小説です。

「百輪女子高DAYS(デイズ)」シリーズです。

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(通し番号は、2章の「勧誘」から1を振っていきます)

 

 

(前作「百輪村物語」のパラレルワールドです。

 登場人物の性別が逆転し、年齢も若くなっています。

 前作を読まなくても大丈夫です。)

 

なんのこっちゃ?の方はこちらから→ 告知

             

「女子高」のまとめはこちら → 百輪女子高DAYS 目次 

「村」のまとめはこちら   → 百輪村物語 目次

 

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

☆主人公は、いちおうEですが、群像劇です。
(性別が変わったので、新たに名前をふりました)
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
(生徒は下の名前、教師は苗字。男は黄色
A(3-5 スケバンのボス)  悪久亜  アクア
B(2-3担任・家庭科担当)  芭蕉先生  バブル  
C(2-3 生徒会副会長)  千枝  クララ
D(2-3 転校生)     大奈  ディアナ
E(2-3クラス委員・生徒会書記)栄子 エーデル
F(1-1 DIY部)      文子  フェリス
G(1-4 DIY部)      月夏   ゲイナ
H(百輪女子高の教頭)   広瀬先生 ヒラリー
J(3-4 生徒会会長)   純子  ジャニス
K(草切男子校2年)     加流  カール
L(百輪女子高の校長)   蘭堂先生 リンドン
M(1-2 ダズンのヘッド) 正美  マーシア
  ダズン=1年の不良グループ名
O(草切男子校3年)    織音  オリオン
P(2-3)         風由子 プリシア

 

では、どうぞ。↓

 

見えない時間(2)

 

 

「やめるっす!!G!!」
そこへFが現れました。

G「F先輩!・・・僕たちの椅子が・・・ううう」

Fは泣きじゃくるGを背中に回し、

目の前にいる不良グループ・ダズンに

「なんで壊したんすか?」と聞きました。
 

ダズンのヘッドのMは

にやにやしながら、Fに言いました。

M「別に。蹴りやすかったから。それだけよ。
 すぐ壊れるような椅子、

 作ったってしょうがないでしょ」

Fはぐっとこぶしを握り、声を絞り出します。

「壊すのは一瞬っす。

 壊して楽しいのも一瞬っす。
 ・・・でも、物をつくる長い時間、

 おいらたちはずっと楽しいっす。
 きっと、あなたたちには、わからないっす」

Mを含め、ダズンたちは、

Fの静かな言葉に息をのみました。

Fは、バラバラになった木片を拾い集めると、
Gと一緒に去っていきました。

ダズンたちは、

しばらく誰も口を開けませんでした。

「・・・なによあれ、私たちに説教していったわ」
「たかが椅子一つでさ。バッカみたい」
「ねえM、ケチがついたから、
 これからタックバーガーに行きましょうよ」


負け惜しみのような声を出して、

士気をとり戻そうとしました。

ヘッドのMは、

自分たちが踏みにじった募集のポスターを拾い上げ、
しばらく黙っていました。

その紙には、不器用ながらも丁寧に描かれた文字と、
手作りの椅子の絵が残っていました。

Mはフン、と鼻を鳴らすと、

ポイとポスターを捨て、仲間たちと一緒に

ハンバーガーショップへ向かいました。


後日、学校の中庭のベンチで、
FとGが翌日に迫る期限について話し合いました。

F「もう、やることはやったっす。

 あきらめて、別の部に入るっす」


G「先輩・・・無念です」

そこへ現れた一人の影。

Mでした。

Fは顔を上げ、

「もう椅子はないっすよ」と言うと、
Mが、ボロボロのポスターをFの前に出し、
「私、DIY部に入るわ」
と言い出したので、FとGはびっくりしました。

G「え?この人、何を・・・?」


F「冗談は、その赤い髪だけにするっすよ」

FとGが信じられない顔で呆然としていると、
二人が座るベンチに置いてある部員名簿を持ち上げ、

三番目の欄にMは自分の名前を書きました。

M「ほら。これでDIY部、大丈夫なんでしょ」

F「・・・なんで、っすか?」

Mはすぐには答えず、少しだけ視線を落としました。

M「この間は、やりすぎたわ。
 ちょっと反省したの。

 名前だけ使ってくれていいから」

F「なーんだ。名前だけっすか?」


G「せっかくなら、何か一緒に作りましょうよ」

M「私はダズンのヘッドとして、

 仲間を取りまとめる仕事があるの」

「M、水臭いわよ!」


MとFとGが振り向くと、

ダズンの他のメンバー11人が立っていました。

「私たちはいつでも一蓮托生よ!」
「Mが入るなら、私たちだって入れてよ」
「ケンカが暇なときは、トンカチふるったっていいわよ」
「ちょっと面白そうだしさ」

Mは苦笑し、
「・・・あ、そう。じゃあ、みんなで入りましょ」
と名簿を回しました。

G「せ・・・先輩・・・」

F「奇跡っす」

ダズン・メンバーの名前が揃い、

名簿は全員で14人になりました。

M「Fって、”先輩”って言われてるのね。

 じゃあ私たちも部内では、

 あなたを”F先輩”と呼ぶわ。よろしくね。ふふっ」


F「M、よろしく頼むっす」

FとMはがっちりと握手をします。

 

Fの笑顔に、Gの瞳は潤みます。

足元では、タンポポがふわりと揺れていました。



(「見えない時間」終)