小説です。「百輪村物語」の番外編です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

☆主人公は、村長のEと大工のDです。
 
【今回の登場人物たち】
D(大工)       大吾  デイビッド
F(Dの弟子)     文也  フランク
G(Dの弟子)      弦   ジョージ
M(ダズンのヘッド)  正道  マックス
β(ダズンのメンバー) 米太  ベイリー
ダズン(不良グループ→Dの見習い集団)
E(村長&バーテンダー)栄一  エデン

 

 

本編でMとダズンが初登場した話はこちらです ↓

 

 

 

今回の話は、「第16章 見えない才能」の

続編ですが、本編を読まなくても大丈夫ですよ。

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない肩書(3)

 

 

作業場の裏に、Gがいつも休憩する場所があります。

 

さきほどMと口げんかしたGは、

木の下にしゃがみ、心を落ち着かせました。

(ああ、怖かった。

 ・・・やっぱ元不良だから、怒ると怖いな。

 こっちは真剣に副リーダーをやってるだけなのに、

 なんであんな風に言われなきゃいけないんだよ。

 指示を聞かない方が悪いんじゃないか。

 年下だからって、副だからって、バカにしてるんだ。

 あーあ、面倒だし、疲れるし・・・

 もう、いっそMもダズンも

 いなくなってくれたらいいのに。

 親方とF先輩と僕の3人でやりたい。前みたいに・・・)

 

手近な草をむしり投げていると、FとMが来ました。

「G、ちょっといいっすか?Mから聞いたんだけど」

Fはいつものように微笑んでいて、

Mはちょっと緊張した顔。

Gは、眉をひそめます。

「ああ・・・ダズンでやめたい人がいる話ですね?」

 

3人はベンチに移動し、話をすることになりました。

リーダーのFは、副リーダーのGに言います。

「やめたい人が出たっていうのは、Gがね、
 ちょっと言い方がきついから、らしいんすよ。
 もう少し皆に優しく言えるかな?」
 
大好きなFであろうと、主張はしたいG。
「優しく?僕、副リーダーなんですよ?
 みんなにしっかりしてもらわないと、
 親方もF先輩も困るでしょう?」
「・・・G、おいらはね、皆となかよくしたいんすよ。
 Gが頑張ってるのは、わかるっす。
 でも、リーダーだからって、
 なんでも強く命令しちゃだめなんすよ」
「・・・」
「G、あのさあ、そんなにリーダーって、偉いんすかね?」
「え?偉いに決まってるじゃないですか!」
「じゃあ、おいら、リーダーやめるっすよ。
 っていうか、最初から、
 別にやりたかったわけじゃないんだし」
 
FとGのやり取りを黙って聞いていたMが驚きました。
「な、何を言うんですか、F。
 誰かがトップにいないと、グループはまとまらないですよ」
不良グループの元ヘッドであるMは序列を気にしており、
元々大工の弟子だったFとGをリスペクトする意味から
「リーダー」「副リーダー」と位置付けました。
けれどFやGにとっては、その肩書きに不慣れでした。
 
慌てているMを見て、Fは微笑みます。
「そうなの?いいじゃないすか、別に。上とか下とか。
 もめるくらいなら、リーダーなんていらないっすよ。
 親方がいて、おいらたちみんながいて。
 それで十分じゃないっすか?」
 
一方Gは、Fの言葉に別の考えが浮かびました。
「えっと・・・F先輩がリーダーをやめるなら、
 僕がリーダーになってもいいってことですか?」
 
Mはのけぞりました。
「そんな話の流れじゃないですよ」
「でもM、さっき言ったじゃないですか。
 グループをまとめる人が必要って。
 じゃあ、僕がなりますよ」
「・・・Gさん、悪いけど、今のあなたのままじゃ、
 まとめられないと思いますよ」
 
Mが苦言を呈しても、Gはどこか自信ありげです。
「僕よりMがふさわしいって言いたいんですか?
 だったら、この際、誰がリーダーにふさわしいか、
 ダズンたちに決めてもらいましょうよ。
 まあ、どう考えても、僕が一番しっかりしてるけど」
 
(え?なんでそうなるの?)とMは呆然としました。
 
 
 
(続く)