登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
D(大工) 大吾 デイビッドF(Dの弟子) 文也 フランクG(Dの弟子) 弦 ジョージダズン(Dの見習い集団) ←グループ名ですE(村長&教師) 栄一 エデンK(美容師・Eの妻) 加恵 カーラC(牧場主→村の守護霊)千太郎 クリス老人・師匠(守護霊・Cの先生)J(隣村のボクサー) 純 ジャック
では、本編をどうぞ。↓
見えない励まし(5)
見舞いを終えた弟子たちが、Dの病室を出ました。
階段に向かう彼らは、シックなワンピースの上に
長い白衣を着た、ものすごい美女とすれ違いました。
その人は、小ぶりの紙袋を持っていました。
「うわ、美人の先生」「海外の女優さんみたい」
その美しい女性は、
弟子たちが角を曲がって見えなくなるまで
しばらく廊下に立って張り紙を見ていましたが、
誰もいなくなってから、Dの病室に入りました。
Dは、その姿を見るなり、あまりに美人で、
「え?・・・天使?」とびっくりしました。
女性は、ぽかんとしているDに静かに微笑むと、
手にしていた紙袋を床に置いて、
ベッドのそばの椅子に座りました。
そして無言のまま、Dの片手を取ると、
両手で包み丁寧にマッサージをし始めました。
Dは、されるがまま、それを見ていました。
しかし、その手に男っぽさを感じたDは、
女性の腕に沿って徐々に視線を上げていきました。
マッサージをする手を休めない女性の顔に達した時、
それが誰かわかりました。
「・・・E・・・?」
「あ、もうバレた?」
「おま・・・なんで、そんな恰好・・・」
「私の顔を見たくない、なんて言うからさ。
ちょっと驚かそうと思って。ははは。
Kに女神メイクしてもらったんだよ。似合う?」
「・・・マジか・・・」
Dは、ほろっと涙を落としました。
「この間は悪かった。すまん。どうかしてた」
Eは微笑み、ハンカチでDの涙を拭いてあげます。
「泣くなよ。今日は、笑わせに来たんだよ?」
Eは、持ってきた紙袋から、何かを取り出しました。
それはピコピコハンマーでした。
「ほら、おみやげだよ」
「・・・なんで?」
「ハンマーが好きなんだろう?」
「・・・」
「ありがとうな、E。
・・・俺は、今回のことで、自分の弱さを知ったよ。
だが、もう負けない。元気になって村に戻るからな」
「うん。待ってるよ」
そこにJが、病室のドアを開けて入ってきました。
「やっほ~、D~。生きてる~?
・・・あれ?お邪魔だった?」
Dの横の美女は、Jを見ずに静かに立ちあがり、
病室を後にしました。
「んー?きれいな先生だね。なんて名前?」
「さあな。・・・リハビリの邪魔をするなよ、J」
「ふうん?リハビリ~?
わ、ピコピコハンマーじゃん。懐かし~。
ねえD、これで俺の頭をたたいてみなよ」
「え?」
「ま、どうせ当たらないだろうけどね、全部避けるから」
「なにを~。じゃあ、絶対当てるぞ~」
Dはピコピコハンマーを手にして、Jの頭を狙いますが、
Jは頭を右へ左へとすり抜けます。
「へい、どうした、どうした。もう終わり?」
「くうう。おりゃあ、おりゃあ」
楽しいリハビリは、夕方まで続きました。
その後のDは泣き言を一切言わず、
人の二倍も三倍もリハビリに精を出し、
驚異的な回復力を見せました。
その後、無事に退院したDは、
百輪村に戻ってきました。
村の人たちは、Dを温かく囲みます。
「みんな、ただいま。久しぶりだな。
心配かけて、すまなかった。
まだ全快じゃないが、少しずつ仕事に戻るから」
「おかえり、Dさん」「親方~!」
「良かった、良かった」「退院おめでとう!」
群衆の中に笑顔のEを見つけたDは、
手提げの紙袋から
ピコピコハンマーを出して、Eに掲げました。
「このハンマーが俺を救ったぞ。
ノーハンマー、ノーライフ!」
ending music ↓
(おしまい)