」

 

K「Jさんが好きなことって何ですか?趣味とか」

J「どっかに落としてきちゃった。見つからないの」

 

K「・・・迷子なんですね。つらいですね」

J「・・・うん・・・」

 

Jの目から静かに涙がとめどなくあふれ、肩が震えました。

 

Kはティッシュボックスを

目の前のカウンターに置きました。

 

Jはそこから何枚もティッシュを取り、

涙を拭き、鼻をかみ、

体中から水分がなくなるかと思うくらい出し尽くしました。

 

Kはその間、ちょっとカットしては、コームで撫でる。

そんな細かい作業を、静かに繰り返していました。

 

Dは、雑誌の内容が頭に入らないので、

膝に雑誌を広げたまま、

二人の後ろ姿を静かにながめていました。

 

(3年で・・・生徒会長で・・・

 好きなことがわからなくて・・・

 それはきついだろうな・・・)

とぼんやり考えます。

 

(私は今はDIY部が楽しくてしょうがないけど、

 来年はどうなるんだろうか)

Dの胸が、ちくっとしました。

 

 

J「・・・ごめんなさい。取り乱しました」

K「いいんです。好きなだけ泣いてください」

 

J「全部出したら、なんか、すっきりした」

K「そうですか。 

 ・・・ちょっとだけ短くしましたけど、

 どうですか?もう少し切ります?」

 

J「これでいいです」

K「はい。では、乾かしますね」

 

Kはドライヤーを最大にして、温風をJの髪に当てました。

Jの髪は、空気を含んだようにやわらかくなりました。

 

帰り際にJが「お金を払いたいんだけど」と言いますが、

Kは「学校で止められてるんです。お気遣いなく」と

ソフトにお断りしました。

 

J「それじゃあ、しかたないか。

 今日は本当にありがとう」

K「どうぞまた来てください。待ってますから」

 

J「ふふっ。はい。そうします。D、行こうか」

D「あ、はい。Kさん、ありがとうございました」

K「ふたりとも、お気をつけて」

 

店を出たあと、DはJの横顔を見ました。

少し笑みが戻っているようで、Dは安心しました。

 

Dの視線に気づき、Jは照れながらDの方を見ます。

 

J「D、つきあわせちゃってゴメン。もう大丈夫だから」

D「会長の元気が戻って、良かったです」

 

一番星が見えそうで見えない空の下、
Jは歩きながら『夢の中へ』を口ずさみ始めました。

 

「探し物はなんですか~ぁ♪」

 

Dが引き継ぎます。

「見つけにくいものですか~ぁ♪」

 

それからは、ずっと二人でハモリながら、

駅に向かいました。

 

 

 

 

(「見えない迷子」終)

 

 

 

 

 

 

 

 斉藤由貴 「夢の中へ」