小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
E(村長&小学校教諭)  栄一  エデン
D(大工)        大吾  デイビッド
 
F(Dの弟子)      文也  フランク
G(Dの弟子)       弦   ジョージ
U(バーテンダー)    梅吉   ウニー 

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない彩り(2)

 

 

ある日、大工のDが弟子のFとGを呼び、

爆撃で大穴が空いた小学校とカフェバーを

内側から見上げました。

現時点では、穴の箇所をビニールシートで覆っています。

 

親方のDが尋ねます。

「この穴、すぐふさいじゃってもいいんだが。

 せっかくだから、うまく使おうじゃないか。

 いいアイデア、あるか?」

 

Gがにっこりして言います。

「天窓はどうですか?

 雰囲気的に丸でも四角でもよさそうですけど」

 

FもまたGに頷きます。

「いいすね。あ、ステンドグラスにしてもいいかも。

 授業の邪魔とかにならない程度に」

 

Dは二人の意見を聞いて、

「面白そうだな。そうするか」と笑いました。

 

Dたちは、学校の先生を兼ねている村長Eや、

その生徒たち、バーテンダーのU、

アクセサリー職人をしているFの母親、

村のガラス職人なども呼んできて、

みんなでわいわい楽しそうに話し合いで決めました。

 

このようにして修復し終わった

カフェバーと小学校の天井には、

外の明かりを優しく取り入れる天窓が出来ました。

 

ステンドグラスの絵柄は、

村の牧歌的な雰囲気を映し出したように

元気に飛ぶ鳥と花が描かれています。

 

日差しがステンドグラスを通し、

床に淡い虹が出来たかのようでした。

 

また普通の透明ガラスをはめ込んだ箇所もあって、

夜のカフェバーでは、

静かな星空や月を見上げながら

優雅にお酒を楽しむこともできます。

 

村人たちはその美しさにほれぼれし、

ある日はその下で宴会も催しました。

 

 

このようにして、彼らは、

さまざまな戦争の傷跡ですら逆に美しく取り入れます。

 

”傷跡を生かしたアート”は

後に観光名所の目玉となり、

村の収益にさらに一役買うことにもなっていくのです。

 

 

転んでもただではおきない、百輪村クオリティ。

 

今日も明るく楽しく健康的なオーラが、
村の生活に溶け込み、
静かに彩りを加えながら、
村から外へ外へと放射されていくのでした。
 
 

 

ending music

 

 
Through the Arbor - Kevin Kern