シリーズものの小説です。渾身で書いてます。
1、見えない善意(全5話)
2、見えない絆(全5話)
3、見えない魔法(全5話) 
4、見えない意図(全5話) の順です。
 
 
今日は、「見えない意図」の5話目(ラスト)です。
 
 

登場人物名は、アルファベット表記です。

舞台は、日本でも海外でも、
お好きなように、イメージしてください。
(暫定的な名前を貼っておきます↓)
A(靴屋)     悪久太  アーク
B(靴屋の妻)   若葉   バーバラ
C(牧場主)    千太郎  クリス
D(大工)     大吾  デイビッド
E(バーテン&村長)栄一  エデン
F(大工見習)   文也  フランク
G(大工見習)   弦   ジョージ
H(隣村の村長)  広重  ヘンリー

 

では、本編をどうぞ。↓

 

 

見えない意図(5)

 

百輪村によるワークショップが終了して、

半月ほど経った頃。

 

夕方になって、百輪村のEのカフェバーに

草切村の村長のHが、再びやってきました。

 

その日は、たまたま、大工のDも店にいました。

 

草切村のHは、二人の顔を見るなり、

「ああ、Eさん、Dさん。お揃いですね。

 このたびは、我が村でワークショップを

 開催していただき、ありがとうございました。

 つきましては、合併の件は、白紙にしてください」

と、言い出しました。

 

さらに、「ぼやを出し、大切な瓶を壊したのは、

 自分の命令であり、部下がやった」

という旨を告白し、深く謝罪しました。

 

「・・・そうでしたか。しかし、どうして、

 ありのままをお話する気になられたんです?」

とEが尋ねます。

 

「はい、なんというか、百輪村の皆さんに

 嘘をつけなくなったのです。

 村人たちが百輪村のことばかり話すのを聞いて、

 こちらの村も変わらなければいけないと感じました。

 本当に相済みませんでした。

 そこで、おわびの品を持ってまいりました。」

 

Hが指を鳴らすと、Hの手下たちが、

数十本の高価な洋酒と、

瓶入りミネラルウォーターのケースを20箱、

えっさほいさと、店内に入れてくれました。

 

「これらをどうぞ、お納めください。

 足りなければ、後日、もっとお送りします」

 

「そうですか。では、いただきます」

 

「Hさん。あんた、義理堅いんだなあ」

と、大工のDは、なれなれしく、

隣村の村長のHの背中をポンポンと叩きました。

 

その後、Hは、百輪村と草切村とで

”対等な関係性”で友好を結びつつ、

共に繫栄するプロジェクトを組まないか、と

提案を出してきました。

 

Eは微笑んで、Hに言いました。

「わかりました。

 一旦、村のみんなと協議しまして、

 前向きに検討いたします」

 

「は。では、これで、失礼いたします」

 

「Hさん、今度は、仕事抜きでいらしてください。

 美味しいお酒を御馳走いたします」

 

「あ、ありがとうございます、

 ありがとうございます。ではまた。」

 

Hとその手下たちは、

何度も頭を下げて、帰っていきました。

 

「終わったなあ」

 

「はい、一件落着ですね」

 

「じゃあ、うまくいった乾杯するか」

 

「ええ。今日は、私も飲みますね」

 

Eは、自分の店をクローズドにしました。

 

「せっかくなので、

 いただいたお酒を飲みませんか?

 なかなか良いラインナップですよ。

 ・・・うん、これがいいでしょう」

 

Eは、ドン・ペリを選んで持ってくると、

Dのいるカウンター席に戻ってきて、

ワインオープナーのスクリューを回して

手際よく、コルクを静かに抜きました。

 

店内に、フルーティなアロマが広がります。

 
そして、いつものように、3つのグラスを用意し、
かちりと合わせました。
 
「ところで、このミネラルウォーターの山、
 どうするんだ?」
 
「村の皆に分けましょう。
 空き瓶は、あちこちに置きましょうか?
 フェイクになりますよ。ふふふ」
 

「E、おまえには、まったく頭が下がるよ。

 ホスピタリティのかたまりだし、

 度胸はあるし、アイデアもある。

 すげえなあ、ほんと」

 

「・・・あなたが、私の支えです。

 あなたのおかげで、今の私があるんですよ」

 

2人の楽しい酒盛りは、
夜遅くまで続きました。

 

 

 

 
ending music ↓
 
「Happy-Pharrell Williams」

 

 

 

(おしまい)