小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
E(村長&小学校教諭)  栄一  エデン
D(大工)        大吾  デイビッド
S(ラーメン屋)      進  スタン
 
F(Dの弟子・大工)   文也  フランク
G(Dの弟子・大工)    弦   ジョージ
O(Sの妻・スタイリスト) 織江  オリーブ
T(八百屋・車椅子使用)  拓郎  テッド  

 

では、どうぞ。↓

 

見えない勇気(3)

 

 

数週間後。見張り台の青年が叫びます。

 

「来たぞ!アチダ国の爆撃機だ!」

 

百輪村の村人たちは慌てずに散り、

防空壕に身をひそめました。


ヒューーーードォォォン——!ドォォォーーーン!

 

爆弾が落ち、

カフェバーや小学校に大きな穴が開きました。

家も何軒か吹き飛びましたが、全員が無事でした。

 

埃と煙が立ちこめ、焦げた木の匂いが漂う中で、

防空壕から抜け出た皆はEの周りに集合しました。

 

Eは点呼を取ったあと、ぽつりと言います。

 

「こんな山奥の村を1つだけ、アチダが狙う理由はない。

 もし理由があるとしたら・・・」

 

村人たちは、次の言葉を待ちました。Eは続けます。

 

「今の所、2つ、可能性が考えられます。

 1つは、敵機に見せかけた自機による村の攻撃。

 脅しです。

 

 もう1つは、・・・コチダとアチダ、

 この二つの国の上層部は繋がっている。

 何らかの合意の上で戦争をしたがっているんです。

 

 そうなると、口封じ。

 とにかく、百輪村の哲学が邪魔なのでしょう」

 

Dが眉をひそめて言いました。

 

「つまり、どっちも敵ってことか・・・?
 最悪、オレたちを消したいってわけか?」

 

Eは静かに頷きます。

 

「私たちの生活を脅かし、命を奪おうとする者からは、
 当然、身を守る必要があります。

 けれど“敵”という言葉で切り捨ててしまうと、
 そこから先の対話が閉じてしまう。

 話し合いの席につかない相手には、
 こちらも無力ですが・・・それでも私は、
 武器ではなく、知恵と状況で切り抜けたいのです」

 

村人の一人が、か細い声でうめきます。

「でも、じゃあ、どうすれば・・・」

 

 

(続く)