登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
E(村長・小学校教諭) 栄一 エデンD(大工) 大吾 デイビッドU(バーテンダー) 梅吉 ウニー
では、どうぞ。↓
見えない評価(5)
「こんなに会社で頑張ってるのに、
『使えない奴は、辞めろ』って言われるんだ。
世の中には、俺より使えない奴がごまんといる。
なのに、なんで俺が辞めなきゃならない?」
「確かに。認めてもらえないと辛いですよね」
「・・・ああ、そうだな」
「その上司の方に、
本当はなんと言われたいんですか?」
「え?」
「『頑張ってるね』とか『よくやってくれた』とか」
「ああ。うーん・・・。『君は、有能だ』・・・かな」
Eは、それを聞いてしばらく黙っていましたが、
その後、ゆっくりとしゃべりました。
「・・・あなたは、有能ですよ。
会社のために、こんなにも頑張ってますし。
見えない所で、大きく貢献しているはずです。
誰にもわかってもらえなくても、
あなた自身がそれを知っていますよ。
・・・大丈夫です。
これから、きっといいことありますよ」
スーツの男性は、ボロボロと涙を流し俯きました。
「・・・あるかなあ。
いいことなんて、あるのかなあ・・・」
「悪いことばかりじゃないですよ、人生は。
ところで、ゴッドファーザーは美味しいですか?」
「・・・美味しいです」
「ほら、ひとつ、いいことありましたね」
「ふふ。規模が小さいな」
「いいものは小さいんです。
でも、見つけるのは難しいんです」
「・・・そうか」
「大きいところや目立つところだけを見て、
点数をつけるのは簡単ですよね。
でも、それがすべてじゃないんです。
小さいところも、どうか味わってください」
「わかった。・・・けど・・・あんた、何者?」
「通りすがりの客ですよ。
私はもう帰りますが、
・・・ねえ、バーテンダーさん、
この人に何かいいカクテルはあるかな?」
とEがUに声をかけると、Uは
「かしこまりました。おまかせください」
と言って、新たに1杯を作りはじめました。
Eは自分の横にいる男性の肩をポンポンと軽くたたき、
微笑んでスツールから立ち上がると、
2人分の酒代をカウンターに置き、
店から出ていきました。
Uは、自分の作ったカクテルを、
目の前の男性に差し出しました。
「テキーラ・サンライズです。
朝陽のように気分を変えてくれますよ」
スーツの男性はそれを一口飲み、
「・・・朝か、来て欲しいな。そういう朝が・・・」
と、やわらかくつぶやきました。
その後、”バーテンダーつぶし”の噂は、
世間からぱったりと途絶えました。
Dが後日、百輪村のバーに来て、
「噂の奴、村に来たんだって?
で、結局、どうなったんだ?」
と尋ねると、バーテンダーのUは、
「ゴッドファーザーがうまいことやってくれたようです」
と、にっこり笑うのでした。
ending music ↓
ゴッドファーザー愛のテーマ Andy Williams
(おしまい)