登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
E(村長) 栄一 エデンD(大工) 大吾 デイビッドP(カメラ屋) 三平 ピートK(美容師・Eの妻) 加恵 カーラ
今回のお話は、
本編(第20章と第22章)の後日談になります。
が、本編を読まなくても大丈夫です。・・・たぶん。
(本編の、若干のネタバレにはなりますが、
気にしない方はそのまま番外編をお読みください)
では、どうぞ。↓
見えない帳尻(1)
Pを百輪村から追放して、1年後くらい後の話です。
村長のEが、友人である大工のDに言いました。
「次のオフの日、また相談に乗ってくれないか?」と。
Dは快諾し、オフの日に
自分の家に来てもらうことにしました。
やってきたEがちょっと思いつめた顔をしているので、
食卓の席にすぐ座らせ、コーヒーを入れます。
「いつもはお前のバーで水割りを作ってもらうけど、
今日は俺がホストな。
お前が作るやつよりおいしくないかもしれないが、
まあ飲んでくれ。砂糖いる?」と出しました。
「ありがとう。うれしい。砂糖はいいよ」
Eは、Dの入れたかなり濃いコーヒーを口にし、
美味しそうに深く頷きます。
一方、Dは猫舌なのか、かなりふうふうと
息で冷ましてから、やっと一口飲み、
「・・・で、相談って何?」と聞きました。
「ああ。ずっと前に、Pを村から追放しただろ。あの件だ」
「Pが催眠術をお前にかけた話か。
あれは、やばかった。
お前が元に戻るか、ヒヤヒヤしたぞ」
「うん。その時は、Dたちに本当に世話になった。
私は記憶がないから、何があったかわからないんだ。
ただあの時、術が解けてから、周囲の状況を見て、
Pが村にとって危険だと即座に判断した。
もう二度と村に来てほしくなくて、
Pの片足を捻挫させ、両手の人差し指を脱臼させて、
力づくで追い出したんだよ」
「おお、そうだったのか」
「・・・暴力で解決してしまったことを、
今でも時々、後悔しているんだ。
もっと・・・平和的に
何か出来たのではないか、って」
「え?そうなのか?別に、良いんじゃないか?
っていうか、むしろ、それじゃあ、足らないだろ」
「足りない?」
Dは指をおって数え始めました。
「俺たちがPにやられたことって、
・・・まずEが催眠術にかけられただろ?
そのEが、俺を殴っただろ?
Eの奥さんのKちゃんを心配で泣かせただろ?
Eはぼんやりがひどくなって、
村長の仕事とバーテンダーの仕事が
出来なくなっただろ?
正気をとり戻すためにあの大事な瓶を割っただろ?
・・・そうなると、最低でも5つか6つは、
Pを殴っていいはずじゃないか?
昔のヒーローマンガって、
そういうところ、あっただろ、
これは誰それの分、って。
帳尻を合わせてたよな」
「ああ、確かに。
となると、足が1本に指が2本。
それから、”次に来たら村の墓に入れるぞ”って
脅したのが1つと、追放で・・・計4つか。
確かに数としては、帳尻では足りないことになるな」
「そう。特にKちゃんをあんなに泣かせちゃってたし・・・
それだけで、お前がPをボコボコにしても
”当然だ”って思うぜ。
俺もすげえ腹が立ってたし。実は俺も殴りたかったぞ。
だからさ、お前が暴力で解決したからって、
凹むこと、ないんじゃないかな?」
「・・・」
「なんか、まだ悩んでる?」
(続く)

