小説です。「百輪村物語」の番外編です。

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番外編は(番:通し番号〇)にします。

 

 

小説と漫画をまとめた目次はこちら→ 百輪村物語 目次

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

☆主人公は、村長のEと大工のDです。
 
【今回の登場人物たち】
E(村長&小学校教諭)  栄一  エデン
K(美容師・Eの妻)    加恵  カーラ
D(大工)        大吾  デイビッド
 
A(村のボス・故人)   悪久太  アーク

 

では、どうぞ。↓

 

見えないお休み(3)

 

 

民宿に戻ると、Kは尋ねます。
 
K「ねえE、どっちが美味しかった?」
E「どっちもだよ。Kは?」
 
Eのどっちつかずの答えに、Kは区別をつけてみました。
 
K「私は・・・チキンより魚が美味しかったわ」
E「そう、それは良かった」
 
Eはノートを開いて、訪ねた店名の横に『魚』とメモし、
〇で囲みました。
 
(E・・・それは、私の好みよね?あなたは?)
Kは胸がキュッとしました。
 
そんなKの心も知らず、Eは地図のページを開いて、
Kに見せます。
 
E「さっきはこの道を歩いただろう?
 明日は西側はどうかな。
 ほら、途中にアイス屋だ。開店時間に合わせようか」
 
Kはハッとしました。
K「E、アイス、好きなの?うふふっ。意外」
 
E「いや、君が食べるかな、って。甘いもの、好き?」 
 
K「・・・」
 
Kはノートをひったくると、ポイっと投げました。
 
ノートは弧を描き、ちょっと遠くのフローリングに、
スローモーションのようにパサリと落ちました。
 
E「・・・K?どうした?何か気に障った?」
 
K「どうして、そんななの?
  この旅行は、あなたのためでもあるのよ?!」
 
E「私のため?とは?アイスが?」
Eはポカンとしました。
 
声を荒げてしまったKは、反省して肩を丸めます。
K「Eのね・・・えっと、あの、もっと自由にね・・・」
 
E「ああ、予測不能がいいのか?わかった。
 君にはイベントを内緒にしてエスコートするよ」
 
K「違うの、違うのよ・・・私じゃなくて・・・」
Kはほろほろ泣き出しました。
 
Eはティッシュ箱を持ってきて、
「・・・君の方が予測不能だ」と背中をさすりました。
 
K「私、あなたのことで泣いているの」
E「え?どうして?」
 
Kから見てEは、わがまま放題のボスの元で
身を粉にしてきた人に思えました。
 
自分のことより人のことに徹するーー。
そんな姿勢のEの過去を、悲しく思ったのです。
 
K「ずっとずっと、我慢してきたんでしょう?
 自分の”好き”を言わないで過ごしてきたんでしょう?
 言ってよ。Eの好きなことを。私、私・・・」
 
E「我慢?いや、別にアイスはなくてもいいけど。
 ごめんよ。何が君の地雷なんだい?」
 
まったく伝わらないので、Kはだんだん腹が立ってきました。
K「もう!私がプランを作るから!Eは何もしないで!」
 
E「あ、うん。わかったよ・・・」
Eは困ったように頭を掻きました。
 
 
 
(続く)