小説です。「百輪村物語」の番外編です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

☆主人公は、村長のEと大工のDです。
 
【今回の登場人物たち】
E(村長・小学校教諭) 栄一  エデン
D(大工)       大吾  デイビッド
U(バーテンダー)   梅吉  ウニー

 

では、どうぞ。↓

 

見えない評価(5)

 

 

 

「こんなに会社で頑張ってるのに、

 『使えない奴は、辞めろ』って言われるんだ。

 世の中には、俺より使えない奴がごまんといる。

 なのに、なんで俺が辞めなきゃならない?」

 

「確かに。認めてもらえないと辛いですよね」

 

「・・・ああ、そうだな」

 

「その上司の方に、

 本当はなんと言われたいんですか?」

 

「え?」

 

「『頑張ってるね』とか『よくやってくれた』とか」

 

「ああ。うーん・・・。『君は、有能だ』・・・かな」

 

Eは、それを聞いてしばらく黙っていましたが、

その後、ゆっくりとしゃべりました。

 

「・・・あなたは、有能ですよ。

 会社のために、こんなにも頑張ってますし。

 見えない所で、大きく貢献しているはずです。

 誰にもわかってもらえなくても、

 あなた自身がそれを知っていますよ。

 ・・・大丈夫です。

 これから、きっといいことありますよ」

 

スーツの男性は、ボロボロと涙を流し俯きました。

「・・・あるかなあ。 

 いいことなんて、あるのかなあ・・・」

 

「悪いことばかりじゃないですよ、人生は。

 ところで、ゴッドファーザーは美味しいですか?」

 

「・・・美味しいです」

 

「ほら、ひとつ、いいことありましたね」

 

「ふふ。規模が小さいな」

 

「いいものは小さいんです。

 でも、見つけるのは難しいんです」

 

「・・・そうか」

 

「大きいところや目立つところだけを見て、

 点数をつけるのは簡単ですよね。

 でも、それがすべてじゃないんです。

 小さいところも、どうか味わってください」 

 

「わかった。・・・けど・・・あんた、何者?」

 

「通りすがりの客ですよ。

 私はもう帰りますが、

 ・・・ねえ、バーテンダーさん、

 この人に何かいいカクテルはあるかな?」

とEがUに声をかけると、Uは

「かしこまりました。おまかせください」

と言って、新たに1杯を作りはじめました。

 

Eは自分の横にいる男性の肩をポンポンと軽くたたき、

微笑んでスツールから立ち上がると、

2人分の酒代をカウンターに置き、

店から出ていきました。

 

Uは、自分の作ったカクテルを、

目の前の男性に差し出しました。

「テキーラ・サンライズです。

 朝陽のように気分を変えてくれますよ」

 

スーツの男性はそれを一口飲み、

「・・・朝か、来て欲しいな。そういう朝が・・・」

と、やわらかくつぶやきました。

 

 

 

その後、”バーテンダーつぶし”の噂は、

世間からぱったりと途絶えました。

 

Dが後日、百輪村のバーに来て、

「噂の奴、村に来たんだって?

 で、結局、どうなったんだ?」

と尋ねると、バーテンダーのUは、

「ゴッドファーザーがうまいことやってくれたようです」

と、にっこり笑うのでした。

 

 

 

ending music ↓

 

ゴッドファーザー愛のテーマ Andy Williams

 

 

 

 

(おしまい)