登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
E(村長) 栄一 エデンD(大工) 大吾 デイビッドP(カメラ屋) 三平 ピートK(美容師・Eの妻) 加恵 カーラ
今回のお話は、
本編(第20章と第22章)の後日談になります。
が、本編を読まなくても大丈夫です。・・・たぶん。
(本編の、若干のネタバレにはなりますが、
気にしない方はそのまま番外編をお読みください)
では、どうぞ。↓
見えない帳尻(4)
Dは、ぽかんとして、言いました。
「E。・・・お前って、すげえなあ」
「何が?」
「常に村長目線なのかよ?
・・・もっとさ、村長の立場を抜きにして、
お前がやりたいようにやればいいんじゃないか?
お前だって、要するに村の一人なんだからさ」
「その発想は、なかったな」
「誰にでもいい顔をしようとしなくていいんじゃねえ?
誰だって、家に不審者が来たら追い出すだろ?
村だってそうだ。いやなやつは追い出していい。
いつでも優しくお引き取り願うのもいいけど、
泥棒とかにまでそのサービスをする必要はねえだろ?」
「・・・それは、そうだな」
「E、色々考えてるようだけど、
今回の件に関して言うなら、たぶん、
暴力っていう話じゃないと思う。
暴力ってのは、もっと・・・自己中なやつだ。
大義名分で武力を使うやつもいるけど、
相手の陣地にまでわざわざ出向いて
報復したりするんだったら、
俺は自己中だと思う。お前のは違う。
どう違うのか、うまく言えないけど・・・。
ーーあ、正当防衛?」
「わかってきた。適切な範囲の中で、
自分の守りたいものを守るってことは、
暴力じゃない、ってことか」
「ああ、そうそう!
・・・なあ、もう、
それでいいってことにしようぜ。
頭を使い過ぎて、脳が沸騰しそう」
Eはふふっと笑って、コーヒーを飲みました。
「ごめん、ごめん。
D、ありがとう。整理が出来たよ」
「なまじ腕っぷしと頭がいい村長は、
悩みが多くて大変だな。
でも俺は、そういうお前でいいと思うぞ」
Dは明るく笑ってから、
クッキーをバリバリと食べ始めました。
「そうだ、テレビでも見て、気分転換しようぜ」
クッキーをくわえたまま、
Dがテレビのスイッチを入れました。
そこに映っていたのは、なんとP。
DとEは思わず顔を見合わせました。
Pは、売れっ子の催眠術師になっており、
全国放送の番組の中で
芸能人に色々な催眠術をかけて踊らせては、
スタジオを楽しく沸かせていました。
最後に司会者が
「ミスターPさんは謎に包まれた方ですが、
ご出身はどちらなんですか?」
と尋ねると、黒いスーツのPは
「私に故郷はありません。過去は捨てました」
と言いながら両腕を顔の前でクロスするので、
DとEは顔を見合わせます。
「えっ、Pって・・・こんな方向に行ったんだ・・・」
と、Eがあっけにとられていると、
「第二の人生が見つかって良かったな」
と、Dは体をゆすって笑いました。
ending music
What i've Done - Linkin Park

